デジタル大辞泉 「忍」の意味・読み・例文・類語
にん【忍】[漢字項目]
1 がまんする。じっとこらえる。「忍苦・忍従・忍耐/隠忍・堪忍・堅忍」
2 むごいことを平気でする。「残忍」
3 隠れて行動する。「忍者・忍術」
[名のり]おし・しの・たう
[難読]
しのぶ【忍】
2 ノキシノブの別名。
3
4 「
5 「
「―のみだれやとうたがひ聞こゆることもありしかど」〈源・帚木〉
にん【忍】
2 仏語。
㋐
㋑修行の階位の忍位。
出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報
武蔵国埼玉郡の地名。現在の埼玉県行田(ぎようだ)市。利根川と荒川の乱流によって形成された沖積平野の自然堤防上に位置する。
1190年(建久1)源頼朝の上洛に際し随兵として従った忍三郎・同五郎は,ここを本領とした武士であろう。文明年間(1469-87)ごろ,成田親泰が山内・扇谷両上杉氏の争いに乗じてここに築城して以来,成田氏代々の居城となった。1509年(永正6)ごろここを訪れた連歌師の柴屋軒宗長(さいおくけんそうちよう)は,忍城のようすを〈水郷なり。館のめぐり四方沼水幾重ともなく,蘆の霜枯三十余町四方へかけて,水鳥,雁多く見えわたるさま云々〉(《東路の津登(あずまじのつと)》)と記している。成田氏はこの忍城に拠って関東管領上杉氏に従ったが,のち小田原北条氏の支配に服し,北条氏の北武蔵経略の重要拠点の一つとなった。90年(天正18)豊臣秀吉の小田原攻略に際し,石田三成らの軍勢に包囲され,水攻めの戦術にあったがもちこたえ,小田原陥落後,豊臣秀吉の勧告に従った城主成田氏長の命でようやく開城した。
執筆者:田代 脩
1590年徳川家康の関東入国後,松平家忠,松平忠吉,酒井忠勝,松平信綱などが,家臣団の集住と商人の育成につとめたが,忍城の城下町である行田町が本格的に整備されたのは1639年(寛永16)阿部忠秋のときである。忍城は四周を水田に囲まれた平坦地にあり,多数の水堀を擁し水城とも呼ばれた。忍城は阿部正武の1703年(元禄16)三層櫓が完成し,そのほか二層櫓,多聞櫓があり,本丸を中心に諏訪曲輪,土蔵曲輪,井戸曲輪などがあった。武家屋敷は長光寺,普門寺,長永寺を埼玉村に移した跡に設けられた。その後田町,山鳥,百石町,下忍,北谷へも増設した。城下町は大手口の外にあり上町,新町(行田横町),下町,八幡町(大工町)の4町があり,郷方に向かって佐間口,北谷口,長野口の3門が置かれた。家臣団の拡大とともに町人口も急増し,阿部氏時代武家が1800人,21年(享保6)町人口は3049人を数え,近世を通じて500~600軒であった。城下町には町年寄を置き御馬廻役の格式が与えられ,ついで町年寄見習・町年寄格・頭立が補佐し,その下に表立・帳役・才領・定使が従って行政にあたった。城下町は各領主とも地子免を認めたが脇往還八王子~日光道の伝馬・歩行夫役の負担があり,42年(寛保2)以降毎日50人50疋,76年(安永5)以降25人25疋の往還御用であった。人馬不足のときは助郷を周辺18ヵ村に課し1743年以降の助郷高は1万5433石であった。城下町の市は1654年(承応3)以降1,6の日に六斎市が,上町,下町,新町で各月交代で開かれ,米をはじめ木綿縞,忍冬酒などの売買が盛んになった。行田の特産である足袋も18世紀後半には各地と取引され,維新後も足袋産業は大発展を遂げた。しかし市街の中心にあった城郭は財政窮乏した藩商法局が,1869年(明治2)18万両の藩札を発行し,その償却に苦慮して櫓や大手門をはじめ建造物を競売に付したため,忍城の面影はすべて消滅した。1947年行田市となった。
→忍藩
執筆者:大舘 右喜
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
埼玉県北部、行田市(ぎょうだし)の一地区。旧忍町。利根(とね)川と荒川によって形成された沖積平野の自然堤防上に位置する。中世成田氏が築城した忍城があり、江戸時代は忍藩の城下町。士族町を忍、町人町を行田とよぶ。忍城跡は行田市郷土博物館となっていて、三層の櫓(やぐら)が再建されている。
[中山正民]
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