(読み)カイ

デジタル大辞泉 「階」の意味・読み・例文・類語

かい【階】

[名]
上がり段。きざはし。階段。
多層の建物の一つの層。「受付は2にある」
地質年代による地層区分の最小の単位。年代区分の「」に対応し、「」を細分したもの。
数学で、微分方程式に含まれる未知関数の導関数の最高次数。
[接尾]助数詞
建築物の層を数えるのに用いる。「35建てのビル」
位階の等級を数えるのに用いる。
「一―こえて、内侍督ないしのかみ三位の加階し給ふ」〈宇津保・蔵開下〉
[類語](1階段階梯段段きざはし石段石階/(2フロア

かい【階】[漢字項目]

[音]カイ(漢) [訓]きざはし
学習漢字]3年
段になった通路。はしご段。「階段階梯かいてい
地位などの上下の順序。「階級階層位階越階おっかい音階職階段階
建物の床の重なり。「階下地階
[名のり]とも・はし・より

きざ‐はし【階/階】

階段。きだはし。「石の―」
[類語]階段階梯段段石段石階

はし【階/×梯】

(階)庭から建物に上がる階段。きざはし。
「―を三段登る」〈鴎外山椒大夫
(梯)はしご。かけはし。

きだ‐はし【階/階】

きざはし」に同じ。
「―のもとに行きて見れば、履物どもひしと脱ぎたり」〈義経記・三〉

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精選版 日本国語大辞典 「階」の意味・読み・例文・類語

かい【階】

  1. [ 1 ] 〘 名詞 〙
    1. きざはし。きだはし。あがりだん。階段。段。
      1. [初出の実例]「言は壇は階三重なり」(出典:史記抄(1477)九)
      2. [その他の文献]〔礼記‐曲礼上〕
    2. 位の上下のわかち。官位、位階、階級などの等級。きざみ。
      1. [初出の実例]「東宮のすけ、四位、階こえて学士の右大弁三位になる」(出典:宇津保物語(970‐999頃)国譲下)
      2. [その他の文献]〔潘岳‐藉田賦〕
    3. 建築物で、ある一つの層。
      1. [初出の実例]「凡ての階を隅から隅迄歩かせられる事もある」(出典:丸善と三越(1920)〈寺田寅彦〉)
    4. 地質時代の「期」に相当する地質系統。期の期間に堆積した地層。
  2. [ 2 ] 〘 接尾語 〙
    1. 位階の等級を数えるのにいう。
      1. [初出の実例]「凡選人長上於官引唱。番上於省引唱。若三日之内不到者。降一階叙」(出典:延喜式(927)一八)
    2. 建築物の層を数えるのにいう。
      1. [初出の実例]「大仏殿の二階の上には千余人のぼりあがり」(出典:平家物語(13C前)五)
    3. 数学で、微分方程式に含まれる未知関数の導関数の最高次数を示すのに用いる。それがたとえば三ならば三階の微分方程式という。

きざ‐はし【階・段階】

  1. 〘 名詞 〙
  2. のぼりおりするために作った段。階段。きだはし。きざみばし。
    1. [初出の実例]「きざはしは、御手を取りてのぼせ奉り給ふ」(出典:宇津保物語(970‐999頃)楼上下)
    2. 「御前のきざはしを半(なから)ばかり降りさせ給へるところに」(出典:平家物語(13C前)四)
  3. 物事の順序。段階(だんかい)
    1. [初出の実例]「名目部とて初心の僧徒の学問のごとし。それより玄義文句止観にわたる陛のみにて、小僧どもの手に有」(出典:俳諧・一字般若(1772))
  4. 能舞台の正面中央から白洲(しらす)にかけた階段。原則として三段。
    1. [初出の実例]「御前の御能の舞台には、正面に、庭へきざはしあり」(出典:八帖花伝書(1573‐92)六)

はし【階・梯】

  1. 〘 名詞 〙
  2. ( 階 ) 庭から屋内に上る通路として設ける階段。きざはし。きだはし。あがりだん。〔十巻本和名抄(934頃)〕
    1. [初出の実例]「式部はしのかたをみいだしてゐたりけるに」(出典:古今著聞集(1254)五)
  3. ( 梯 ) はしご。かけはし。
    1. [初出の実例]「神庫(ほくら)高しと雖も我能く神庫の為に梯(ハシ)を造(たて)る」(出典:日本書紀(720)垂仁八七年二月(熱田本訓))
    2. 「もののすすけてみゆるところの有ければ、はしにのぼりてみるに」(出典:大鏡(12C前)二)

