デジタル大辞泉
「精霊」の意味・読み・例文・類語
せい‐れい【精霊】
1 万物の根源をなすとされる不思議な気。精気。
2 あらゆる生物・無生物に宿り、また、その宿り場所を変え、種々の働きをするとされる超自然的存在。
3 死者のたましい。霊魂。
[類語]魑魅・魍魎・山霊・木霊
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しょう‐りょうシャウリャウ【精霊・聖霊】
- 〘 名詞 〙 ( 「しょう」「りょう」はそれぞれ「精」「聖」、「霊」の呉音 ) 仏語。
- ① 人の神識、あるいはものの精。しょうらい。
- [初出の実例]「木は是れ心无し、何(いか)にして声を出さむ。唯聖霊の示すところ、更に疑ふ応(べ)からず」(出典:日本霊異記(810‐824)中)
- ② 死者の霊魂。しょうらい。
- [初出の実例]「又阿彌陀経三巻をみところの聖霊のをむために廻向しまうさせたまう」(出典:法華修法一百座聞書抄(1110)六月一九日)
- 「地獄おどりの小哥なれば、精㚑(シャウリャウ)の、おばばを祭る盆の折から」(出典:俳諧・貝おほひ(1672)一六番)
- ③ 「しょうりょうまつり(精霊祭)」また「しょうりょうえ(精霊会)」の略。《 季語・秋 》
- [初出の実例]「しゃうりゃうと女房を留守に急な旅」(出典:雑俳・柳多留‐一九(1784))
- ④ 「しょうりょうとんぼ(精霊蜻蛉)」の略。〔大和本草(1709)〕
せい‐れい【精霊】
- 〘 名詞 〙
- ① 万物の根源をなすという不思議な気。精気。精神。
- [初出の実例]「件神者。天神地祇之大祖。国家万物之精霊也」(出典:伊勢二所皇太神宮神名秘書(1285))
- [その他の文献]〔書言字考節用集(1717)〕〔易経疏‐繋辞上〕
- ② 山川、草木、無生物など種々の物に宿るとする魂。原始宗教の崇拝の対象となる。
- [初出の実例]「如何様是金鉄の精霊(セイレイ)なるべしとて」(出典:太平記(14C後)一三)
- ③ 肉体から解放された自由な魂。死んだ人のたましい。霊魂。精魂。聖霊。
- [初出の実例]「これは武徳年中に贈官せられし鍾馗大臣の精霊なり」(出典:光悦本謡曲・皇帝(1516頃))
- [その他の文献]〔左思‐呉都賦〕
- ④ 肉体に対し、人間の心。精神。
- [初出の実例]「一歩進めれば肉体と精霊の格闘」(出典:あめりか物語(1908)〈永井荷風〉旧恨)
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例
精霊
しょうりょう
盆に迎え祀る祖霊をいい,盆様,先祖様などの名もある。天寿をまっとうして普通に死んだ者の霊は,死後 33年なり 50年なりの弔い上げを終ると,死体から分離して清らかな霊質 (祖霊) となり,正月,盆や農耕儀式のおりおりに,子孫のもとを訪れて見守ってくれるものと考えられた。盆の頃に飛ぶ赤とんぼを精霊とんぼともいって,先祖様がこのとんぼに乗って帰ってくるという地方もあるが,一般には迎え火を焚いて迎える形が多い。早いところで盆月の7日から 10日前後,新盆の家では少し早くから,高灯籠を立てたり迎え火を焚いたりする。また,精霊は墓から帰ってくると考え,墓から家までの道の草を刈り,背負いばしごを背にして墓へ行き,先祖様を背に負うしぐさをして,家まで迎える形をとることも多い。盆花とともに山から迎えるところもあり,山で大火を焚いて迎え火にするところもある。竿灯や投げ松明 (たいまつ) なども,迎え火の一つの形である。こうして家々に迎えた精霊には,盆棚を設けて種々の供物を上げ,仏壇から位牌を出し並べて祀る。精霊送りは 15日か 16日にする地方が多い。迎えるときは墓や山から迎える形が多いが,送るときは川や海に流し送るものが多い。このときも送り火を焚くほか,盆棚に供えた供物をはすの葉や里いもの葉に包んで,川ばたや海岸に置く。あるいは麦わらや板で精霊舟をつくり,供物,灯明,線香などを積込み,沖へ流す地方も少くない。 (→盆行事 )
精霊
せいれい
spirit
動植物その他の事物に宿り,そこを出入りし,あるいは空中に浮遊するとされる超自然的存在をいう。これは非人格的存在と人格的存在を含む。 E.B.タイラーは宗教の起源と本質を「霊的存在への信仰」と規定し,このなかに霊魂,死霊,精霊の3つを含めた。しかしこれらの霊的存在は,社会によって明瞭に区別されているとはかぎらないし,神と精霊との区別がなされていない社会もある。アフリカのヌエル族のクウォスは精霊でもあり神でもある。万物の創造主としての精霊は人間の裁判官でもあり,神の観念に似ている。空気の精霊は人に災いを与える。雷などで死んだ人間の精霊は空に住む。以上は「上」の精霊で,「下」の精霊にはトーテムの精霊がある。一般に精霊崇拝は呪術信仰,祖先崇拝,シャーマニズムなどの基盤をなしている。
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
精霊【せいれい】
事物の中に宿り,自由に遊離することができると考えられる人格的な霊的存在。英語ではspirit。事物から全く分離し無関係な存在となることはできない。事物は自然物,人工物を問わない。精霊を崇拝するのはアニミズムに属するが,特に精霊崇拝spiritismともいう。キリスト教では霊の人格性と聖性を強調して〈聖霊〉と呼び,三位一体のうちの一位格とする。仏教でいう精霊(しょうりょう)は死者の霊魂である。
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普及版 字通
「精霊」の読み・字形・画数・意味
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世界大百科事典(旧版)内の精霊の言及
【神】より
…哲学者はそれを万物の存在根拠であり絶対者であると考え,神学者は超越的な救済神であるとみなした。また神話学者はそれを自然神とか擬人神といった枠組で分類し,宗教人類学者は死霊や精霊や祖霊,あるいは[マナ]のような呪力と神々との相互連関の問題をとりあげた。そのほか一神教と多神教の両極をたてて,その中間領域にさまざまな神観念の変化型を指摘する宗教学者もいれば,神観念の発達にも進化と退化があったとする社会学者もいた。…
【ゴブリン】より
…醜い小人の姿をした意地の悪い精霊。森や洞窟に住むといわれ,ドイツの[コーボルト],フランスのゴブランGobelinと同義。…
【ジン】より
…アラブ世界で信じられた,神の創造になる思考力ある生物。精霊,霊鬼とも訳される。ユダヤ教・キリスト教的背景とは関係なく,俗信として古くからその存在が信じられていたが,コーランの中でもその存在が認められていることにより,イスラム期以降,天使やサタン(シャイターン)の解釈と絡まりあってそのイメージはますます豊富なものとなった。…
※「精霊」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」