謝る(読み)アヤマル

デジタル大辞泉 「謝る」の意味・読み・例文・類語

あやま・る【謝る】

[動ラ五(四)]《「誤る」と同語源》
悪かったと思って相手に許しを願う。わびる。「すなおに―・りなさい」
困る。閉口する。まいる。「あいつの押しの強さには―・る」
困って断る。辞退する。「めんどうなことは―・るよ」
[可能]あやまれる
[用法]あやまる・わびる――「心から謝る(わびる)」「頭を下げて謝る(わびる)」などの場合には相通じて用いられる。◇「謝る」は、「謝ってすむ問題ではない」「平謝りに謝る」のように、率直に許しをこうときなど、日常口語として多く用いられる。◇「わびる」は、「非礼をわびる」「過ちをわびる」のように、自分の気持ちを言葉態度に表す意が強く、改まった言い方。重大な過失の許しを得る場合や、文章語として用いられる。◇「御無沙汰をおわび申し上げます」の「おわび」を「お謝り」には換えられず、「ごめん、ごめん、謝るよ」の「謝る」は、「わびる」に置き換えられない。
[類語]わびる謝するわびわび言平謝り陳謝謝罪多謝恐縮有り難いかたじけないうれしいもったいないおそれ多い幸甚恐懼きょうく恐れ入る痛み入る心苦しい身に余る過分かしこまる畏れる謹むしゃちほこばる固くなる縮こまる小さくなるまじめ腐る身の縮む思い畏怖

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「謝る」の意味・読み・例文・類語

あやま・る【謝】

  1. 〘 自動詞 ラ行五(四) 〙 ( 「あやまる(誤)」と同源 )
  2. 過失の許しを求める。わびる。謝罪する。
    1. [初出の実例]「ちと強う当た事も御ざらう。其所で、まっぴらあやまったと申まする」(出典:虎寛本狂言・鬮罪人(室町末‐近世初))
    2. 「事新敷(あたらしき)一言(ごん)。誤れなんどといふ事は、武士降参も同じ事。〈略〉誤らねば又何とする」(出典浄瑠璃源平布引滝(1749)五)
  3. 降参する。おそれいる。閉口する。まいる。
    1. [初出の実例]「『サア、なんと』『誤りましたハさ』」(出典:歌舞伎・幼稚子敵討(1753)二)
  4. ごめんこうむる。辞退する。
    1. [初出の実例]「五丁ひももあやまるとかいって、黒のひらうちのちょんがけ」(出典:洒落本・通言総籬(1787)一)
    2. 「『それぢゃ西洋料理と為(し)やう』『貴方(あなた)も?』『俺は謝る』」(出典:多情多恨(1896)〈尾崎紅葉〉後)

謝るの語誌

「誤る」から「誤りを認める、誤りを許すことを請う」意に転じたものと思われる。古い例で「謝罪」の意味に近いものとしては「石山寺本金剛波若経集験記平安初期点」に「虔(アヤマル)誠」という例があり「つつしみ敬う」意と考えられるが、「謝罪」の意味が一般的になるのは、中世末から近世にかけてである。「日葡辞書」にはこの意味の「謝る」の項目はないが、「あやまりを請う」を「罪過あるいは間違いを赦してもらうように願う」としており、過渡期的な様相がうかがわれる。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

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