きだ‐はし【階・段階】

  1. 〘 名詞 〙きざはし(階)
    1. [初出の実例]「きだはしを土にて高からず三尺也」(出典:応永本論語抄(1420)泰伯第八)
    2. 「一のきだはしに女ある」(出典:天正本狂言・伊文字(室町末‐近世初))

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普及版 字通 「階」の読み・字形・画数・意味


常用漢字 12画

(異体字)
12画

[字音] カイ
[字訓] きだ・きざはし

[説文解字]

[字形] 形声
声符は皆(かい)。〔説文〕十四下に「陛(へい)なり」、陛字条に「高きに升(のぼ)る階なり」とあり、また字条に「階のなり」とあって、みな次を以て高きにのぼることをいう。皆に整列する意があり、段階を以て上るべきものをいう。(ふ)は神梯の象。もと祭壇の階をいう語であった。字はまたに作る。

[訓義]
1. きだ、はし、きざはし、祭壇の階。
2. 神梯、はしご、はしごをかける。
3. 段階、位階、階級。
4. のぼる、すすむ、導く。
5. てびき、道、たより。

[古辞書の訓]
〔和名抄〕 波之(はし)、一訓、之奈(しな)〔名義抄〕階 ハシ・シナ・ヨル・ノブ・ススム・ホトリ・ノボル・カナフ・トモニ・コトハリ/或いは階字 マス・ミチ・ミギリ・ハシ・カナフ

[熟語]
階位階宇・階縁・階檐・階下・階禍・階官・階間・階級・階迎・階・階次・階侍・階緒・階序・階除・階職階砌・階前・階漸・階礎・階層階闥・階段・階階秩・階庭・階梯・階途・階堂・階品階陛・階・階封・階由・階歴・階列階廊
[下接語]
倚階・雲階・盈階・楹階・下階・官階・旧階・玉階・勲階・讒階・初階・叙階・上階・進階・塵階・正階・西階・砌階・石階・雪階・前階・階・側階・階・台階・壇階・超階・庭階・天階・殿階・土階・東階・登階・賓階・武階・舞階・文階・門階・踰階・擁階・乱階・履階・階・臨階・階・歴階

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百科事典マイペディア 「階」の意味・わかりやすい解説

階【かい】

地質系統の最小の区分単位。を細分したもの。地質年代の期に対応する。たとえば船川階は船川期に形成された地層・岩体のこと。
→関連項目

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「階」の意味・わかりやすい解説

階[地質層序]
かい[ちしつそうじょ]
stage

地質年代層序区分の最小の単位。を細分したもので,年代区分のに対応する。

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世界大百科事典(旧版)内のの言及

【地質時代】より

…したがって,そのなかのある部分については修正がつづけられたり,問題が残されていたりする。人類の歴史の区分や時間の区分にしても大単元から小単元へと固有の名称があるように,地質系統の区分には累界(累代),界(代),系(紀),統(世),階(期)の用語が使われ,それぞれが,地球の歴史のある単元の中で地球表面に堆積した一連の地層と地層が堆積する間に流れた時間を示すという国際的な約束ができている。累界,界,系,統,階は年代層序区分,累代,代,紀,世,期は年代区分である。…

【階段】より

…異なる高さの床面を結ぶ通路で,段々状になったものをいう。傾斜した地盤上につくり出されるものと,建築物の上下階を結ぶ構造物とがある。形状により,直階段,折れ階段,折返し階段,回り階段,らせん階段などに分けられる。…

【梯子】より

…昇降のための道具。代表的な形は2条の長い材の間に,足がかりの横木(踏子(ふみこ))を一定の間隔で取り付けたもので,これを対象に寄せかけて立て,昇降する。猿梯子とも呼ばれ,木製が多いが竹製,金属製などもある。梯子は古く〈はしのこ〉と呼ばれ,〈こ〉は木の葉(このは)などと同じく〈木〉の古形であり,〈はし〉は端,橋などと同根で,端と端の間に渡すという意味である。〈はしのこ〉は端と端の間に渡した横木を指したが,これがいつしか梯子全体を指すようになったと思われ,梯子を立てることを梯立(はしたて)ともいった。…

【階段】より

…異なる高さの床面を結ぶ通路で,段々状になったものをいう。傾斜した地盤上につくり出されるものと,建築物の上下階を結ぶ構造物とがある。形状により,直階段,折れ階段,折返し階段,回り階段,らせん階段などに分けられる。…

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