(読み)タムロ

デジタル大辞泉 「屯」の意味・読み・例文・類語

たむろ【屯】

仲間や同じ職業の人々などが寄り集まっていること。また、その集団場所
明治時代、特に巡査の詰めている所。駐在所
「―へ訴えて出るがいい」〈逍遥・内地雑居未来之夢〉
[類語]集う群がる群れる集まる駆け付ける殺到すだくたかる固まる参集押し寄せる押し掛ける詰め掛ける揃う寄り合う寄り集まる・寄り集う・馳せ集まる・馳せ参ずる馳せつける勢揃い集合集結オンパレード

トン【屯/×噸/×瓲】

質量の単位。記号t。
メートル法で、1トンは1000キログラム。仏トン。グラムトン。メートルトン
英トンヤードポンド法で、1トンは2240ポンド、すなわち約1016キログラム。ロングトン。大トン。
米トン。ヤードポンド法で、1トンは2000ポンド、すなわち907.18キログラム。ショートトン
船舶の大きさを質量や容積で表す単位。排水トン数載貨重量トン数総トン数純トン数容積トン数など。
[補説]「瓲」は国字

とん【屯】[漢字項目]

常用漢字] [音]トン(漢) [訓]たむろ
多くの人が群がり集まる。たむろする。「屯営屯所駐屯
[名のり]みつ・むら・より
[難読]屯倉みやけ

たむら【屯/党】

たむろ1」に同じ。
人皆―有り」〈推古紀〉

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精選版 日本国語大辞典 「屯」の意味・読み・例文・類語

トン【屯・噸・瓲】

  1. 〘 名詞 〙 ( [英語] ton )
  2. 重量の単位。記号 t
    1. (イ) メートル法による重量単位。一トンは一〇〇〇キログラム。仏トン。メートルトン。
    2. (ロ) ヤード‐ポンド法によるイギリスの重量単位。一トンは二二四〇ポンド、約一〇一六キログラム。英トン。ロングトン。大トン。グロストン
      1. [初出の実例]「英一頓は我二百五十一貫九百二十二銭八分余に当る」(出典:玉石志林(1861‐64)二)
    3. (ハ) ヤード‐ポンド法によるアメリカの重量単位。一トンは二〇〇〇ポンド、約九〇七キログラム。米トン。ショートトン。小トン。ネットトン。
      1. [初出の実例]「意太里亜〈略〉昔此歳租金二十四敦〈二千本独を一敦とす〉に値り」(出典:輿地誌略(1826)三)
  3. 船の重量や容積を表わす単位。
    1. (イ) 総トン。船舶内部の総容積を表わす。一総トンは一〇〇立方フィート、約二・八三立方メートル。記号 GT
    2. (ロ) 純トン。旅客・貨物を積載する容積を示すもので、総トン数から船員室・機関室など運航に必要な部分を除いたもの。ネットトン。記号 NT
    3. (ハ) 排水トン。艦艇・船舶の沈水部の排除した水の重量を英トン、またはメートルトンで表わしたもの。
    4. (ニ) 載貨重量トン。船舶の載貨能力(燃料・水・食料・貨物・旅客など)を重量で表わす。記号 D/W
  4. トラック総重量を表わす単位。
    1. [初出の実例]「二十二トンのダンプ・トラックは」(出典:二人の友(1960)〈庄野潤三〉四)

たむろ【屯】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 軍兵の群れ。集合した兵士。軍隊。部隊。また、それがいる場所。軍兵の駐屯する所。陣処。陣営。
    1. [初出の実例]「皇后(きさいのみや)〈略〉三軍(みタムロのいくさ)に令(のりこ)ちて曰(のたま)はく」(出典:日本書紀(720)神功即位前(北野本訓))
    2. 「敵国に赴て陣を張り旅(タムロ)を調へて、単于と戦を決せんとしけるに」(出典:太平記(14C後)三八)
  3. 仲間やある職業の者の集団。また、仲間がいつも多く集まる所。ある職業の者が詰める所。
    1. [初出の実例]「奴等が屯(タムロ)のその場所は」(出典:滑稽本・七偏人(1857‐63)三)
  4. 特に明治時代、巡査がいつも詰めている所。警察署。駐在所。
    1. [初出の実例]「おめえが屯(タムロ)へ此男を連れていかうという訳を」(出典:歌舞伎繰返開花婦見月(三人片輪)(1874)序幕)

