(読み)ハク

デジタル大辞泉 「迫」の意味・読み・例文・類語

はく【迫】[漢字項目]

常用漢字] [音]ハク(漢) [訓]せまる さこ せこ
ひたひたと対象に近づく。事態が差しせまる。「迫撃迫真迫力急迫緊迫切迫逼迫ひっぱく
圧力を及ぼして苦しめる。押しつめる。「迫害圧迫脅迫
[名のり]せり・とお
[難読]り出す迫持せりもち筥迫はこせこ迫間はざま

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精選版 日本国語大辞典 「迫」の意味・読み・例文・類語

せり【迫】

  1. 〘 名詞 〙 ( 動詞「せる(迫)」の連用形名詞化 )
  2. せまること。
  3. 劇場で、舞台や花道の一部を切り抜いて、俳優や大道具を奈落から上げ下げする装置。せりだし。
    1. [初出の実例]「一本は猫に当る、猫苦しみてせりの穴へ落ちる」(出典:歌舞伎・吾嬬下五十三駅(天日坊)(1854)序幕)
  4. 明治時代まで、劇場の観客または芝居茶屋に、外部から弁当を供給した弁当屋。また、その弁当。
  5. 魚群が押し寄せるため、海面が泡立ち白くなること。涌(わき)。〔分類漁村語彙(1938)〕
  6. せりもち(迫持)」の略。

せまり【迫】

  1. 〘 名詞 〙 ( 動詞「せまる(迫)」の連用形の名詞化 )
  2. せまること。
    1. [初出の実例]「物のせまりを、ぜっぴといふ言葉は、是非といふ心歟」(出典:かた言(1650)二)
  3. 行き詰まりの所。また、狭い所。
    1. [初出の実例]「ミヅノ xemari(セマリ)」(出典日葡辞書(1603‐04))

せこ【迫・世古】

  1. 〘 名詞 〙 小路横町。迫道。
    1. [初出の実例]「小路 こうぢ 京都にて称す〈略〉勢州山田にて世古(セコ)」(出典:物類称呼(1775)一)

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普及版 字通 「迫」の読み・字形・画数・意味


常用漢字 8画

(旧字)
9画

[字音] ハク
[字訓] せまる・きびしい

[説文解字]

[字形] 形声
声符は白(はく)。〔説文〕二下に「づくなり」、〔広雅、釈詁一〕に「なり」とあり、肉迫・緊迫・迫逐のように用いる。拍と搏(はく)、(薄)と通用するが拍・は擬声的な語、搏・(はく)に従い、(ふくろ)の中のものを撃つ意がある。

[訓義]
1. せまる、ちかづく、うながす。
2. きびしい、おびやかす。
3. くるしむ、あわてる。

[古辞書の訓]
〔名義抄〕 セム・セマル・セバサル・チカシ・オビヤカス・オビユ・タチマチ・スミヤカニ/ セマリチカヅケリ 〔字鏡集〕 タチマチ・スミヤカニ・オビヤカス・アハツ・セバサル・チカシ・セマル・イソグ・オビユ・ツク・セム

[語系]
peakpik、(薄)bakと声義近く、みな薄近の意がある。摶pak、拊phioもこの系統の語である。

[熟語]
迫隘・迫阨・迫害・迫急・迫遽・迫恐迫脅・迫近・迫窘・迫・迫筰・迫蹙・迫・迫切・迫然・迫措・迫束・迫促・迫奪・迫逐
[下接語]
圧迫・畏迫・外迫・急迫・窮迫・脅迫・強迫・局迫・近迫・緊迫・窘迫・撃迫・催迫・蹙迫・焦迫・切迫・促迫・督迫・肉迫・迫・剽迫・崩迫・憂迫

