蒸す(読み)ムス

デジタル大辞泉 「蒸す」の意味・読み・例文・類語

む・す【蒸す】

[動サ五(四)]
むし暑く感じられる。むしむしする。「密閉されて部屋の中が―・す」
湯気を当てて熱を通す。ふかす。「芋を―・す」「冷めた御飯を―・す」
賭博とばくで、倍にする。
「勝てば―・して十六貫」〈浄・丹波与作
[可能]むせる
[類語](1むんむん暑い蒸し暑い暑苦しい暑さ焼け付くむしむしするいきれ人いきれ草いきれ猛暑暑気酷暑極暑激暑厳暑炎暑大暑暑熱炎熱酷熱熱波温気向暑残暑焦熱極熱灼熱しゃくねつむっと熱気蒸れる火照ほて暑中炎天油照り日照り日盛りかんかん照りじっとりじとじとじめつくうだる湿潤多湿/(2かす蒸らす蒸れる

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精選版 日本国語大辞典 「蒸す」の意味・読み・例文・類語

む・す【蒸】

  1. [ 1 ] 〘 自動詞 サ行五(四) 〙 風が無く温度が高く、しかも湿気があって、暑さがこもるように感じられる。湯気の中にいるように熱くてじとじとする。
    1. [初出の実例]「空の中、火下(ふ)り煙焔雲に蒸(ムス)」(出典:大唐西域記長寛元年点(1163)七)
    2. 「今宵もきつう蒸(ムシ)ますナアと、隣の家へ愛相いふて」(出典:滑稽本・浮世風呂(1809‐13)四)
  2. [ 2 ] 〘 他動詞 サ行五(四) 〙
    1. 湯気を通して熱する。熱気を通して熟させる。ふかす。
      1. [初出の実例]「乃ち、羽を飯の気(け)に蒸(ムシ)て、帛(ねりきぬ)を以て羽に印(お)して、悉に其の字を写す」(出典:日本書紀(720)敏達元年五月(前田本訓))
      2. 「マンヂュウヲ musu(ムス)」(出典:日葡辞書(1603‐04))
    2. 軍陣で、かがり火をたき、鬨(とき)の声をあげて、今にも攻めかかろうとする気勢を敵に示す。
      1. [初出の実例]「四五日を経て後、方々の峯に篝火を焼て、一蒸蒸(ムス)程ならば、坂東武者の習、程無く機疲て」(出典:太平記(14C後)六)
    3. 倍にする。博打(ばくち)で用いる語。
      1. [初出の実例]「こちは八貫出して置く、まければそれでとりやりなし、かてばむして十六貫」(出典:浄瑠璃・丹波与作待夜の小室節(1707頃)中)
    4. 双六(すごろく)で、相手の石を盤の一隅に追い詰めて進退ができないようにする。
      1. [初出の実例]「二六時中の暮がたふ、白黒とのみ、何わきまゆるかたなふ候、大和(やまと)本手(ほんで)の事ばかり、おもひきられぬ石づかい、心づかいに戸口をしめて、一六さまの出も入もならぬやうにして、むしがへしを心あてに、月なき夜半によいめにあふて、幾度も幾度もむされ度(たく)候」(出典:浮世草子・好色産毛(1695頃)二)
    5. いやがらせをする。
      1. [初出の実例]「文山のやうに何やうにをどしてもむしても屈することでないは」(出典:仁説問答師説(1688‐1710)宝永三年講)

うま・す【蒸】

  1. 〘 他動詞 サ行四段活用 〙 ( 「うむす(蒸)」の変化した語 ) むす。ふかす。
    1. [初出の実例]「飯 ウマス」(出典:観智院本名義抄(1241))

うむ・す【蒸】

  1. 〘 他動詞 サ行四段活用 〙 湯気で熱する。むす。うもす。〔新撰字鏡(898‐901頃)〕

うも・す【蒸】

  1. 〘 他動詞 サ行四段活用 〙 湯気で熱する。むす。うむす。〔観智院本名義抄(1241)〕

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栄養・生化学辞典 「蒸す」の解説

蒸す

 水蒸気食品を加熱する調理法

出典 朝倉書店栄養・生化学辞典について 情報

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