(読み)おし

デジタル大辞泉の解説

しのぶ【忍】

シノブ科の多年生のシダ。山中の岩や樹木に着生。根茎は褐色の鱗片(りんぺん)を密にかぶり、葉身は三角形で細かく裂ける。江戸時代から根や茎を丸めて釣り忍として観賞用にする。しのぶぐさ。 夏》「大岩にはえて一本―かな/鬼城
ノキシノブの別名。
襲(かさね)の色目の名。表は薄い萌葱(もえぎ)、裏は青。秋に用いる。
忍髷(しのぶわげ)」の略。
忍摺(しのぶず)り」の略。
「―のみだれやとうたがひ聞こゆることもありしかど」〈・帚木〉

にん【忍】

こらえること。「の一字」
仏語。
㋐忍辱(にんにく)の意。苦難に耐えること。
修行階位の忍位。四諦(したい)の理を理解し、善根も定まって、悪趣に落ちない位。

にん【忍】[漢字項目]

常用漢字] [音]ニン(呉) [訓]しのぶ しのばせる
がまんする。じっとこらえる。「忍苦忍従忍耐隠忍堪忍堅忍
むごいことを平気でする。「残忍
隠れて行動する。「忍者忍術
[名のり]おし・しの・たう
[難読]忍冬(すいかずら)忍辱(にんにく)

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百科事典マイペディアの解説

忍【おし】

埼玉県行田(ぎょうだ)市の中心をなす旧忍町地区。1490年成田親泰が忍城を築き,その城下町として発展,1590年石田三成が荒川の水を引き忍城を水攻めしたが容易に落ちなかった。江戸時代は松平氏の城下。水攻めのときの堤(石田堤)が残る。

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世界大百科事典 第2版の解説

おし【忍】

武蔵国埼玉郡の地名。現在の埼玉県行田(ぎようだ)市。利根川と荒川の乱流によって形成された沖積平野の自然堤防上に位置する。
[中世]
 1190年(建久1)源頼朝の上洛に際し随兵として従った忍三郎・同五郎は,ここを本領とした武士であろう。文明年間(1469‐87)ごろ,成田親泰が山内・扇谷両上杉氏の争いに乗じてここに築城して以来,成田氏代々の居城となった。1509年(永正6)ごろここを訪れた連歌師柴屋軒宗長(さいおくけんそうちよう)は,忍城のようすを〈水郷なり。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説


おし

埼玉県北部、行田市(ぎょうだし)の一地区。旧忍町。利根(とね)川と荒川によって形成された沖積平野の自然堤防上に位置する。中世成田氏が築城した忍城があり、江戸時代は忍藩の城下町。士族町を忍、町人町を行田とよぶ。忍城跡は行田市郷土博物館となっていて、三層の櫓(やぐら)が再建されている。[中山正民]

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動植物名よみかた辞典 普及版の解説

忍 (シノブ)

学名:Davallia mariesii
植物。シノブ科の落葉多年草,園芸植物

忍 (シノブ)

植物。軒忍の古名

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精選版 日本国語大辞典の解説

おし【忍】

埼玉県行田市の中心部の地名。旧忍町。延徳年間(一四八九‐九二)成田親泰がこの地に忍城を築城。天正一八年(一五九〇)石田三成の水攻めを受けた。江戸時代は忍藩の城下町として発展。武家屋敷町を忍(成田)、町人町を行田と称した。

しぬ・ぶ【忍】

〘他バ上二・バ四〙 (現在、「の」の甲類の万葉仮名とされている「怒」「努」「弩」などを「ぬ」とよんだところから、「しのぶ(偲)」を「しぬぶ」とよみ、それを「しのぶ(忍)」にまでおよぼしてできた語) じっとこらえる。また、目立たないようにひそかにする。
※良寛歌(1835頃)「かすみたつ ながき春日を しぬびかね 夕さりくれば からにしき 里たちいでて」

しのば・す【忍】

〘他サ五(四)〙 =しのばせる(忍)
浄瑠璃夏祭浪花鑑(1745)九「お前をかふした所に忍ばして置きまするも」

しのば‐・せる【忍】

〘他サ下一〙 (五段動詞「しのぶ(忍)」に助動詞「せる」が付いてできたもの)
① 他人にわからないようにそっと入れておく。かくし持つ。
※浄瑠璃・十二段草子(1610‐15頃か)五「笙の笛、横笛四管の吹物を、紫檀の矢立にとりそへて、馬手の脇にしのばせたり」
② 目立たないようにする。ひそめる。
※人間失格(1948)〈太宰治〉第三の手記「無意識に足音をしのばせて、アパートのシヅ子の部屋の前まで来ると」

