足りる(読み)タリル

デジタル大辞泉 「足りる」の意味・読み・例文・類語

た・りる【足りる】

[動ラ上一]
過不足なく必要なだけのものがある。十分である。「眠りが―・りる」「頭数が―・りない」
何かをするのにそれで十分である。なんとか間に合う。「電話で用が―・りる」「人手は今のところ―・りている」
(ふつう、動詞の連体形に「にたりる」の付いた形で)それだけの値うちがある。値する。「信頼するに―・りる人物」「恐れるに―・りない」
[補説]四段活用の「足る」から転じ、近世から江戸で用いられるようになったもの。
[類語](1満足満悦充足飽満自足自得会心自己満足本望満ち足りる心行く堪能満喫安住安んずる甘んずる十分十全嬉しい楽しい面白い喜ばしい喜び愉快痛快結構喜悦有頂天納得慊焉けんえん三平思わしい上機嫌ご機嫌おんの字足る舞い上がる満たす気を良くする溜飲りゅういんを下げる言うことなし気に意に適ううきうきうはうはわくわくいそいそぞくぞく/(2間に合う間に合わせるえる

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「足りる」の意味・読み・例文・類語

た・りる【足】

  1. 〘 自動詞 ラ行上一 〙 ( 四段活用動詞「たる(足)」から転じて、近世頃から江戸で使われるようになった語 )
  2. 数量分量などが必要なだけある。十分である。
    1. [初出の実例]「まだ吹毛の金性が残り磨きがたりぬ」(出典:大淵代抄(1630頃)二)
    2. 「まだ足(タリ)ねへからモット酒買ってこいだ」(出典滑稽本浮世風呂(1809‐13)二)
  3. 価値がある。ねうちがある。
    1. [初出の実例]「そこいら中にある小説は此要求を充たすに足りない」(出典:ヰタ・セクスアリス(1909)〈森鴎外〉)
  4. 頭の働きがすぐれている。才能がある。下に打消の語を伴って用いる。→たりない
    1. [初出の実例]「ちとおたりなされぬ方と熊野はいひ」(出典:雑俳・柳多留拾遺(1801)巻一三上)
  5. 間にあう。役にたつ。
    1. [初出の実例]「口で言ふてから用の足りるやうな迂濶(うすのろ)いことでは役にたたぬ」(出典:いさなとり(1891)〈幸田露伴〉六二)

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

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