トルコ石(読み)トルコイシ

デジタル大辞泉 「トルコ石」の意味・読み・例文・類語

トルコ‐いし【トルコ石】

アルミニウム燐酸塩りんさんえん鉱物。空色ないし青緑色を呈する。三斜晶系。飾り石にする。ターコイズトルコ玉
[類語]宝石たまぎょく宝玉勾玉原石金剛石ダイヤモンド玻璃石英水晶クリスタルクオーツ紫水晶アメシスト瑪瑙猫目石キャッツアイエメラルド翠玉緑玉石トパーズ黄玉オパール蛋白石ターコイズガーネット柘榴石瑠璃鋼玉ルビーサファイア翡翠碧玉琥珀真珠パール

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精選版 日本国語大辞典 「トルコ石」の意味・読み・例文・類語

トルコ‐いし【トルコ石】

  1. 〘 名詞 〙 ( ペルシアで産し、トルコを経て西欧にはいったところからいう ) 宝石の一つ。空色または青緑色。硬度五~六。一二月の誕生石。トルコ玉。緑松石。ターコイズ。
    1. [初出の実例]「逞しい彼の指には余り不景気には縁のない土耳古石(トルコイシ)の指環も嵌まってゐた」(出典:歯車(1927)〈芥川龍之介〉一)

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改訂新版 世界大百科事典 「トルコ石」の意味・わかりやすい解説

トルコ石 (トルコいし)
turquoise

淡青緑色を呈する美しい色彩のものを飾石に用いることで知られる鉱物。化学成分CuAl6(PO44OH8・4H2O。AlがFe3⁺で置換されたものを鉄トルコ石chalcosideriteと呼ぶ。三斜晶系に属し,短柱状結晶となるが,多くは塊状を示す。比重2.6~2.9,モース硬度5~6。淡青色~空色,ガラス光沢。条痕色は淡緑色。なおこの色彩は,乾燥状態で放置したり,酸およびアンモニアなどの処理を行うことによって変色する。二次鉱物として,アルミナに富む火成岩および堆積岩中に褐鉄鉱玉髄などを伴って産出する。
執筆者:

トルコ石は前3000年には知られていたとされ,古代エジプトの墳墓からの出土品や,中米のアステカミシュテコの文明における儀式用仮面やナイフのモザイクにはこの石を発見できる。トルコ石やラピスラズリの青色は黄金色をよく引き立たせるために,金細工の財宝や装身具に象嵌されてきた。トルコ石は最愛の人の危険や不貞をその色の変化で知らせると信じられている。また成功を保証することを象徴し,ラピスラズリとともに12月の誕生石となっている。トルコ石はトルコでの産出はまったくなく,古くからイラン(ペルシア)とシナイ半島で産出し,それらがトルコを経由し,あるいはトルコ人の隊商によってヨーロッパに持ち込まれたために,ヨーロッパで名付けられたものである。トルコ石はおもに乾燥地帯の褐鉄鉱もしくは砂岩中に脈石状ないし塊状で産出するため,それら母岩の褐鉄鉱や小砂岩を内包し,褐色ないし黒色の網目状模様を示すことがある。これは〈ネット〉と呼ばれ珍重される。トルコ石の色は濃青色から青空色,さらに青緑と種々あるが,濃青色のものが価値が高い。最良のトルコ石はイラン産で,シナイ半島は3000年来の供給地として知られるが,イスラエルとの紛争地域のため現在の採掘状況は不明である。アメリカのニューメキシコ州も著名なトルコ石産地で,アメリカ・インディアンの民族装身具にトルコ石の多量の装着を見ることができる。中国の湖北省もまた重要な産地である。良質な天然トルコ石の需要増に応じて,淡色石を色あげした染色トルコ石,人工的な合成トルコ石,粉末を圧縮成形した再生トルコ石,あるいはプラスチック製,ガラス製,陶器製の模造トルコ石も多く市場に出回っている。
執筆者:

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「トルコ石」の意味・わかりやすい解説

トルコ石
とるこいし
turquoise

美しい淡緑青色を呈し、飾り石となる銅の含水リン酸塩鉱物の一つ。トルコ玉ともいう。多くは地表の風化によって泥岩中に二次的につくられ、ときに銅鉱床の酸化帯中にも産する。熱水交代起源の粘土鉱床中にも生成されることがある。自形はまれで短柱状。多くは塊状、土状、皮膜状などである。日本では栃木県日光(にっこう)市から少量を産する。銅のかわりに亜鉛、第一鉄、カルシウムが、アルミニウムのかわりに第二鉄イオンが入ることによって、同構造のいくつかの独立種と化学組成上連続する。現在では、合成によってかなり良質のものがつくられるようになっている。12月の誕生石である。命名は、中世に飾り石としてペルシア産のものがトルコを経由してヨーロッパへ輸入されたことによる。

[加藤 昭]



トルコ石(データノート)
とるこいしでーたのーと

トルコ石
 英名    turquoise
 化学式   CuAl6[(OH)2|PO4]4・4~5H2O
 少量成分  Zn,Ca,Fe2+,Fe3+
 結晶系   三斜
 硬度    5~6
 比重    2.91
 色     淡緑青~青
 光沢    ガラス~土状
 条痕    白
 劈開    一方向に完全
       (「劈開」の項目を参照)

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「トルコ石」の意味・わかりやすい解説

トルコ石
トルコいし
turquoise

組成 CuAl6(PO4)4(OH)8・4H2O 。トルクワーズ,トルコ玉ともいう。三斜晶系。硬度5~6,比重 2.6~2.8。青ないし淡青色のガラス光沢。条痕は淡緑色。塊状または短柱状の結晶。劈開{001}に完全。前 4000年以前にシナイ半島で産出し,のちエジプトやペルシア産のものが,ヨーロッパにトルコ経由でもたらされたためこの名があるが,トルコからはほとんど産出しない。主産地はエジプト,アメリカ,イラン,中国。色調の美麗なものは古くから宝石として利用されてきた。 Alのほとんど,またはすべてが Feによって置換されたものは,鉄トルコ石と呼ばれる。アルミナに富む岩石中に2次鉱物として産出し,玉髄,褐鉄鉱などと共生する。 12月の誕生石。

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