デジタル大辞泉
「末」の意味・読み・例文・類語
うら【▽末】
1 植物の葉や枝の先。こずえ。うれ。
「小里なる花橘を引き攀ぢて折らむとすれど―若みこそ」〈万・三五七四〉
2 すえ。端。「末弭」
[補説]古くは「うれ」が単独で用いられたのに対し、「うら」は「うら葉」のような複合形に用いられることが多い。
まつ【末】
1 終わり。すえ。「三月の末」「世紀末」
2 粉。粉末。
「薬ヲ―ニスル」〈和英語林集成〉
うれ【▽末】
草の葉や茎、木の枝の先端。こずえ。うら。
「うちなびく春立ちぬらし我が門の柳の―にうぐひす鳴きつ」〈万・一八一九〉
出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例
Sponserd by 
すえすゑ【末】
- 〘 名詞 〙
- ① 草木の上方の末端。また、こずえや枝先など。
- [初出の実例]「奇(めつら)しき鳥(とり)来て杜(かつら)の杪(スヱ)に居り」(出典:日本書紀(720)神代下(兼方本訓))
- 「うぐひすの、若やかに、ちかき紅梅のすゑにうち鳴きたるを」(出典:源氏物語(1001‐14頃)若菜上)
- ② 物の先端。末端。
- [初出の実例]「御峰(みを)の竹を 掻き刈り 末(すゑ)押し縻(な)ぶる如(な)す」(出典:古事記(712)下・歌謡)
- 「毛のすゑには金の光し、ささやきたり」(出典:竹取物語(9C末‐10C初))
- ③ 山のいただき。山頂。また、山の奥。
- [初出の実例]「宮の材(き)爛(たた)れ、山の椒(スヱ)埋(うつも)れたり」(出典:日本書紀(720)斉明二年(北野本訓))
- ④ 道や野のはて。はずれ。
- [初出の実例]「むさしのやゆけども秋のはてぞなきいかなる風か末に吹くらん〈源通光〉」(出典:新古今和歌集(1205)秋上・三七八)
- ⑤ 子孫。あなすえ。
- [初出の実例]「もののたがひ目ありて、そのむくいにかくすゑは無きなり」(出典:源氏物語(1001‐14頃)若菜上)
- 「伊弉諾(いざなぎ)の裔(スヱ)、人の子ら、ながき嘆(なげき)のなからめや」(出典:二十五絃(1905)〈薄田泣菫〉矢馳使の歌・あまくだり)
- ⑥ 将来。未来。ゆくすえ。のち。
- [初出の実例]「大太刀を たれはき立ちて 抜かずとも 須衛(スヱ)はたしても 会はむとぞ思ふ」(出典:日本書紀(720)武烈即位前・歌謡)
- ⑦ ある期間の終わり。おわり。末期。
- [初出の実例]「七日の頭(スヱ)に到りて、肉団(ししむら)開敷(ひら)きて百の童子有り〈真福寺本訓釈 頭 数恵爾〉」(出典:日本霊異記(810‐824)下)
- ⑧ 生涯の終わりの時期。晩年。
- [初出の実例]「残りとまれる齢(よはひ)のすゑにもあかず悲しと思ふこと多く」(出典:源氏物語(1001‐14頃)若菜下)
- ⑨ 道義や政治、風俗、財産などの衰えた世。末の世。
- [初出の実例]「彌陀の教へをたのまずは、末の法、よろづ年々ふるまでに余経の法はよもあらじ」(出典:光悦本謡曲・当麻(1435頃))
- ⑩ 月末。下旬。
- [初出の実例]「時に建久四年、五月のすゑのいつの夜の、天はくらしと申せども」(出典:幸若・夜討曾我(室町末‐近世初))
- ⑪ 時間がかなりたったあと。
- [初出の実例]「むげのすゑに参り給へりし入道の宮に」(出典:源氏物語(1001‐14頃)若菜上)
- ⑫ 物事の行なわれたあと。結果。また、なごり。
- [初出の実例]「さらばかうにこそはと打ち解け行くすゑにありありて」(出典:源氏物語(1001‐14頃)若菜上)
- ⑬ 人の行ったその方向。これから行く方向。
- [初出の実例]「飛ぶが如くに迯(にげ)けるを、人末に多く走合て捕(とらへて)打伏せて縛て」(出典:今昔物語集(1120頃か)二三)
- ⑭ 複数の子のうち、いちばん年少の子。末子。
- [初出の実例]「かく心ことなる御腹にて、すゑに出ておはしたる」(出典:源氏物語(1001‐14頃)柏木)
- ⑮ 幼少。
