過分(読み)カブン

デジタル大辞泉 「過分」の意味・読み・例文・類語

か‐ぶん〔クワ‐〕【過分】

[名・形動]
分に過ぎた扱いを受けること。また、そのさま。多く、謙遜しながら感謝を表す場合に用いる。「過分な(の)頂き物をする」
態度や振る舞いが、分際をわきまえないこと。また、そのさま。身分不相応。「過分な望みをいだく」
「父子ともに―の振る舞ひすると見しに合はせて」〈平家・二〉
程度限度を超えていること。また、そのさま。
「やせ衰へたる牛などを安々と買ひとって…―に売り」〈虎明狂・牛博労
[類語](1恐縮有り難い謝る謝するわびわび言平謝り陳謝謝罪多謝わびるかたじけないうれしいもったいないおそれ多い幸甚恐懼きょうく恐れ入る痛み入る心苦しい身に余るかしこまる畏れる謹むしゃちほこばる固くなる縮こまる小さくなるまじめ腐る身の縮む思い畏怖恩義恩に着る頭を下げる腰をかがめる平身低頭身に過ぎる三拝九拝深謝感謝拝謝万謝謝意謝恩感佩かんぱいかしこくも感恩有り難がる言葉に甘えるお言葉に甘える厚意多とする感極まる感じ入る感に堪えない身に染みる思いやり/(2分外

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「過分」の意味・読み・例文・類語

か‐ぶんクヮ‥【過分】

  1. 〘 名詞 〙 ( 形動 ) 物事が限度や標準を越えていること。
  2. ( ━する ) 身分にふさわしい程度以上の態度、ふるまいをすること。また、そのさま。
    1. [初出の実例]「将門が謬て過分の望を負て」(出典:将門記(940頃か))
    2. [その他の文献]〔晉書‐王敦伝〕
  3. 物の量が限度や標準を越えていること。十分すぎること。また、そのさま。
    1. [初出の実例]「霖雨過分なりとて、天下の諸人あざみいとふばかりなりけり」(出典:名語記(1275)六)
  4. 身分にふさわしい程度以上の扱いを受けること。身にあまって、ありがたいこと。身分不相応で、もったいないこと。また、そのさま。⇔応分
    1. [初出の実例]「依両方之顕要、預十ケ之職掌、不肖之質過分可恐」(出典兵範記‐仁安二年(1167)七月二九日)
    2. 「商人どもかかるにぎはひに乗じて、過分(クヮブン)の福(さいはひ)を得んと」(出典:読本・昔話稲妻表紙(1806)四)
  5. ( 主に同輩目下の人に対して、感動詞のように用いて ) ありがとう、ご苦労さま、おせわさまなどの意味を表わす。
    1. [初出の実例]「いかにや此町にみのやの彦右衛門といふ人やあるとたづねければ、此二町下(しも)なりと申。ひきゃく過分(クブン)なりとてはしり行」(出典:咄本・百物語(1659)下)

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普及版 字通 「過分」の読み・字形・画数・意味

【過分】か(くわ)ぶん

身分以上。宋・梅尭臣途中、尚書晏相公(殊)に寄上す、二十韻〕詩 生獨り字を以て樂しむ 曾(すなは)ち未だ敢て賤を恥づることを爲さず 官は寸なりと雖も、實になり 名姓は已に賢に知られたり

字通「過」の項目を見る

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