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「迫」の意味・わかりやすい解説


はさま

宮城県北東部、登米郡(とめぐん)にあった旧町名(迫町(ちょう))。現在は登米市の西部を占める地域。旧迫町は、1955年(昭和30)佐沼(さぬま)町と新田(にった)、北方(きたかた)の2村が合併して成立。2005年(平成17)登米(とよま)、東和(とうわ)、中田(なかだ)、豊里(とよさと)、米山(よねやま)、石越(いしこし)、南方(みなみかた)、津山(つやま)の8町と合併して市制施行し、登米市となった。JR東北本線、国道346号、398号が通じる。東部を迫川が南流し、中部には長沼、北部には伊豆沼(いずぬま)、内沼(うちぬま)がある。船越沼(ふなこしぬま)はすでに干拓され、伊豆沼、長沼周辺も干拓が進められてきた。地域の大部分は標高8メートル前後の水田で、江戸期からの穀倉地帯であったが、洪水にみまわれることも多かった。米作を基幹とし、畜産、園芸も盛んで、とくに肉用牛の飼育は県でも有数の規模である。中心集落の佐沼は、藤原秀衡(ひでひら)の家臣照井太郎高直築城の地と伝えられ、江戸期には伊達(だて)家の一家亘理氏(わたりうじ)の居城があった。明治以降も迫川の水運、軽便鉄道の敷設など交通の要衝であり、現在も登米地方の行政、経済文化の中心。伊豆沼、内沼にはハクチョウマガンなどが飛来し、「鳥類およびその生息地」として国の天然記念物に指定され、ラムサール条約登録湿地にもなっている。

[境田清隆]

『『迫町史資料』全3巻(1974~1977・迫町)』『『迫町史』(1981・迫町)』


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百科事典マイペディア 「迫」の意味・わかりやすい解説

迫[町]【はさま】

宮城県北部,登米(とめ)郡の旧町。迫川流域低地を占め,水田地帯をなす。中心の佐沼は旧城下町。桜の名所鹿ヶ城跡があり,伊豆沼・内沼はハクチョウなど鳥類生息地(天然記念物,ラムサール)。2005年4月登米郡登米町,東和町,中田町,豊里町,米山町,石越町,南方町,本吉郡津山町と合併し市制,登米市となる。70.27km2。2万2646人(2003)。

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改訂新版 世界大百科事典 「迫」の意味・わかりやすい解説

迫 (さこ)

山あいの小さな谷をいう。岡山県以西の中国地方と九州地方に多い。同様の語として千葉県などでは〈さく〉がある。また〈狭間(はざま)〉も同様の意味の語である。このような小さな谷に開かれた田が迫田であり,《俚言集覧》に〈美作(みまさか)にて山の尾と尾との間をさこと云ふ。其処に小水ありて田有をさこ田と云ふ〉とある。迫田は,谷田,棚田と同様に,1枚1枚の耕地は零細であり,労働力の投下に比して収穫量はけっして多いものではなかった。しかし,小さな谷々の湧水によって用水が確保でき,河川のはんらんなどの影響をうけることが少ないので,古代,中世では安定的な水田であった。とくに中世では,小さな谷池が築かれるなどして,より安定した水田とされ,中世農民の経営と開発能力に適合的な耕地形態の一つであった。なお,鹿児島県地方の迫はシラス台地に刻みこまれているため水もちが悪く,しかも降雨があると沃土が泥津波によって流されてしまいがちなので,同地方の迫田における生産力の上昇はとくに困難であった。
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迫 (はさま)

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「迫」の意味・わかりやすい解説


はさま

宮城県北東部,登米市西部の旧町域。仙北平野の北東部にある。 1955年佐沼町と新田村,北方村の2村が合体して迫町が成立。 2005年登米町,東和町,中田町,豊里町,米山町,石越町,南方町,津山町の8町と合体して登米市となった。中心地区の佐沼は,県北の行政,商業の中心地。大部分は迫川流域の平坦地で,西部には築館台地東端の支谷が迫川の自然堤防によってふさがれ,伊豆沼長沼,船越沼を形成。船越沼は大正期に干拓され,その後伊豆沼,長沼も一部干拓された。米作が主産業で,畜産も盛ん。伊豆沼はハクチョウやガンカモ類の渡来地として国の天然記念物に指定。

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