トルコ石(読み)とるこいし(英語表記)turquoise

翻訳|turquoise

日本大百科全書(ニッポニカ) 「トルコ石」の意味・わかりやすい解説

トルコ石
とるこいし
turquoise

美しい淡緑青色を呈し、飾り石となる銅の含水リン酸塩鉱物の一つ。トルコ玉ともいう。多くは地表風化によって泥岩中に二次的につくられ、ときに銅鉱床の酸化帯中にも産する。熱水交代起源の粘土鉱床中にも生成されることがある。自形はまれで短柱状。多くは塊状、土状、皮膜状などである。日本では栃木県日光(にっこう)市から少量を産する。銅のかわりに亜鉛、第一鉄、カルシウムが、アルミニウムのかわりに第二鉄イオンが入ることによって、同構造のいくつかの独立種と化学組成上連続する。現在では、合成によってかなり良質のものがつくられるようになっている。12月の誕生石である。命名は、中世に飾り石としてペルシア産のものがトルコを経由してヨーロッパへ輸入されたことによる。

加藤 昭]



トルコ石(データノート)
とるこいしでーたのーと

トルコ石
英名turquoise
化学式CuAl6[(OH)2|PO4]4・4~5H2O
少量成分Zn,Ca,Fe2+,Fe3+
結晶三斜
硬度5~6
比重2.91
淡緑青~青
光沢ガラス~土状
条痕
劈開一方向に完全(「劈開」の項目参照

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「トルコ石」の意味・わかりやすい解説

トルコ石
トルコいし
turquoise

組成 CuAl6(PO4)4(OH)8・4H2O 。トルクワーズ,トルコ玉ともいう。三斜晶系。硬度5~6,比重 2.6~2.8。青ないし淡青色のガラス光沢。条痕は淡緑色。塊状または短柱状の結晶。劈開{001}に完全。前 4000年以前にシナイ半島で産出し,のちエジプトやペルシア産のものが,ヨーロッパにトルコ経由でもたらされたためこの名があるが,トルコからはほとんど産出しない。主産地はエジプト,アメリカ,イラン,中国。色調の美麗なものは古くから宝石として利用されてきた。 Alのほとんど,またはすべてが Feによって置換されたものは,鉄トルコ石と呼ばれる。アルミナに富む岩石中に2次鉱物として産出し,玉髄,褐鉄鉱などと共生する。 12月の誕生石。

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