八音(読み)ハチイン

デジタル大辞泉 「八音」の意味・読み・例文・類語

はち‐いん【八音】

連声れんじょうで「はっちん」とも》
中国で、発音体の材料によって分類した8種の楽器きんしょう)・せきけい)・弦楽器)・ちく管楽器)・ほうしょう)・けん)・かく)・もくぎょ)。はちおん。また、広く楽器や音楽のこと。
雅楽で、平調ひょうじょう黄鐘調おうしきちょう盤渉調ばんしきちょう壱越調いちこつちょう双調そうじょう太食調たいしきちょう上無調かみむちょう下無調しもむちょうの8種の音階。はちおん。
はちおん(八音)3

はち‐おん【八音】

はちいん(八音)1」に同じ。
はちいん(八音)2」に同じ。
連声れんじょうで「はっとん」とも》仏語如来の説法の音声に備わる8種のすぐれた特徴。極好音・柔輭にゅうなん音・和適わちゃく音・尊慧そんえ音・不女音・不誤音・深遠じんのん音・不竭ふかつ音。八種梵音声はっしゅぼんのんじょう

はっ‐ちん〔ハチイン〕【八音】

はちいん」の連声れんじょう

はっ‐とん〔ハチオン〕【八音】

はちおん」の連声れんじょう

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精選版 日本国語大辞典 「八音」の意味・読み・例文・類語

はち‐いん【八音】

  1. 〘 名詞 〙 ( 連声で「はっちん」とも )
  2. 中国の八種の伝統楽器。楽器をその発音体の材料によって分類してある。金(鐘の類)・石(磬)・糸(琴の類)・竹(笛の類)・匏(ほう)(笙の類)・土(壎)・革(鼓の類)・木(拍板の類)の八種。また、音楽のこと。
    1. [初出の実例]「客調八音、詠言帰之詩、主段二轄称途露之滋」(出典:三教指帰(797頃)上)
    2. 「八音(イン)(まつりごと)と通ずといへり」(出典太平記(14C後)一三)
    3. [その他の文献]〔書経‐舜典〕
  3. 雅楽六調子の上下に、無調を加えたものをいう。〔教訓抄(1233)〕
  4. はちおん(八音)

はち‐おん【八音】

  1. 〘 名詞 〙
  2. ( 連声で「はっとん」とも ) 仏語。如来の説法の音声に八種の徳があること。極好・柔輭(にゅうなん)・和適・尊慧・不女・不誤・深遠・不竭の八種の音。八種梵音声。〔往生要集(984‐985)〕 〔三蔵法数‐三一
  3. はちいん(八音)

はっ‐ちんハツイン【八音】

  1. 〘 名詞 〙 ( 「はついん(八音)」の連声 ) ⇒はちいん(八音)

はっ‐とんハチオン【八音】

  1. 〘 名詞 〙 ( 「はちおん(八音)」の連声 ) ⇒はちおん(八音)

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普及版 字通 「八音」の読み・字形・画数・意味

【八音】はちおん

八種の楽器。金石糸竹、匏土(はうど)革木鐘磬(しようけい)・絃管・笙(しようくん)・鼓・(しゅくぎょ))。〔書、舜典〕二十載、乃ち(そらく)す。百姓考妣(かうひ)(父母)を喪(うしな)へるが如し。三載、四のうち、遏密(あつみつ)す。

字通「八」の項目を見る

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改訂新版 世界大百科事典 「八音」の意味・わかりやすい解説

八音 (はちおん)

中国古来の楽器分類法。朝鮮や日本の雅楽でも用いることがある。日本では〈はちいん〉とも〈はっちん〉ともいう。楽器の主要部の素材によって,金,石,糸,竹,匏(ほう),土,革,木の八つに分類する。金には鐘((かね)),鉦((かね)),(によう),方響など,石には(けい),糸には(きん),(しつ)など,竹には(しよう),籥(やく),篪(ち)など,匏には,竽(う),土には(けん),缶(ふ),革には種々の鼓の類,木には(しゆく),(ぎよ)などがある。この楽器分類法では,銅製の琵琶は金に,石製の笛は石に分類するなど,科学的・音楽的観点からみて不合理な面もあり,また,葉(草笛類)や貝(ばい)(法螺貝)など八音の分類に入らないものがでるなどの不完全さがある。現在の中国では,敲撃(こげき)楽器,吹奏楽器,糸弦楽器,または打楽器,吹楽器,弾楽器の3種に大別し,さらに奏法により細別する分類法を用いている。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「八音」の意味・わかりやすい解説

八音
はちおん

(1) 中国古来の楽器の分類法。発音素材により金・石・糸・竹・匏 (ほう。ふくべ) ・土・革・木の8種に分けた。「はちいん」「はっちん」ともいう。 (2) 雅楽の六調子に上無調と下無調を加えた総称。 (3) 如来の音声にそなわる8種類の徳。名称は経典によって異なる。『大毘婆沙論』によれば,極好音・柔軟音・和適音・尊恵音・不女音・不誤音・深遠音・不渇音の8種。「はっとん」ともいう。

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百科事典マイペディア 「八音」の意味・わかりやすい解説

八音【はちおん】

中国古来の楽器分類法。〈はちいん〉〈はっちん〉とも。八つの発音体の素材(金,石,糸,竹,匏,土,革,木)による分類。現代では,拉弦,弾撥,吹,打撃の各奏法による分類のほうが一般的である。
→関連項目

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世界大百科事典(旧版)内の八音の言及

【八音】より

…金には鐘((かね)),鉦((かね)),(によう),方響など,石には(けい),糸には(きん),(しつ)など,竹には(しよう),籥(やく),篪(ち)など,匏には,竽(う),土には(けん),缶(ふ),革には種々の鼓の類,木には(しゆく),(ぎよ)などがある。この楽器分類法では,銅製の琵琶は金に,石製の笛は石に分類するなど,科学的・音楽的観点からみて不合理な面もあり,また,葉(草笛類)や貝(ばい)(法螺貝)など八音の分類に入らないものがでるなどの不完全さがある。現在の中国では,敲撃(こげき)楽器,吹奏楽器,糸弦楽器,または打楽器,吹楽器,弾楽器の3種に大別し,さらに奏法により細別する分類法を用いている。…

【八音】より

…金には鐘((かね)),鉦((かね)),(によう),方響など,石には(けい),糸には(きん),(しつ)など,竹には(しよう),籥(やく),篪(ち)など,匏には,竽(う),土には(けん),缶(ふ),革には種々の鼓の類,木には(しゆく),(ぎよ)などがある。この楽器分類法では,銅製の琵琶は金に,石製の笛は石に分類するなど,科学的・音楽的観点からみて不合理な面もあり,また,葉(草笛類)や貝(ばい)(法螺貝)など八音の分類に入らないものがでるなどの不完全さがある。現在の中国では,敲撃(こげき)楽器,吹奏楽器,糸弦楽器,または打楽器,吹楽器,弾楽器の3種に大別し,さらに奏法により細別する分類法を用いている。…

※「八音」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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