向く(読み)ムク

デジタル大辞泉 「向く」の意味・読み・例文・類語

む・く【向く】

[動カ五(四)]
その方向正面が位置するようにする。対する。面する。「上を―・く」「東に―・く」
その方向を指し示す。「磁石の針は北を―・く」
その方向・状態にかたむく。「気が―・く」「心は故郷に―・いている」
適する。ふさわしい。「若者に―・いた仕事」
[可能]むける
[動カ下二]む(向)ける」の文語形
[類語](1向かう向ける向き合う向かい合う対するあい対する正対せいたいする面する臨む直面する対峙たいじする/(4適する適う適える合う沿うそぐう似合う似つかわしいふさわしいしっくり打ってつけ持ってこい当てはまる適合する適当する合致する即応する同調するぴったりするフィットする便宜好都合便利利便あつらえ向きタイムリー有り難いうれしいおんの字重宝ちょうほう有用有益簡便軽便至便格好頃合ころあぴったり好個好適程よい絶好願ったり叶ったり願ってもない渡りに船相応然り即する肌が合う適格適材くみし易いしかるべきマッチ究竟くっきょう合い口合目的文句無しリーズナブル好条件見合う匹敵言い得て妙あたかもよし三拍子そろ似合わしいジャストミート思いがけない当を得る馬が合う息が合う順当どんぴしゃり所を得る最適つぼにはまる水を得たうおのよう結構尽くめ

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精選版 日本国語大辞典 「向く」の意味・読み・例文・類語

む・く【向】

  1. [ 1 ] 〘 自動詞 カ行五(四) 〙
    1. その方向・方角へ、自分の正面が位置をとるようにする。面する。また、対する。
      1. [初出の実例]「韓国の 城の上に立ちて 大葉子は 領巾振らすも 日本へ武岐(ムキ)て」(出典:日本書紀(720)欽明二三年七月・歌謡)
      2. 「御社のかたにむきて、さまざまの願を立て給ふ」(出典:源氏物語(1001‐14頃)明石)
    2. その方向をさす。その方向にむかう。
      1. [初出の実例]「家に来て吾が屋を見れば玉床の外に向(むき)けり妹が木枕」(出典:万葉集(8C後)二・二一六)
      2. 「いづちもいづちも足のむきたらん方へいなむず」(出典:竹取物語(9C末‐10C初))
    3. その方向・状態に移行する。その傾向に進む。かたむく。
      1. [初出の実例]「我心恨みにむきて恨み果てよ哀れになれば忍び難きを〈従二位為子〉」(出典:風雅和歌集(1346‐49頃)恋四・一三〇七)
      2. 「へエ、段々運勢が向いて来ましたナ」(出典:落語・臑咬り(1890)〈三代目三遊亭円遊〉)
    4. うまく合う。適する。似合う。相応する。
      1. [初出の実例]「真似る芝居の女形、髪の結ぶり小利口に、ひっくるひっくるひっくる廓様、今はむかぬと縫箔の」(出典:浄瑠璃・卯月の紅葉(1706頃)上)
      2. 「東京の様な烈しい所には向(ム)かない」(出典:虞美人草(1907)〈夏目漱石〉九)
  2. [ 2 ] 〘 他動詞 カ行下二段活用 〙むける(向)

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