日本大百科全書(ニッポニカ) 「トルコ石」の意味・わかりやすい解説
トルコ石
とるこいし
turquoise
美しい淡緑青色を呈し、飾り石となる銅の含水リン酸塩鉱物の一つ。トルコ玉ともいう。多くは地表の風化によって泥岩中に二次的につくられ、ときに銅鉱床の酸化帯中にも産する。熱水交代起源の粘土鉱床中にも生成されることがある。自形はまれで短柱状。多くは塊状、土状、皮膜状などである。日本では栃木県日光(にっこう)市から少量を産する。銅のかわりに亜鉛、第一鉄、カルシウムが、アルミニウムのかわりに第二鉄イオンが入ることによって、同構造のいくつかの独立種と化学組成上連続する。現在では、合成によってかなり良質のものがつくられるようになっている。12月の誕生石である。命名は、中世に飾り石としてペルシア産のものがトルコを経由してヨーロッパへ輸入されたことによる。
[加藤 昭]