尼(漢字)

普及版 字通 「尼(漢字)」の読み・字形・画数・意味


常用漢字 5画

[字音] ニ・ジ(ヂ)
[字訓] ちかづく・やすんずる・やわらぐ・あま

[説文解字]

[字形] 会意
人が二人、たがいにもたれあう形。〔説文〕八上に「後ろより之れにづく」とし、「尸(し)に從ひ、匕(ひ)聲」とするが声が合わず、人がもたれあう親昵(しんじつ)の状を示す字である。色・(ごう)・抑・(迎)などみな二人相倚(よ)る形で、尼・色・はいずれも男女のことを示す字。ゆえに尼声の字に、和らぐ・安んず・愛す・したしむなどの意がある。この字を尼僧の意に用いるのは、最も字の形義にそむくものである。

[訓義]
1. ちかづく、したしむ、やすんずる、やわらぐ、いこう。
2. さだむ、とどまる、いこう。
3. あま、梵語bhikuの音訳語、比丘尼の尼をとる。は女性語尾。

[古辞書の訓]
名義抄〕尼 スナハチ・ヤハラカナリ/ アマ

[声系]
〔説文〕に尼声として・泥・昵など六字を収める。怩は〔新附〕の字であるが、「忸怩(ぢくぢ)」の語は〔孟子、万章上〕にみえる。昵・泥はそれぞれそのなずんだ状態をいう語。

[語系]
尼nieiは昵()nietと声義近く、また邇njiaiも邇近の意。みな親昵(しんじつ)の意に用いる。

[熟語]
尼院尼媼尼丘尼姑尼師尼父尼甫尼坊尼寺・尼僧尼壇
[下接語]
宣尼・禅尼僧尼摩尼牟尼

出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報