スケッチ(読み)すけっち(英語表記)sketch

翻訳|sketch

デジタル大辞泉 「スケッチ」の意味・読み・例文・類語

スケッチ(sketch)

[名](スル)
風景・事物などを大まかに写しとること。また、その絵。写生。素描。「野の花をスケッチする」
情景印象などを短い文章で書きとめること。また、その作品小品文
音楽で、曲の構想主題を大まかに素描したもの。また、描写的な小品のこと。
[類語](1クロッキーデッサン素描下絵写生写す絵図絵画図画図絵イラストイラストレーションカットえが彩る象る染まる染める描写模写点描線描寸描/(2随筆エッセー随想小品小文小品文身辺雑記漫文漫筆

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精選版 日本国語大辞典 「スケッチ」の意味・読み・例文・類語

スケッチ

〘名〙 (sketch)
① (━する) 写生。写生画。また、鉛筆コンテなどで短時間に大体の形を描くこと。素描。またその絵。
※忘れえぬ人々(1898)〈国木田独歩〉「鉛筆で書いたスケッチと同じことで他(ひと)にはわからないのだから」
筋立てや内容に作為性のあまりない短編短文写生文
※今の諸家の小説論を読みて(1889)〈森鴎外〉「余輩『スケッチ』と『ノヱル』との区別を説明せんと欲す」
③ 作曲にあたり、楽想や主題のあらましを素描的に記すもの。とくに同様の器楽曲や描写音楽のこと。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「スケッチ」の意味・わかりやすい解説

スケッチ
すけっち
sketch

主として、写生図、下絵、素描、略図などを意味する絵画用語。原義は概要、草案、断片的な描写の意味で、建築、デザイン、文学、音楽などの分野でも用いられることがある。スケッチは、対象の概念や特徴をとらえるための画家の修業手段であるが、またとくに完成作のための下絵や試作をさし、詳細入念なもの、簡略なものの別を問わないが、一般にそれ自体を最終作としない作品を総称する。フランス語に由来するエスキスesquisseもほぼ同様の意味である。スケッチの多くは素描の一形態とみることができるが、しばしば油彩による簡単な習作もスケッチとよばれる。クロッキーcroquisは主として人物、動物などの動く対象を短時間に描写する速写のスケッチあるいは素描である。

 またスケッチブックは画帳全般をさし、特定された概念とはいいがたいが、ルネサンス時代以来画家の残した画帳は、レオナルド・ダ・ビンチをはじめデューラー、レンブラント、セザンヌ、ピカソなど、美術史研究の重要な資料であるのみならず、しばしば独自の作品形態となっている。

[八重樫春樹]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「スケッチ」の意味・わかりやすい解説

スケッチ
sketch

絵画技法の一種 (→エスキス ) 。クロッキーやポシャド pochadeがある。短時間で描く素描で,鉛筆,木炭,コンテなどを用いて対象を連写的にとらえる。多くは線描であるが,陰影を加えたものもある。

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世界大百科事典(旧版)内のスケッチの言及

【素描】より

…素描は大別して次のような種類に分けられる。(1)スケッチsketch フランス語でクロッキーcroquisという。実在の対象を簡略に写生したもの,あるいは対象なしに自由な発想をすばやく描きとどめたもの。…

※「スケッチ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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