しのび【忍】

〘名〙 (動詞「しのぶ(忍)」の連用形の名詞化)
① 目立たないようにすること。隠れたりして人目を避けること。
※書紀(720)安康即位前(図書寮本訓)「爰に太子、穴穂皇子を襲(おそ)はむと欲て密(シノヒ)に兵を設けたまふ」
② 人目に付かないような、もののかげ。
※草根集(1473頃)九「いつの世につかひはなれしをし鳥の蘆の忍ひにひとり鳴声」
③ こらえること。がまんすること。
※蓬莱曲(1891)〈北村透谷〉三「望にも未来にも欺かれ尽してわが心は早や世の詐誷(いつはり)を坐して待つ忍耐(シノビ)を失せたりける」
※台記‐保延二年(1136)一二月二一日「前駆共人一人不相具、忍之故也」
⑤ 「しのび(忍)の術」の略。
※古活字本荘子抄(1620頃)八「しのひの上手を憑てさし殺さんとす」
⑥ 「しのび(忍)の者」の略。
※太平記(14C後)二〇「逸物の忍(シノヒ)を八幡山へ入れて、神殿に火をぞ懸たりける」
※浄瑠璃・菅原伝授手習鑑(1746)四「忍びの鍔元くつろげて〈略〉堅唾を、呑んでひかへ居る」
⑧ 「しのびあい(忍逢)」の略。
※洒落本・自惚鏡(1789)牽頭医しゃ「そんなうろていたこっては、しのびのちょんちょんまくはならねいのさ」
⑨ 伏兵。
※狂歌・徳和歌後万載集(1785)三「つはものの気ははり弓の陣中にしのびのつらをみだすかりがね」
⑩ 他人の財物をひそかに盗む者。窃盗。
※鹿苑日録‐天文八年(1539)五月一六日「蔭凉江忍之盗入て取物云々」

しの・ぶ【忍】

[1] 〘他バ上二〙
① 気持を抑える。痛切な感情を表わさないようにする。
万葉(8C後)一七・三九四〇「万代(よろづよ)に心は解けてわが背子がつみし手見つつ志乃備(シノビ)かねつも」
※源氏(1001‐14頃)帚木「つらき心をしのひて思ひ直らん折を見つけんと」
② 動作を目立たないようにする。隠れたりして人目を避ける。
※万葉(8C後)六・九六五「凡(おほ)ならばかもかもせむを恐(かしこ)みと振り痛き袖を忍(しのび)てあるかも」
③ 我慢する。忍耐する。
※万葉(8C後)一六・三七九五「辱(はぢ)を忍(しのび)辱を黙(もだ)して事もなく物言はぬさきに我は寄りなむ」
[2] 〘他バ五(四)〙
① (一)①に同じ。
※平中(965頃)二「こと局に、人あまた見ゆるを、えしのばで、言ひやる」
② (一)②に同じ。
※風俗歌(9C前‐11C中か)小車「宵入(よひり)を之能者(シノバ)せ夫(せ) よやな 我忍ばせ子 我忍ばせ」
※平家(13C前)一二「平家の子孫京中に多くしのんでありときく」
③ (一)③に同じ。
※発心集(1216頃か)三「心ざし深くして苦(くるし)みを忍(シノ)ぶ故に大なる供養となるにこそはあらめ」
[語誌](1)「しのふ(偲)」と「しのぶ(忍)」には、上代に「の」の甲類乙類の区別、「ふ」「ぶ」の清音濁音の対立、四段と上二段の活用の相違があった。
(2)中古になると、「の」の甲乙の区別の消滅と「しのふ」の「ふ」の濁音化とによって、逢えない人に逢いたい(「偲ふ」)切実な感情を表に出さない(「忍ぶ」)ことを、重層的に表現する「忍ぶ恋」の発想が文学表現として好まれるようになった。
(3)打消や意志の表現によく使われる未然形は、「偲ぶ」(四段)に引きつけられて中古前期から「しのば」の形が見られる。やがて、意味の区別を語形の違いに表わさなくなり、「偲ぶ」(四段)との同化はすべての活用形に及ぶ。(二)の「しのぶ(忍)」(四段)は、そのようにして生まれたものである。
(4)用例の大部分を占める連用形は上二段活用と四段活用の区別ができないので、仮に、連用形の用例は中古までは(一)に、中世以降は(二)に入れた。
(5)現代語では四段活用が普通であるが例外として「…するにしのびない(しのびず)」の形で上二段型が残っている。→しのびない

しのぶら・う しのぶらふ【忍】

〘他ハ四〙 (上二段動詞「しのぶ(忍)」の反復継続態) ずっと耐えしのぶ。感情をおさえつづける。しぬぶらう。
※万葉(8C後)一六・三七九一「舎人をとこも 忍経等氷(しのぶらひ) 還らひ見つつ」
[補注]語尾の「ふ」は、反復・継続の助動詞とされるものであろうが、「しのぶらふ」という語形の成立については確説がない。

にん【忍】

〘名〙
① こらえ、がまんすること。
十訓抄(1252)八「一人は忍を信ずるによりて褒美にあへるたとへなり」 〔書経‐君陳〕
仏語
(イ) 忍辱(にんにく)・安忍・通達の三義を説くのが一般。他からの侮辱などに耐え、みずからの苦しみにも心を動かすことなく、真実の道理を悟って、心を安んずること。
教行信証(1224)三「即可得喜悟信之忍」 〔勝鬘経‐摂受章〕
(ロ) 修行の階位である四善根の一つ、忍法のこと。四諦の理をはっきり捉えて、善根が定まり、もう悪趣に落ちることのない位をいう。
往生要集(984‐985)大文一〇「如次忍頂軟」

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