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環境アセスメント かんきょうあせすめんと

ASCII.jpデジタル用語辞典の解説

環境アセスメント

事業者に対して自主的環境配慮を促すための制度事業者は大規模な事業を行う前に、事前に環境に与える影響について調査予測・評価を行い、開発許可権限を持った地方自治体に提出。自治体は審理会などを作ると同時に、住民の意見を聞き、事業主側との意見のバランスをとりながら、事業がどういう形なら実行できるかを探り、最終的な決定を行う。日本の場合、先進国では唯一、当該制度がなかったが、1997年6月の「環境影響評価法公布」で法制化された。事業を環境保全上より望ましいものとしていく制度として定着しつつある。

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知恵蔵の解説

環境アセスメント

環境影響評価。環境に大きな影響を及ぼす恐れのある事業について事前に調査、予測、評価して、影響を回避、縮小するための方法。環境庁(現・環境省)は1981年、環境影響評価法案を国会に提出したが、産業界や開発官庁の抵抗で83年に廃案。ダムや空港など11種の大規模事業は、84年の閣議決定で実施することにし、要綱を定めた(閣議アセス)。環境影響評価法(アセス法)は97年6月に成立、99年6月に施行。閣議アセスと比べると、(1)対象事業に発電所、在来鉄道、大規模林道を加え14種とした、(2)アセス開始前の段階で、住民や自治体の意見を聞いてアセスの調査と評価項目を決める(スコーピング)、(3)環境庁長官(現・環境大臣)が意見をいえる、などの改善点がある。さらに計画段階で環境配慮を行うために、戦略アセスの導入を検討中。

(杉本裕明 朝日新聞記者 / 2007年)

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朝日新聞掲載「キーワード」の解説

環境アセスメント

道路や鉄道、発電所など大規模な建設工事の前に、事業者が周囲の環境にもたらす影響を予測・評価し、国や県などの開発許可を受ける制度。1997年に制定された環境影響評価法で、工事規模などに応じて実施が義務づけられている。

(2012-02-25 朝日新聞 夕刊 1総合)

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デジタル大辞泉の解説

かんきょう‐アセスメント〔クワンキヤウ‐〕【環境アセスメント】

開発がもたらす環境への影響を、事前に予測・評価すること。1970年、米国国家環境政策法NEPA)で初めて法制化された。環境影響評価。

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百科事典マイペディアの解説

環境アセスメント【かんきょうアセスメント】

環境影響評価とも。工業開発や都市計画などなんらかの開発行為に際して,その行為が環境に及ぼす影響を事前に調査・評価すること。環境庁(当時)は公害自然破壊未然防止を制度として確立するため,米国の国家環境政策法(NEPA)の考え方や手法を日本にも取り入れることを決め,1972年6月,まず国の行政機関の所管する公共事業を対象に環境アセスメントを実施することを閣議に諮り,了解を得た。
→関連項目エコビジネスストックホルム会議プロジェクトエンジニアリング四大公害訴訟

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ナビゲート ビジネス基本用語集の解説

環境アセスメント

環境影響評価。地域開発や公共事業など、環境に大きな影響を及ぼす可能性がある計画については、事前に自然への影響度の調査・予測・評価を行い、自然環境の破壊を未然に防ごうというもの。科学的な調査を行うと同時に、地域住民の意見も反映させる。日本においては、1997年に環境影響評価法(環境アセスメント法)が制定された。

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世界大百科事典 第2版の解説

かんきょうアセスメント【環境アセスメント】

環境影響評価(environmental impact assessment)ともいう。人間が健康な生活を営むに必要な環境に影響を与える計画や行為(たとえば海岸埋立工事,都市開発計画)を考えるに際し,各種の代替案を考え,それらが環境に及ぼす影響を予測・評価して比較検討すること。環境影響評価の前提として,地域の地質,水文,植生その他の生態的特性を調査し評価することを環境評価environmental assessment(略称EA)と呼ぶこともある。

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大辞林 第三版の解説

かんきょうアセスメント【環境アセスメント】

開発が環境に与える影響の程度や範囲またその対策について、事前に予測・評価をすること。環境影響評価。 EIA 。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

