帰化植物(読み)キカショクブツ

デジタル大辞泉 「帰化植物」の意味・読み・例文・類語

きか‐しょくぶつ〔キクワ‐〕【帰化植物】

植物自生地から他地域に移され、野生化して繁殖するようになったもの。日本ではブタクサヒメジョオンシロツメクサなど。
[類語]植物草木そうもく草木くさき本草ほんぞう樹木じゅもくみどりプラント一木一草食虫植物観葉植物薬用植物高山植物

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精選版 日本国語大辞典 「帰化植物」の意味・読み・例文・類語

きか‐しょくぶつキクヮ‥【帰化植物】

  1. 〘 名詞 〙 原産地から他の地域に運ばれ、その土地で自生するようになった植物。日本でみられるものは、ブタクサ、マツヨイグサ、ヒメジョオン、アレチノギクセイタカアワダチソウなど。〔現代術語辞典(1931)〕

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「帰化植物」の意味・わかりやすい解説

帰化植物
きかしょくぶつ
naturalized plant

他国から運ばれてきた植物種子が,その国に土着し自生するにいたったもの。日本の場合,最も古いものとして,イネとともに渡来したと考えられるコナギセリイヌビエなど,次いでスイバミミナグサハコベ,ハルノノゲシ,ノニガナ,タネツケバナオオバコなどがある。これらはもはや,ほとんどがもともと日本固有の植物のようにみなされている。有用植物自生化の例としてはミツマタアマなどの繊維植物,シロツメクサアカツメクサアルファルファカモガヤなどの牧草ツルドクダミのような薬用植物などがある。また大正年間にはオオアレチノギクハルジオンアメリカセンダングサハイビスカス,アオゲイトウ,ケアリタソウなどが,昭和年間にはマメカミツレ,ブタクサセイタカアワダチソウなどが渡来して急激に自生するようになった。(→外来生物

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「帰化植物」の意味・わかりやすい解説

帰化植物
きかしょくぶつ

本来の生育地から、人間の媒介によって他の地域に移され、そこで野生化して繁殖する植物をいう。島国である日本には、さまざまな原因で長い年月の間に、外国から渡来し、野生化した帰化植物がある。欧米などでも他の大陸からの帰化の例が同様に知られている。

 帰化植物には、栽培などの目的で意識的に移入した植物が逸出する場合と、種子や果実(種実)が他物に付着したり混入したりして、無意識的に移入される場合とがあるが、いずれにしても、帰化植物が日本在来の植物集団のなかに仲間入りするには、それ相応の強い生活力をもたねばならない。移入の機会に恵まれた種子は、発芽成長して生活環を全うし(一次帰化。生活環を全うしない場合は仮帰化)、さらに分布域を拡大する(二次帰化)。無意識的な種子移入による一次帰化地は、港、貨物駅構内、養鶏場、精米所、牧場など、さまざまである。旺盛(おうせい)な土着能力をもつ帰化植物は、路傍、庭、休耕している田畑、造成地など、人為的な影響を受けた場所を二次帰化地として、さらに分布圏を広げていく。

 近年、日本各地に繁茂しているセイタカアワダチソウは帰化植物のよい例である(原産地は北アメリカのアラバマ州であり、州花とされている)。現地ではよく繁殖し、多くの種に分類され、変異性に富み、花粉は風媒され、多数の種子は風で散布される。また、地下茎は強い栄養繁殖の能力をもち、他の植物に有害となる他感作用物質を出す。このような性質が、新しい土地での生活に有利なのであろう。一般的に帰化植物は、細胞学的には在来種に比べて高次の倍数体植物が多いという。

 新しい土地に野生化した帰化植物も、群落遷移の初期(二次遷移)の段階までのことで、やがてススキなどの多年生草本期や陽樹期になると消滅する。

[小滝一夫]

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百科事典マイペディア 「帰化植物」の意味・わかりやすい解説

帰化植物【きかしょくぶつ】

外国の植物が自生地から人間の媒介で渡来し,繁殖,生育して野生するようになったもの。普通侵入経路が歴史的に見当のつくものだけをいうが,稲作とともに入ってきた植物を想定して史前帰化植物と呼ばれるものもある。日本では約500〜700種。ブタクサハキダメギク,アレチウリなどのように種子が輸入物質などについて入ってきたものと,ヒガンバナムラサキカタバミホテイアオイのように観賞用などの栽培植物が逃げだしたものとがある。イネ科キク科のものが多く,雑草の大部分を占める。種子は小さく発芽力が大で,生育環境の幅の大きいものが多い。→帰化動物
→関連項目雑草

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改訂新版 世界大百科事典 「帰化植物」の意味・わかりやすい解説

帰化植物 (きかしょくぶつ)

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世界大百科事典(旧版)内の帰化植物の言及

【外来種】より

…もともとその地になく,他から移住したり導入されたりして居つくようになった動植物。外国から入ってきた生物を指すことが多く,帰化動物,帰化植物などといわれる。最近ではアメリカシロヒトリ,セイタカアワダチソウなどが有名である。…

【帰化生物】より

…人工的な環境を生育場所としていても,その生物が自然な分布能力で分布域を広げたものは,帰化生物とはいわない。
【帰化植物】

[農耕開始以前に人間に持ち歩かれた植物]
 農耕の開始以前にも,人間は植物と密接な関係をもって生活をしていた。狩猟採集民族が有用な植物を意図的に保護している例は多く知られているが,民族の放浪とともにこの有用な植物を持ち歩き,それが野生化した例はあったと思われる。…

【雑草】より

…日本に自生する山野草のうち人里に入って雑草となっているものにはススキ,クズ,ヨシ,イタドリ,ネザサ,ヨモギなどがあり,また耕地雑草では水田のアギナシ,畑地のネザサの2種が知られている。今日,日本の雑草の大部分を占めているのは,本来の自生地である外国から人間,文化の交流に伴って渡来し定着した帰化植物である。古くは,有史以前にイネに随伴して渡来した南方起源のものがある。…

※「帰化植物」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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