(読み)チン

デジタル大辞泉 「沈」の意味・読み・例文・類語

ちん【沈】[漢字項目]

常用漢字] [音]チン(漢) ジン(ヂン)(呉) [訓]しずむ しずめる
水などの中に深く入り込む。「沈下沈殿沈没撃沈轟沈ごうちん自沈爆沈浮沈陸沈
気分がふさぎ落ち込む。「沈鬱ちんうつ沈滞沈痛消沈
物事に深入りする。「沈酔沈潜沈湎ちんめん
奥深く静か。落ち着いている。「沈毅ちんき沈静沈着沈黙沈勇深沈
長い間変わらない。「沈痾ちんあ
[補説]中国人の姓の場合は、沈徳潜しんとくせんのように「しん」と読む。
[名のり]うし
難読沈香じんこう沈丁花じんちょうげ

じん〔ヂン〕【沈】

沈香」の略。「く」

じん【沈】[漢字項目]

ちん

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精選版 日本国語大辞典 「沈」の意味・読み・例文・類語

しずみしづみ【沈】

  1. 〘 名詞 〙 ( 動詞「しずむ(沈)」の連用形名詞化 )
  2. 水中に没すること。
  3. みじめな状態になること。
    1. [初出の実例]「浮きも沈(シヅ)みもお前一人にさするでなければ」(出典:おぼろ夜(1899)〈斎藤緑雨〉)
  4. しずめ(沈)
  5. 位置姿勢が瞬間的にさがること。「機体の沈み」
  6. ふとんマットなどに横になったとき、体がめりこむような感じ

ちん【沈】

  1. 〘 名詞 〙
  2. しずむこと。しずみかくれること。
  3. 漢方で、脈搏がかすかであること。
    1. [初出の実例]「脈に七表八裏九道とて二十四種脈あり。〈略〉八裏脈は、属陰、所謂微・沈・緩・渋・遅・伏・濡・弱也」(出典:史記抄(1477)一四)

しずめしづめ【沈】

  1. 〘 名詞 〙 ( 動詞「しずめる(沈)」の連用形の名詞化 )
  2. しずめること。
  3. しずめるためのおもし。しずみ。
    1. [初出の実例]「沈の石を頸に付、淵の底へ入られける」(出典:神道集(1358頃)七)

じんヂン【沈】

  1. 〘 名詞 〙じんこう(沈香)」の略。
    1. [初出の実例]「白銀のひとりに、白銀の籠、作りおほひて、ぢんをつきふるひて、灰に入れて下の思ひにすべて黒方をまろがして」(出典:宇津保物語(970‐999頃)藤原の君)

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普及版 字通 「沈」の読み・字形・画数・意味


常用漢字 7画

[字音] チン・シン・ジン(ヂン)
[字訓] しずむ・かくれる・しずか

[説文解字]
[甲骨文]
[金文]

[字形] 形声
声符は(いん)。に枕・鴆(ちん)の声がある。〔説文〕十一上に「陵上の(たま)れる水なり」とし、(こう)字条に「久雨なり」とあって、久雨による溜り水の意とする。また「一に曰く、濁(だくたん)なり」とあって、水底の泥土をいう。卜文の沈の字形は、水間に牛や羊を加えた形に作り、これは川沢を祀るときに、犠牲を沈める意で、沈は沈(ちんばい)を本義とする字である。は埋、埋牲をいう。のち形声の字となり、声を用いるが、は枕、横たわる意である。水底に沈み横たわることをいう。姓のときはシンとよむ。

[訓義]
1. しずむ、しずめる、犠牲を沈める、水中に入る。
2. かくれる、ひそむ。
3. おちぶれる、くだる、さがる。
4. しずか、おちつく、やすらか、ふかい。
5. ふける、かまける、久しくつづく、ふかくかさなる。
6. 湛と通じ、しずむ、おぼれる、ふける。

[古辞書の訓]
名義抄〕沈 シヅム・ヤドル・ツク・トドム・ヲツ/沈中 ナカゴロ 〔立〕沈 トドム・クダル・ミツ・ヒル・シヅム・ウカブ・フカシ・イル・ヒタス

[声系]
声の字に・眈・枕・忱・耽・などがあり、沈む意と横たわる意とがある。

[熟語]
沈香・沈・沈痾・沈圧・沈委・沈懿・沈佚・沈飲・沈・沈・沈殞・沈隠・沈鬱・沈・沈雲・沈・沈翳・沈・沈婉・沈遠・沈汚・沈果・沈雅・沈臥・沈・沈悍・沈陥・沈毅・沈機・沈玉・沈吟・沈・沈研・沈健・沈痼・沈辜・沈厚・沈困・沈昏・沈猜・沈思・沈祠・沈滓・沈漬・沈摯・沈実・沈詳・沈情・沈深・沈身・沈浸・沈審・沈酔・沈水・沈粋・沈・沈正・沈静・沈寂・沈跡・沈潜・沈漸・沈滞・沈濁・沈湛・沈嘆・沈澹・沈着・沈著・沈重・沈沈・沈痛・沈・沈・沈頓・沈年・沈・沈浮・沈伏・沈璧・沈謀・沈朴・沈墨・沈没・沈密・沈眠・沈迷・沈冥・沈湎・沈綿・沈・沈黙・沈勇・沈雄・沈憂・沈抑・沈乱・沈慮・沈寥・沈淪・沈・沈和・沈惑
[下接語]
気沈・祈沈・撃沈・自沈・升沈・消沈・銷沈・浸沈・深沈・水沈・泥沈・投沈・爆沈・浮沈・勇沈・幽沈・抑沈・陸沈

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動植物名よみかた辞典 普及版 「沈」の解説

沈 (ジン)

植物ジンチョウゲ科の常緑高木,薬用植物ジンコウ別称

出典 日外アソシエーツ「動植物名よみかた辞典 普及版」動植物名よみかた辞典 普及版について 情報

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