環境アセスメント
かんきょうアセスメント
environmental impact assessment

公共事業工業団地都市計画などの開発にあたって,その結果が自然環境や人の健康などに与える影響を事前に調査・予測・評価し,結果を住民などに公開して意見を集め,事業計画に反映させることで環境の保全をはかる制度。環境影響評価ともいう。アメリカ合衆国で 1969年に制定された国家環境政策法(1970発効)に始まり,各国で実施されている。日本では,1965年大規模開発に対する産業公害総合事前調査の義務づけ,1972年道路港湾などに対する「各種公共事業に係る環境保全対策について」の閣議了解,1973年瀬戸内海環境保全臨時措置法などの整備に続いて,1984年に「環境影響評価の実施について」の閣議決定を行ない,国の関与する大規模な事業にかかわる統一ルールとして環境影響評価実施要綱を定めた。その後,1993年に制定された環境基本法で法的な位置づけがなされ,1997年評価対象や手続きなどを定めた環境影響評価法(環境アセスメント法)が成立した。環境影響評価法は,道路やダム鉄道飛行場発電所など 13の事業を評価対象とし,規模が大きく評価の実施が必須とされる第一種事業と,規模が小さく環境への影響の度合いにより実施の必要性が個別に判断される第二種事業に区分される。実施者は評価対象の事業者で,住民や地方公共団体は実施方法や結果などに対し意見を述べる機会が設けられている。このほか,すべての都道府県とほとんどの政令指定都市で環境アセスメントの条例が制定されており,環境影響評価法の対象外の事業について,各地方公共団体が地域の実情にあった内容の評価を実施している。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

環境アセスメント
かんきょうあせすめんと
environmental assessment

略称EA。環境に影響を与える計画や事業その他の行為に際し、環境の現況を評価し(環境評価)、ついで各種の代替案を考えて、それぞれの案の環境への影響を評価して(環境影響評価)、最良の案を選択し、さらにその実施段階で、予測・評価どおりになっているかどうかを監視し、そうでない場合には見直し、是正するという各段階からなる手続の総体をいう。各種事業などに際し、もっぱら経済的利益にのみ着目してきたことが深刻な公害や自然破壊を発生させたとの反省にたって、環境上の利益を意思決定過程に取り込もうとするものである。これは理想的な姿であるが、現実に制度化されているのは、対象事業や予測・評価項目が限られ、代替案の検討や事後監視を欠くなど不十分なものが少なくない。環境影響評価の結果を政策決定過程に取り込む方法としても、単に政策判断の材料を提供するだけの手続法と、許認可の判断基準となる規制法の二つがある。この制度を法律化した最初のものはアメリカの国家環境政策法(1969)であるが、その後、各国がこれに続き、日本はOECD(経済協力開発機構)内で最後の国となった。[阿部泰隆]

日本における立法

日本では1972年(昭和47)の閣議了解「各種公共事業に係る環境保全対策について」や、工場立地法、公有水面埋立法、港湾法、瀬戸内海環境保全特別措置法で、公害事前調査ともいうべき初歩的な環境アセスメント制度が定められ、関西国際空港や苫小牧(とまこまい)東部などの工業基地開発に際して公害予測調査が行われた。環境庁(現環境省)は中央公害対策審議会(現中央環境審議会)の答申に基づき、環境影響評価法案を提案してきたが、事業官庁と財界などの反対のため長らく国会提出に至らず、ようやく1981年に提出された法案も、結局1983年に廃案になった。反対理由は、環境影響評価の技術手法が確立していないことと、この制度が訴訟を増加させ、公共事業の遅延を惹起(じゃっき)するという点にあった。そのかわりに、政府は1984年8月に環境影響評価を行政措置で行うことを決定し(いわゆる閣議アセス)、建設省(現国土交通省)は1985年4月、一定規模の道路やダムをつくる際は事前に環境影響評価を行うよう通達を発した。しかし、この要綱アセスメントは対象事業が少ない、住民参加が不備、訴訟で争う方法がないなど多くの問題があり、法制化が必要であった。
 他方、地方自治体は、国の立法を待ちきれずに環境影響評価を制度化し始め、はやくより川崎市、北海道、東京都、神奈川県などかなりの地方公共団体が条例なり要綱(行政内部的な定め)を制定していた。判例では、環境影響評価をしていない屎尿(しにょう)処理場やごみ処理場の建設差止めの仮処分が認められた例がある。
 その後、1993年(平成5)11月に制定された環境基本法に、環境影響評価の推進に係る条文が盛り込まれ、1994年12月の環境基本計画において「環境影響評価制度の今後の在り方については、……法制化も含め所要の見直しを行う」との政府方針が示された。この方針に沿って、内外の制度実施状況、技術手法などについて調査研究が行われ、中央環境審議会に諮問した。同審議会は1997年2月首相に法制化を求める答申を出し、環境影響評価法(環境アセスメント法)はようやく同年6月に成立し、1999年6月に施行された。以下、この法律の内容を環境影響評価の手順に沿って解説する。[阿部泰隆]

