デジタル大辞泉
「支」の意味・読み・例文・類語
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ささ・える ささへる【支】
〘他ア下一(ハ下一)〙 ささ・ふ 〘他ハ下二〙 (室町時代ころから、ヤ行にも活用した。→
ささゆ)
※
万葉(8C後)一三・三三三八「あしひきの
山道は行かむ風吹けば浪の塞
(ささふる)海道は行かじ」
※日本読本(1887)〈新保磐次〉四「ああ、此の樫の木は昨日まで高く雲の上にそびえ、広く日の光をささへて」
② 物をつっぱって倒れたり落ちたりしないようにする。ある状態を保ち続ける。もちこたえる。
※帝釈天略供養次第永承三年点(1048)「右の大を以て左の小を差(ササヘヨ)」
※
即興詩人(1901)〈森鴎外訳〉
夜襲「山上には堞壁もて繞らされたる
古城ありて雲を
(ササ)ふる柱をなし」
③ 精神的に、または経済的に援助する。支援する。支持する。
※二人比丘尼色懺悔(1889)〈
尾崎紅葉〉戦場「
自害は得遂げず…恩愛の手に障
(ササ)えられ」
④ 相手の勢いをくいとめる。防ぎとめる。
※
平家(13C前)八「禰のゐの小野太が二百騎ばかりでささへたる川原坂の勢の中へ、をめいて懸いり」
⑤ 事実をまげて悪く言う。中傷する。
※
三河物語(1626頃)三「信康之御前様寄、信康をささへさせ給ひて、十二ケぢゃうかき立被成て、坂井左衛門督にもたせ給ひて、
信長へつかわし給ふ」
し【支】
[1] 〘名〙
② えだ。枝。〔詩経‐衛風・
蘭〕
③ ささえ。助けとなるもの。支柱。
※
明衡往来(11C中か)上末「加之官爵之事只依
二吹嘘
一。世路之支莫
レ不
二眷
一」 〔梁宣帝‐牀詩〕
※
史記抄(1477)一二「
枝解とは、支は支、むくろはむくろとはなればなれになされたぞ」 〔易経‐坤卦〕
ささえ ささへ【支】
① ささえること。また、そのもの。つっかい。つっぱり。また、もちこたえること。ある状態を維持すること。
※
太平記(14C後)一六「結句敵の大勢なるを聞きて、一支
(ササヘ)もせず京都まで遠引した
らんは」
※おぼろ夜(1899)〈
斎藤緑雨〉「今一吹の嵐の家あぶない処も又何とか、支
(ササ)へのつかぬでもあるまい」
※春鑑抄(1629)礼「『不二苟訾一』とは、人のことをむざとはそしらぬ事ぞ。そしればささえになるぞ」
つか・ゆ【支】
(ハ行下二段活用の「つかふ(支)」から転じて、室町時代頃から用いられた語。
多くの場合、
終止形は「つかゆる」の形をとる)
※日本書紀桃源抄(15C後)「鷹のゑをくうに胸につかゆるとき」
※
浮世草子・風流曲三味線(1706)一「是は天一天井がつかゆるはと、
暦張の
屏風引たて」
※置炬燵(1890)〈斎藤緑雨〉中「燭台近く手を支(ツカ)ゆ」
か・う かふ【支】
〘他ワ五(ハ四)〙
① 物の下や横に当てて支えにする。添え支える。
※今昔(1120頃か)二八「喬様に臥して、鼻の下に物をかひて」
※史記抄(1477)一七「城を築てこくそをかうて」
② かんぬきや鍵などをかける。
※疑惑(1913)〈近松秋江〉「心張り棒がかってあった」
ささ・ゆ【支】
〘他ヤ下二〙 (ハ行下二段活用の「ささふ」から転じて、室町時代ごろから用いられた語。多くの場合、終止形は「ささゆる」の形をとる) =
ささえる(支)※土井本周易抄(1477)五「いかうと思へば、にがささゆる程に、其もえいかぬぞ」
※経国美談(1883‐84)〈矢野龍渓〉後「守城の塁砦未だ充分ならず又久を支ゆるの糧食なし」
つっか・える つっかへる【支】
〘自ア下一(ハ下一)〙 「つかえる(支)」の変化した語。
※一九二八・三・一五(1928)〈小林多喜二〉五「その四つの壁に頭がつっかへるのは分り切ったことではないか」
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報