熱波(読み)ねっぱ

精選版 日本国語大辞典 「熱波」の意味・読み・例文・類語

ねっ‐ぱ【熱波】

〘名〙 暖波よりさらに高温の現象をいう。

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デジタル大辞泉 「熱波」の意味・読み・例文・類語

ねっ‐ぱ【熱波】

セ氏40度前後にも及ぶ高温の空気が地上を覆う現象。温帯地方の暖候期熱帯地方にみられる。→暖波
[類語]暑い蒸し暑い暑苦しい暑さ焼け付く蒸すいきれ人いきれ草いきれむんむんむしむしする猛暑暑気酷暑極暑激暑厳暑炎暑大暑暑熱炎熱酷熱温気向暑残暑焦熱極熱灼熱しゃくねつむっと熱気蒸れる火照ほて暑中炎天油照り日照り日盛りかんかん照りじっとりじとじとじめつくうだる湿潤多湿

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「熱波」の意味・わかりやすい解説

熱波
ねっぱ

非常に高温な空気が広い地域を覆うこと。通常、次のような要因が考えられている。

(1)温暖な発達した高気圧の圏内で、下降気流によって上空の空気が地表まで運ばれるときにおきる空気の断熱昇温
(2)山岳風下における下降気流による断熱昇温(フェーン現象
(3)乾燥した晴天下での日射による昇温
(4)乾燥した地表面では水分の蒸発による冷却作用が欠ける
これらの影響が重なって異常な高温が現れる。熱波は高気圧の盛衰にしたがって強弱を繰り返しながら、数日からときには数週間持続する。また、温帯地方や寒帯地方では北方の低気圧に向かって温暖な南寄りの風が吹き続くと、その地域は異常に温暖な天候となるが、このように異常に温暖な空気に覆われることを暖波という。通常、寒帯地方あるいは温帯地方の寒候期に現れる顕著な高温を暖波、温帯地方の暖候期や熱帯地方に現れる猛暑を熱波とよぶ。また、熱波と暖波は非常に温暖な空気に広い地域が覆われるという意味で、同義語として用いられることもある。1980年のアメリカ合衆国南部を中心とする熱波は、6月下旬から7月中旬まで続き、暑さによる死者は1000人を超えた。1990年代以降、世界的な気温の上昇とともに、熱波の発生頻度が増加する傾向にある。2003年夏、ヨーロッパの広範な地域が熱波にみまわれ、熱中症による死者、干魃(かんばつ)、電力不足、森林火災等の被害が多発した。フランスでは死者が1万人を超えた。

[能登正之]

『船瀬俊介著『温暖化の衝撃』(1997・三一書房)』『平野敏右・黒田勲・小林恭一・駒宮功額ほか編『環境・災害・事故の事典』(2001・丸善)』

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「熱波」の意味・わかりやすい解説

熱波
ねっぱ
heat wave

著しく高温な空気が,ある地域を覆う現象。寒波とは逆の現象。北半球では,夏にブロッキング現象などによって卓越風が極端に南寄りになって持続するときに発生する。1987年7月ギリシアではアテネの気温が 45℃まで上昇し,1000人以上の死者が出た。2003年にはヨーロッパが広く熱波に襲われ,各地で 5万2000人以上が死亡した。

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知恵蔵 「熱波」の解説

熱波

寒波」のページをご覧ください。

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デジタル大辞泉プラス 「熱波」の解説

熱波

米国の作家エド・マクベインの警察小説(1981)。原題《Heat》。「87分署」シリーズ。

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