対象事業と評価項目

まず、本法の対象となる事業は、国が関与する事業(直接国が行う事業のほか、国が出資する特別法人による事業や、国が当該事業に免許・認可などを与えるものや補助金を交付するものなど)のなかで、規模が大きく環境に著しい影響を及ぼすおそれがある13の事業(道路、河川、鉄道、飛行場、発電所、廃棄物最終処分場、公有水面の埋立及び干拓、土地区画整理事業、新住宅市街地開発事業、工業団地造成事業、新都市基盤整備事業、流通業務団地造成事業等)に限られる。
 これは規模により必ず環境アセスメントを実施する第一種事業と、第一種にくらべて規模は小さいものの、環境への影響が大きいようならやはりアセスメントを実施するよう個別に判定される第二種事業に分かれる。この判定に際しては、当該事業地域の都道府県知事の意見を聴くことになっている(環境影響評価法4条)。アセスメントが必要であるかどうかを判断するこうした手続をスクリーニングという。
 これら法律の対象外の事業でも、レクリエーション施設、下水処理施設、土石の採取、大規模・高層建築など、湿地や高山など影響を受けやすい地域で行われる事業などでは、スクリーニングを行うべき場合がある。あるいは、それは地方公共団体の条例で対応すべきものともいえる。
 アセスメントの調査・評価項目は、かつては典型7公害(大気汚染、水質汚濁、土壌汚染、騒音、振動、地盤沈下、悪臭)と自然環境項目(地形、地質、動植物、自然景観)についてなされるのが通常であった。しかし、アメニティ(快適さ)、生物多様性、日照、廃棄物、里山(原生自然域と都市域の中間にあって、身近な雑木林や田んぼ、溜池(ためいけ)、緑地、草地といった、日本人の原風景的な二次的自然地)、干潟など、さらに多様な項目を評価することが必要となり、法律も、環境影響評価方法書のなかで調査、評価項目、評価手法を明らかにし、知事、市町村長、住民の意見を聴取して項目・手法を選定することにしている(スコーピング。同法5条~11条)。これにより、地域や事業の特性に応じた柔軟な方法が採用できることになる。
 環境省は評価項目や手法等に関する概括的なものを「基本的事項」として公表し、さらに、これに基づいて、それぞれの事業の種類ごとに、その事業を管轄する主務省庁がさらに具体的な指針を公表している。[阿部泰隆]

