機械・器械(読み)きかい

精選版 日本国語大辞典 「機械・器械」の意味・読み・例文・類語

き‐かい【機械・器械】

[1] 〘名〙
① (器械) うつわ。入れ物。また、器具。道具。〔新令字解(1868)〕
※一年有半(1901)〈中江兆民〉三「他の我邦人の如く間接に材料を佩文韻府の如き機械より取り出し来るに非ずして」 〔呂覧‐貴信
② 武器。〔令義解(718)〕〔周礼‐天官・司書
③ 糸やゼンマイなどのしかけのある器具。からくり
※中華若木詩抄(1520頃)下「機械とは、上へはあらはれずして下にてあやつる也」
④ 動力装置をつけて作業をするもの。原動の機構、伝導の機構、作業の機構の三部からなる。この三機構を備えたものを「機械」とし、一機構を欠いたものを「器械」と定義されることもあるが、一般的には前者は規模の大きいもの、後者は規模の小さいものをさすことが多い。
※気海観瀾広義(1851‐58)六「凡そ此規則は総器械術の原礎にして、諸器の機動、皆此理を出づる者なし」
※収穫(1910)〈前田夕暮〉上「遠く活字刷る機械の音にわかれかへりて」
⑤ (器械) 実験、測定などに使う道具。
※小学教則(1872)〈文部省〉「理学輪講〈略〉の類を独見し来て輪講せしめ教師兼て器械を用ゐて其説を実にす」
⑥ 生物の体内の器官
※七新薬(1862)七「総て百般の諸病其初生より中年に至るの間、機械の発育障碍あり」
⑦ 手段。
後世への最大遺物‐再版に附する序言(1899)〈内村鑑三〉「若し此小冊子にして猶ほ新福音を宣伝するの機械となるを得ば」
⑧ 他人に使われて自分の意思を持たないで働くこと。また、その人。
将来之日本(1886)〈徳富蘇峰〉三「ピームが所謂議会にして其権力なき時に於ては唯専制の器械たるに過きずと謂ひしは」
[2] (機械) 小説。横光利一作。昭和五年(一九三〇)発表。新心理主義的手法を用いた作品で、文壇に衝撃を与えた。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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