- [初出の実例]「すゑの君だち思ふさまにかしづき出だして見むとおぼしめすにぞ」(出典:源氏物語(1001‐14頃)絵合)
- ⑯ 末座。末席。下座。
- [初出の実例]「みこたちの御座のすゑに源氏つき給へり」(出典:源氏物語(1001‐14頃)桐壺)
- ⑰ 短歌の下の句。
- [初出の実例]「かち人の渡れど濡れぬえにしあれば、と書きて、すゑはなし」(出典:伊勢物語(10C前)六九)
- ⑱ 文や単語の終わり。文末や語尾。
- [初出の実例]「『色変はる袖をば露の宿りにてわが身ぞさらにおき所なき、はつるる糸は』とすゑは言ひ消ちて」(出典:源氏物語(1001‐14頃)椎本)
- ⑲ 後編。
- [初出の実例]「巻上 末」(出典:明衡往来(11C中か))
- ⑳ もと。起点。
- [初出の実例]「明暁寅刻虧初、辰刻復レ末」(出典:玉葉和歌集‐寿永元年(1182)一一月一五日)
- ㉑ 宮中、将軍、大名などにつかえた女中。おすえ。
- [初出の実例]「得選女官六人夜参。召レ末給レ酒」(出典:看聞御記‐永享七年(1435)一二月二六日)
- ㉒ 下等。下級。また、そのもの。
- [初出の実例]「末(スヘ)の傾城四人まいりて」(出典:浮世草子・好色一代男(1682)八)
- ㉓ 主要でないこと。
- ㉔ 下流。川下。しも。
- [初出の実例]「石清水流れのすゑぞたのまるる心もゆかぬ水屑とおもへば」(出典:梁塵秘抄(1179頃)二)
- ㉕ 神楽歌を奏するのに神座に向かって右方の座席。また、そこにすわる奏者。末方。末方の主唱者である末拍子(すえびょうし)にもいう。また、その受持ちの歌の部分。
- [初出の実例]「〈本〉榊葉の 香をかぐはしみ〈略〉〈末〉神籬の 御室の山の 榊葉は 神の御前に 茂りあひにけり」(出典:神楽歌(9C後)採物)
- ㉖ 七、または八をいう、呉服屋仲間の符丁。
まつ【末】
- [ 1 ] 〘 名詞 〙
- ① こな。粉末。
- [初出の実例]「僧、松栢の脂の末を以て法義に令食しむ」(出典:今昔物語集(1120頃か)七)
- ② 中国の旧劇の役割の一つで、端役のこと。
- [初出の実例]「開場事を始るを、命(なづく)るに末(マツ)(〈注〉スヱ)ここにいふ立役すぢし也。序びらきに狂言のすぢをいふ をもてし」(出典:読本・曲亭伝奇花釵児(1804)序)
- [ 2 ] 〘 接尾語 〙 月や年など、ある期間の終わりにあたる時期。
- [初出の実例]「毎年末(マツ)予算案の編成をまって」(出典:東京年中行事(1911)〈若月紫蘭〉十二月暦)
うら【末】
- 〘 名詞 〙
- ① 枝先。こずえ。うれ。
- [初出の実例]「小里(をさと)なる花橘を引きよぢて折らむとすれど宇良(ウラ)若みこそ」(出典:万葉集(8C後)一四・三五七四)
- ② 先端。すえ。
- [初出の実例]「箸の本末と云事個とは、ほそきはうら、ふときは本なり」(出典:京極大草紙(室町後)躾式法之事)
うれ【末】
- 〘 名詞 〙 草の茎や葉、木の枝などの先端。はずえ。こずえ。すえ。うら。
- [初出の実例]「後見むと君が結べる磐代(いはしろ)の小松が宇礼(ウレ)をまた見けむかも」(出典:万葉集(8C後)二・一四六)
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例
Sponserd by 
普及版 字通
「末」の読み・字形・画数・意味
出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報
Sponserd by 
末
まつ
mo
中国演劇の役柄の一つ。元雑劇では主役として重要な役柄であったが,家従,馬夫など端役に変り,老生に組入れられ,次第にすたれつつある。老生は中年と老年を演じ黒いひげをつけるが,白いひげをつけた老年を末という。現在,末を除く4つが中国演劇の主要な役柄となった。 (→京劇 )
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
Sponserd by 