準備書の用意と手続

事業者は実際の調査・予測・評価を行って、その内容を「環境影響評価準備書」(準備書)としてまとめる(同法14条~20条)。
 事業者はその旨を公告すると同時に、準備書を1か月間の縦覧(広く大衆に知らせること)に供する。さらには準備書について説明会を行う。準備書の内容について環境保全の見地から意見のある者はだれでも、縦覧期間後2週間以内はそれについて意見書を提出することができる。また事業者はこの準備書を関係自治体に送付し、関係地域の市町村長の意見を聴いたうえで都道府県知事が120日以内(困難な実地調査等の必要があるときは150日以内)に意見書を提出する。
 この準備書においては、環境基準等をクリアしているかどうかの数値はもちろん、実行可能な範囲内でもっとも環境への影響を回避・軽減する途(みち)がとられているかどうかが評価されることになる。
 そのため、環境保全のための複数の案を比較検討した経過内容や、どうしても影響を軽減できないならば必要に応じた代償措置をとることが盛り込まれる必要がある。しかし、日本の環境影響評価法はこうした代替案の検討を明示的には要求していないという欠陥がある。
 こうして、事業者はこれらの意見を勘案して、「環境影響評価書」(評価書)を作成し(同法21条~24条)、許認可を行う主務官庁にこの評価書を送付する。
 そうすると、環境大臣が必要に応じてこれに対する環境保全上の意見書を当該主務官庁に提出し(45日以内)、これを踏まえて、主務官庁では90日以内に事業者に意見書を交付する。
 これらの意見を勘案して、事業者は評価書を再検討し(必要に応じ追加調査等も行う)手直ししたうえで、最終的な評価書を作成して公告・縦覧(1か月)に供する(同法25条~27条)。
 アセスメント制度の実効性を確保する観点から、たとえ国が行う開発事業であっても、この評価書の公告までは工事に着手することはできない。公告がなされてはじめて実施可能となる(同法31条)。
 一方、許認可の必要な事業については、個々の根拠法律に環境配慮規定がなくても、当該事業を許可・認可するかどうかの判断のさいに、この評価書の内容を受けて、環境の保全について適切な配慮がなされているかどうかが審査される(いわゆる横断条項)。必要に応じて条件も付される(同法33条~35条)。
 さらに、評価書の公告の後でも、対象地域やその周辺の環境に変化があるなど特別の事情があって必要となれば、環境アセスメント手続は再度実施されることもある(同法32条)。[阿部泰隆]

環境アセスメントの課題

地方自治体が行うアセスメントは国の対象事業に該当しないものに限定される。ただし、国のアセスメント手続のなかで地方公共団体としての意見をまとめるために審査会や公聴会を開くことを条例で定めることは可能である(同法60条、61条)。この点に関しては、国よりも積極的にアセスメント条例を制定していた地方公共団体には、国法の制定によりその施策を後退させなければならないので、とまどいもある。
 環境影響評価法は日本では画期的ではあるが、なお問題も少なくない。まず、事業者がアセスメントを行うので、「影響は軽微」という結論を導きやすい。また、アセスメントを行う時期が特定の事業段階であって、もはや代替案を採用するには遅すぎる場合が生ずる。より早い計画段階でのアセスメント(計画アセスメント)が必要であり、また国や地域全体の環境を保全するには個々の事業アセスメントだけでなく、国のすべての計画や長期プラン全体にアセスメントの網をかけていくという、長い展望をもった戦略的アセスメントを制度化することが望まれる。
 住民や専門家・関係自治体の意見を広く聴く機会が何度も用意されるが、それでも実際には住民の意見反映の機会は足りないという意見もある。
 附則7条では、施行後10年を経過した時点で再検討することになっており、2010年(平成22)、戦略的アセスメントを盛り込んだ改正法案が作成され、国会の審議に付されたが、通常国会では議決に至らず、継続審査となった。
 しかし、これに先行して、生物多様性基本法(平成20年法律第58号)は計画段階の戦略的アセスメントを導入した。すなわち、生物の多様性は微妙な均衡を保つことによって成り立っており、一度損なわれると再生が困難であるとして、生物の多様性に影響を及ぼすおそれのある事業を行う事業者等が、その計画段階で「生物の多様性に及ぼす影響の調査、予測又は評価を行い、その結果に基づき、その事業に係る生物の多様性の保全について適正に配慮する」よう、国は「事業の特性を踏まえつつ、必要な措置を講ずるものとする」としている(同法25条)。[阿部泰隆]
『島津康男著『市民からの環境アセスメント』(1997・日本放送出版協会) ▽環境庁環境アセスメント研究会編『日本の環境アセスメント』平成10年度版(1998・ぎょうせい) ▽環境法政策学会編『新しい環境アセスメント法』(1998・商事法務研究会)』

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世界大百科事典内の環境アセスメントの言及

【公害】より

… このため,公害問題は他の経済問題と違って予防がたいせつであり,もしも被害が発生した場合には,差止めというきびしい制裁措置が認められている。しかしながら,現実には環境保全よりも経済の優先の傾向があるため,予防措置としての環境影響事前評価制度(環境アセスメント)が不十分ながら実行されるのは,1970年代のことであり,裁判においても差止めはなかなか認容されていない。
【公害の加害者】

[資本主義と市場の失敗]
 現代社会の公害の加害者の多くは企業であり,また公共事業では政府・自治体である。…

※「環境アセスメント」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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