(読み)ケン

デジタル大辞泉 「見」の意味・読み・例文・類語

けん【見】[漢字項目]

[音]ケン(呉)(漢) ゲン(呉) [訓]みる みえる みせる まみえる あらわれる
学習漢字]1年
ケン
みる。みえる。「見学見物見聞一見所見書見拝見
人に会う。「見参引見謁見会見接見
あらわれる。「露見
見かた。考え。「見解見地意見私見識見政見浅見卓見定見偏見予見
〈み〉「見所味見形見姿見花見夢見
[名のり]あき・あきら・ちか・み
難読左見右見とみこうみ見蕩みとれる傍見わきみ

けん【見】

物事見方考え方。見解。「皮相
「学博く―高し」〈露伴露団々
見るだけで買わないこと。ひやかし。素見すけん
遊女の―して帰るなど」〈浮・娘気質・一〉

み【見】

見ること。また、見える状態。多く、他の語と複合して用いられる。「姿」「月
「山見れば―のともしく川見れば―のさやけく」〈・四三六〇〉

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「見」の意味・読み・例文・類語

けん【見】

  1. 〘 名詞 〙
  2. みること。〔日葡辞書(1603‐04)〕
  3. かんがえ。思いつき。見解。また、見識。主張。仏教では、多くまちがった見解の意に用いる。五見などはその例。
    1. [初出の実例]「いまいふところの見、またく仏法にあらず。先尼外道が見なり」(出典:正法眼蔵(1231‐53)弁道話)
    2. 「唯徒に見を高(たかう)し、古を破り、人を違ふを手柄に」(出典:俳諧去来抄(1702‐04)修行)
    3. [その他の文献]〔勝鬘経‐顛倒真実章〕
  4. 能で、演技者が観衆に与える効果のうち視覚に訴える美。見風。
    1. [初出の実例]「能の出で来る当座に、見・聞・心の三あり」(出典:花鏡(1424)比判之事)
  5. 物や遊女を見るだけで買わないこと。ばくちで、見ているだけで賭けないこともいう。また、その人。ひやかし。素見(すけん)
    1. [初出の実例]「折折は・揚屋の辻に見(ケン)ばかり」(出典:雑俳・ちゑぶくろ(1709))
  6. 星が姿を現わして、見ることができる時をいう。
    1. [初出の実例]「六星悉(ことごと)く太陽を心とし〈略〉絶て其体を見ることを得ざるの時あり、之を伏と云ふ。其見るべきの時を見と云ふ」(出典:遠西観象図説(1823)下)

み【見】

  1. 〘 名詞 〙 ( 動詞「みる(見)」の連用形名詞化 ) 見ること。また、はたから見える物の状態。
    1. [初出の実例]「山見れば 見(み)の羨しく 川見れば 見(み)のさやけく」(出典:万葉集(8C後)二〇・四三六〇)

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普及版 字通 「見」の読み・字形・画数・意味


常用漢字 7画

[字音] ケン・ゲン
[字訓] みる・あらわれる

[説文解字]
[甲骨文]
[金文]

[字形] 象形
目を主とした人の形。卜文に耳を主とした人の形があり、それは聞の初文。見・聞は視聴の器官を主とする字であるが、見・聞の対象は、霊的なものに向けられていた。見は〔説文〕八下に「るなり」とあり、(視)るとは神(示)を見ることである。新しい父母の位を拝することを親という。〔詩〕には、「瞻(み)る」(見めぐらす)、〔万葉〕には「見る」「見れどかぬ」という定型的な表現があって、その対象と霊的な関係をもつことを意味する。

[訓義]
1. みる、みえる。
2. あらわれる、あらわす。
3. まみえる、あう。
4. みとめる、しる、かんがえる。
5. 現と通じ、いま、現在。
6. 受身をあらわす。る、らる。

[古辞書の訓]
名義抄〕見 ミル・ミユ・マミユ・シメス・イマ・ヱラム・ワレ・イチジルシ・セラル・アラハス・アラハル・サトル 〔立〕見 セラル・サブラフ・イチジルシ・サトル・アラハル・ウツツナリ・シメス・メヅラシ・シムルナリ・マタシ・マミユ・ミル

[部首]
〔説文〕に(観)・覽(覧)・親など四十四字、次の部に三字を属する。〔玉〕には見部九十七字。見部の字のうち金文にみえるものには、儀礼に関する字が多い。

[声系]
〔説文〕に見声として俔・硯など十字を収める。硯はまた(研)に作り、の方がその声義にあう。

[語系]
見・現hyanは顯(顕)xianと声義が近い。〔説文〕九上に顯を「頭のなり」とするが、〔爾雅、釈詁〕に「見(あら)はる」とするのがよく、霊が現われる意。日の形は玉。それに呪飾をつけ、憑代(よりしろ)として霊を招き、その現われた霊を拝するのを顯という。現はその呪飾を省いた形。見・現・顯は一系の語である。

[熟語]
見哀・見員・見役・見駕・見解・見学・見額・見幾・見危・見棄・見機・見義・見教・見金・見恵・見功・見効・見行・見刻・見今・見在・見歯・見事・見示・見識・見羞・見小・見証・見象・見説・見説・見銭・見素・見短・見地・見知・見任・見背・見聞・見兵・見面・見容・見竜・見糧・見臨
[下接語]
異見・意見・一見・引見・隠見・謁見・延見・遠見・横見・憶見・臆見・我見・外見・概見・罕見・管見・眼見・窺見・今見・愚見・後見・高見・再見・細見・裁見・散見・私見・賜見・時見・識見・実見・邪見・習見・巡見・初見・所見・書見・親見・政見・省見・接見・先見・浅見・素見・相見・創見・想見・総見・俗見・他見・卓見・達見・短見・知見・兆見・朝見・定見・洞見・拝見・博見・発見・披見・卑見・鄙見・必見・見・表見・見・聞見・見・僻見・偏見・望見・未見・妙見・予見・利見・了見・露見

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