標高一九七九・五メートル。山頂は東田川郡羽黒町・
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山形県中央部にある火山。羽黒山,湯殿山とともに出羽三山と呼ばれる。標高1984m。丸くゆるやかな山頂付近の地形から楯状火山と思われてきたが,安山岩質の溶岩などからなる成層火山であり,火山体山頂部が爆発によって欠損し,北西面に向いた馬蹄形の爆裂火口を見せている。したがって庄内平野側からはこの爆裂火口の急斜面が黒くそびえて見えるため犂牛(くろうし)山の別名がある。噴出した山頂の溶岩円頂丘が冷えないうちに次の活動で吹き飛んだらしく,その火砕流が北西麓に広い小起伏のすそ野面を作っている。残った東側のゆるい火山体は氷期に氷帽氷河をのせていたようで,なだらかな氷食面をもち,圏谷地形,U字谷地形,底堆石層を残している。この氷河地形のなごりの谷柵地形は現在の大量の降雪によって最深30m以上の積雪深をもつ吹きだまりを作り,数ヵ所に越年雪を生じさせている。こうした環境がミネハリイ,ヒナザクラ,イワイチョウなどの雪田植物群落や強風下の稜線にみられるコタヌキラン,ホソバエイランタイ,ミネズオウ,ヒナウスユキソウ,コメバツガザクラなどの高山植物群落を形成させ,日本海に浮かぶ佐渡島や鳥海山,朝日岳,蔵王山などの展望とともに優れた高山景観となっている。《日本三代実録》や《延喜式》には式内大社として従二位の月山神社が記載され,鎌倉時代に入ると修験道の中心地の一つとなって,東日本の各地から登山参拝の客を集めた。現在は鶴岡より北側の八合目,山形からは南側の姥沢までバスが通じている。
執筆者:五百沢 智也
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山形県中央部、出羽山地(でわさんち)の南端に位置する火山。標高1984メートル。鶴岡市(つるおかし)、庄内町(しょうないまち)、西川町との境をなし、県内を庄内と村山に二分する。磐梯(ばんだい)朝日国立公園の一部。山体は花崗(かこう)岩と第三紀層を基盤とし、これを貫いて火山の噴出物と安山岩などが層をなす成層火山で、形態的には似ているが、粘性の小さい溶岩からなるアスピーテ型火山ではない。西側には北西に大きく爆裂火口が開き急崖(きゅうがい)をなし、東側の緩やかな山体と好対照をみせている。山腹の標高1300メートルまではブナの純林がみられ、その上部はアオモリトドマツなどの針葉樹林をほとんど欠き、チシマザサ、ハイマツの高山帯に移行する日本海側の豪雪山地特有の植生を示す。山頂東斜面の広大な雪田は夏スキーのゲレンデとなるが、この下部には弥陀ヶ原(みだがはら)などの湿原(天然保護区域)が発達し、オゼコウホネなどの高山植物が多い。また月山は羽黒山、湯殿山(ゆどのさん)とともに出羽三山(でわさんざん)とよばれ、山頂には月山神社を祀(まつ)る霊山として信仰されてきた。登拝路として南東側から岩根沢、本道寺、大井沢、北側に肘折(ひじおり)、西側に羽黒山口の手向(とうげ)、湯殿山口の七五三掛(しめかけ)、大網の7口があった。現在は羽黒山口から八合目までバスが通る月山高原ライン、湯殿山口や志津(しづ)~姥沢(うばさわ)小屋口からの登山路が整備されている。
[中川 重]
島根県北東部、安来(やすぎ)市広瀬町にある山。標高183.9メートル。『出雲国風土記(いずものくにふどき)』には「勝日(かつひ)山」とある。吐月山(とげつさん)とも称された。山麓(さんろく)は急崖(きゅうがい)をなし、中世には要害の地として頂上に尼子(あまご)氏の居城(国史跡富田(とだ)城跡)があった。頂上は平坦(へいたん)で、城跡のほか勝日高守(かつひたかもり)神社、山中鹿介幸盛(しかのすけゆきもり)記念碑などがあり、太鼓壇、千畳平はサクラの名所。山麓では中世の城下町遺構の発掘調査が行われ、出土品は安来市立歴史資料館に展示されている。
[矢野 博]
出典 日外アソシエーツ「事典 日本の地域遺産」事典 日本の地域遺産について 情報
出典 日外アソシエーツ「事典・日本の観光資源」事典・日本の観光資源について 情報
…山形県のほぼ中央部,朝日山地の北端部に位置する月山(がつさん)(1979.5m),湯殿山(1500m),羽黒山(436m)の三山をあわせていう。月山と湯殿山は近接しているが,羽黒山は両山の北約20kmに位置する。…
…そのような霊場信仰のある山には,おのずから修行者が住みやがて住坊が霊場寺院となるから,納骨はその霊場寺院に納める形になる。しかし山に納骨した風も出羽三山の月山(がつさん)に見られ,月山では山頂(阿弥陀如来をまつった)に納骨していた。明治初年の神仏分離以来それを禁止したところ,登山者はかってに山頂の月山神社周辺や9合目の賽の河原に埋骨していくので,現在は神社境内に祖霊社を設けて,神官が納骨と祖霊供養を受け付けている。…
…江戸では,大山(おおやま)に初山と称して6月に登る慣行があったし,富士山の山開きの旧6月1日には,町の富士塚に参詣・登拝する習俗があった。また,修験の山である月山や大峰山では,山開きに堂を開く戸開(とあけ)式が行われ,ともに旧4月8日であった。この日は〈卯月八日〉で,大峰では冬ごもりして験力を身につけた晦日(みそか)山伏が山を下る日であり,一般には村人が山に登って依代(よりしろ)としての花を採り,山の神を田の神として村に迎える日である。…
※「月山」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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