精選版 日本国語大辞典「期」の解説
き‐・する【期】
〘他サ変〙 き・す 〘他サ変〙
① 期限や時刻を定める。期限とする。限る。予定する。
※本朝文粋(1060頃)一四・為謙徳公報恩修善願文〈菅原文時〉「月与レ秋期、而身何去」
② あらかじめあることを期待する。予期する。予想する。待ちもうける。かねてより願う。
※和漢朗詠(1018頃)上「詞は微波に託してかつかつ遣るといへども、心は片月を期して媒とせんとす〈菅原輔昭〉」
③ あらかじめあることをしとげようと決心する。覚悟する。確信する。
※清国に対する宣戦の詔勅‐明治二七年(1894)八月一日「各々権能に応じて、一切の手段を尽すに於て、必ず遺漏なからむことを期せよ」
④ 誓う。約束する。
※枕(10C終)一三七「殿上にていひきしつる本意(ほい)もなくては、など帰り給ひぬるぞ」
ご【期】
〘名〙 (「ご」は「期」の呉音)
① とき。おり。また、「期(も)なし」の形で、際限なく、の意で用いられる。
※霊異記(810‐824)下「犬の枯れたる骨を齧(かぶ)るに、飽厭(あ)く期無きが如し」
※大鏡(12C前)六「申すべきことはごもなく侍るを、もしまことにきこしめしはてまほしくば、駄一疋たまはせよ」
② 死ぬ時。最期。末期。
※大和(947‐957頃)一六八「かかる山の末に籠り侍りて、死なむをごにてと思う給ふるを」
※大観本謡曲・土蜘蛛(室町末)「今は期をまつばかりなり」
③ 江戸時代、主に遊里で、夜の九つ時(現在の午後一二時頃)をいう。〔随筆・羇旅漫録(1802)〕
き【期】
〘名〙
① ある一定の時期や期間。「一期」「幼児期」など接尾語的に用いることが多い。
※白氏文集天永四年点(1113)四「此の恨み長く在て銷(きゆ)る期(キ)無けむ」 〔李白‐送陸判官往琵琶峡詩〕
② しおどき。おり。時機。機会。
※玉葉‐寿永三年(1184)二月五日「見参無二其期一歟云云」 〔漢書‐楊僕伝〕
③ かぎり。期限。〔詩経‐小雅・南山有台〕
④ 約束の期日。転じて、約束。契約。
ご‐・する【期】
〘他サ変〙 ご・す 〘他サ変〙
① 前もってそうしようと心にきめる。決意する。予定をたてる。きする。
※今昔(1120頃か)四「人の夫妻の間は百年の契を期(ご)す」
② かねて待ち設ける。期待する。きする。
※栄花(1028‐92頃)玉の村菊「この折だにしるしをえ奉らずなり、御恩をかぶらでは、いつをかごせむ」
③ 覚悟する。予期する。きする。
※平家(13C前)一一「敵の矢にあたって死なん事、もとより期する処で候也」
[補注]「期」は呉音「ご」、漢音「き」で、古くは両様の慣用があった。→きする(期)
ご‐・す【期】
〘他サ変〙 ⇒ごする(期)
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