楽しい(読み)タノシイ

デジタル大辞泉 「楽しい」の意味・読み・例文・類語

たのし・い【楽しい】

[形][文]たの・し[シク]
満ち足りていて、愉快な気持ちである。「毎日を―・く過ごす」「テンポのよい―・い曲」「―・いピクニック
富裕である。金持ちである。
「堀川相国は、美男の―・しき人にて」〈徒然・九九〉
作物出来が豊かである。
「この年頃は、いとこそ―・しけれ」〈大鏡・道長上〉
[派生]たのしがる[動ラ五]たのしげ[形動]たのしさ[名]たのしみ[名]
[類語]うはうはほくほく笑いが止まらない嬉しい喜ばしい欣快きんかい愉快嬉嬉きき欣欣きんきん欣然きんぜん満悦御機嫌気持ちよい快い快感快楽心地よい痛快小気味よい爽快壮快快適カンファタブルすがすがしいさわやか清新清爽晴れやか晴れ晴れさっぱり朗らか明朗陽気明るい気さく快活楽天的上機嫌晴れ晴れしいぴちぴち生き生き活発からり根明ねあか心が躍る心が弾む心を躍らせる満足充足飽満自足自得会心自己満足本望満ち足りる心行く堪能満喫安住安んずる甘んずる十分十全面白い喜び結構喜悦有頂天納得慊焉けんえん三平思わしいおんの字足りる足る舞い上がる満たす気を良くする溜飲りゅういんを下げる言うことなし気に意に適ううきうきわくわくいそいそぞくぞく

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「楽しい」の意味・読み・例文・類語

たのし・い【楽】

  1. 〘 形容詞口語形活用 〙
    [ 文語形 ]たの〘 形容詞シク活用 〙 ある状態や持続的行為によって欲望・願望などが満たされ、快いさま。
  2. 精神的・身体的に満ち足りて快適である。愉快である。
    1. [初出の実例]「山県に蒔ける菘菜(あをな)も吉備人と共にし摘めば多怒斯久(タノシク)もあるか」(出典:古事記(712)下・歌謡)
    2. 「苦(たしな)きを息(しの)び身心楽(タノ)しくならむといふ」(出典:地蔵十輪経元慶七年点(883)四)
  3. 物質的に満たされて豊かであるさま。裕福である。金持である。
    1. [初出の実例]「其の後は蔵の物をも取り仕(つか)ひ近江の所をも知て、楽しくてぞ有ける」(出典:今昔物語集(1120頃か)二九)
    2. 「月の毎に百穀百貫を送られければ家内富貴して楽き事限り無し」(出典:平松家本平家(13C前)一)
  4. 作物などが豊富である。
    1. [初出の実例]「まめ・ささげ・うり・なすびといふもの、〈略〉このとしごろは、いとこそたのしけれ」(出典:大鏡(12C前)五)

楽しいの語誌

( 1 )上代には、の精神的な快楽や満腹感を表わす用例が目立つ。院政期よりの物質的に裕福である意が現われ、中世にはさらに金銭的に満たされるの意味ともなり、「まづし」の対語として用いられている。
( 2 )快い気持を表わす点では「うれしい」と共通するが、「うれしい」が、主にその場における直接の反応を示す表現であるのに対して、「たのしい」は、主にそういう気持の持続するさまを表わす。

楽しいの派生語

たのし‐が・る
  1. 〘 自動詞 ラ行五(四) 〙

楽しいの派生語

たのし‐げ
  1. 〘 形容動詞ナリ活用 〙

楽しいの派生語

たのし‐さ
  1. 〘 名詞 〙

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

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