ちゅん【屯】

  1. 〘 名詞 〙 易の六十四卦の一つ。。上卦は坎(かん)(水)、下卦は震(雷)。下卦の雷は下にあってまだのぼらず、上卦の雨は上にあってまだ降らず、行動を起こして険難に遇うことを表わす。水雷屯ともいう。

とん【屯】

  1. 〘 名詞 〙 綿の重さをはかる単位。中国では六両、日本では二斤を一屯とする。古訓は「もじ」。
    1. [初出の実例]「糸八両。綿一斤。布二丈六尺。並二丁成絇屯端。〈謂。糸十六両曰絇也。綿二斤曰屯也〉」(出典:令義解(718)賦役)
    2. [その他の文献]〔通典‐食貨典・賦税下〕

みせ【屯】

  1. 〘 名詞 〙 古く、重さの単位の一つ。一屯は二斤(はかり)。絹(きぬ)、綿(わた)の計量の単位として用いた。
    1. [初出の実例]「綿四屯(ミセ)、布六端」(出典:日本書紀(720)天武九年一〇月(北野本訓))

たむら【屯・群・党】

  1. 〘 名詞 〙たむろ(屯)
    1. [初出の実例]「人皆党(タムラ)有り。亦達(さと)る者少し」(出典:日本書紀(720)推古一二年四月(岩崎本平安中期訓))

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普及版 字通 「屯」の読み・字形・画数・意味


常用漢字 4画

[字音] トン・チュン
[字訓] あつまる・たむろする・なやむ

[説文解字]
[金文]

[字形] 象形
織物の縁飾(へりかざ)りの形で、純の初文。屯は縁の糸を房飾りのように結んだ形。〔説文〕一下に「(なや)むなり。艸木の初めて生じ、屯然(ちゆんぜん)としてむに象る。(てつ)(艸の初生)の一を貫くに從ふ。一は地なり。尾曲(まが)る」とし、〔易、屯(ちゆん)〕の文を引く。〔易〕によって文を解くものであるが、金文の字形は織物の縁飾りとして、糸を集めて結んだ形。金文に字を「玄衣黹屯(ふつじゆん)」「康右(祐)屯(純)魯」「屯右(純祐)眉壽」のように用い、「黹屯」は「黻純」、縫いとりの縁飾りのあることをいう。織物では織糸を集め束ねて作るので、屯束(とんそく)・屯集(とんしゆう)の意がある。屯難(ちゆんなん)の義は引伸、字形は草の初生とは関係がない。

[訓義]
1. あつまる、たばねる、つかねる。
2. へりかざり、糸を集め束ねて、へりかざりとする。
3. みちる、かたまる、まもる、たむろする。
4. むすぼれる、なやむ、かたい、おおい。

[古辞書の訓]
立〕屯 モハラ・ナツク・ムラガル 〔字鏡〕屯 ムラガル・モトル・トハス・アツム・アツマル・クシク・カカル・カコム・モハラ・タムラ 〔字鏡集〕屯 ウチハヤシ・モヂル・クシク・アツシ・カタシ・アラタム・タヲム・ハジム・タムロ・カガマル・モトル・アツマル・ムラガル・ツラナル・マロガス

[声系]
〔説文〕に屯声として春・頓・邨・純・鈍など十三字を収める。みな、まるく集まるなどの意をもつ字である。

[語系]
屯・純・邨・dunは同声。屯は純の初文。(冬)も糸端を結んでとめる形で、(終)の初文。屯と純、とは同じ関係である。邨(そん)は邨集で村の意。(とん)は屯倉でまるい穀倉。織物を屯・純を以て数え、〔史記、秦伝〕に「錦千純」の語がある。村tsunは邨と声義近く、人の聚居する所をいう。

[熟語]
屯夷・屯坎・屯苦・屯蹇・屯険・屯謇・屯困・屯如・屯躓・屯窒・屯・屯亶・屯鈍・屯難・屯否・屯平・屯・屯厄・屯雲・屯営・屯衛・屯塢・屯騎・屯居・屯拠・屯軍・屯結・屯・屯行・屯耕・屯候・屯墾・屯砦・屯守・屯種・屯戍・屯聚・屯集・屯住・屯宿・屯所・屯・屯夕・屯駐・屯丁・屯邸・屯田・屯農・屯部・屯兵・屯堡・屯封・屯落・屯塁
[下接語]
運屯・雲屯・艱屯・居屯・軍屯・険屯・荒屯・耕屯・屯・困屯・駐屯・鈍屯・入屯・分屯・兵屯・辺屯・屯・列屯

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