慎む(読み)ツツシム

デジタル大辞泉 「慎む」の意味・読み・例文・類語

つつし・む【慎む/謹む】

[動マ五(四)]
あやまちや軽はずみなことがないように気をつける。慎重に事をなす。「行動を―・む」「言葉を―・みなさい」
度をすごさないようにする。控えめにする。節制する。「酒を―・む」「暴飲暴食を―・む」
(「謹む」と書く)うやうやしくかしこまる。「―・んで御礼申し上げます」→謹んで
君達きんだちさへ余り―・み給て、今は目も見せ給はねば」〈狭衣・四〉
物忌みする。斎戒する。
「ながき物忌みにうちつづき、著座といふわざしては―・みければ」〈かげろふ・下〉
[類語](1控える差し控える憚る遠慮気兼ね心置きはばか控え目斟酌しんしゃく忌憚きたん謹慎内輪断る/(3畏まる畏れるしゃちほこばる固くなる・身も縮む・縮こまる小さくなる真面目腐る恐恐恐懼きょうく恐縮有り難いかたじけないうれしいもったいないおそれ多い幸甚恐れ入る痛み入る心苦しい身に余る過分身の縮む思い畏怖恩義恩に着る頭を下げる腰をかがめる平身低頭身に過ぎる三拝九拝深謝感謝拝謝万謝謝意謝恩感佩かんぱいかしこくも感恩有り難がる言葉に甘えるお言葉に甘える厚意多とする感極まる感じ入る感に堪えない身に染みる思いやり

つつ・む【慎む】

[動マ四]《「包む」と同語源》
気がねする。遠慮する。
人目も今は―・み給はず泣き給ふ」〈竹取
気後れする。
「例いとよく書く人も、あぢきなうみな―・まれて」〈二三

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「慎む」の意味・読み・例文・類語

つつし・む【慎・謹】

  1. [ 1 ] 〘 他動詞 マ行五(四) 〙 ( 促音化して「つっしむ」とも )
    1. あやまちをおかさないように気をつける。心をひきしめ、ひかえめな態度をとる。大事をとる。自重する。
      1. [初出の実例]「所以に、心を小(せ)め己を励(はけ)まして日(ひ)に一日(ひとひ)を慎(ツツシム)ことは蓋し百姓(おほむたから)の為の、故なり」(出典:日本書紀(720)雄略二三年八月(前田本訓))
      2. 「能を極めたるとは思ふべからず。ここにて猶つつしむべし」(出典:風姿花伝(1400‐02頃)一)
    2. 神や尊いものに対して、うやまいの心をもって尊ぶ。うやうやしくかしこまった態度をとる。尊んでつき従う。→つつしんで
      1. [初出の実例]「当に虔(ツツシミ)敬ひ渇仰する之心を超したてまつらむとおもふべし」(出典:西大寺本金光明最勝王経平安初期点(830頃)六)
      2. 「君達さへ、余りつつしみ給て、今は目も見せ給はねば、いみじうつれづれにこそなりにたれ」(出典:狭衣物語(1069‐77頃か)四)
    3. 物忌みをする。斎戒する。
      1. [初出の実例]「つつしむことのみあればこそあれ。さらにこずとなん、我は思はぬ」(出典:蜻蛉日記(974頃)中)
      2. 「京に子生むべきむすめのことにより、つつしみ騒げば、例の家にもえ行かず」(出典:源氏物語(1001‐14頃)蜻蛉)
  2. [ 2 ] 〘 他動詞 マ行下二段活用 〙 [ 一 ]に同じ。
    1. [初出の実例]「汝が心念を慎(ツツシメ)威儀を摂持せよ」(出典:岩淵本願経四分律平安初期点(810頃))
    2. 「程(ツツシメ)綸言を奉(う)けたてまつり、載ち翻訳せしめ」(出典:大唐三蔵玄奘法師表啓平安初期点(850頃))

慎むの補助注記

中世以降、促音化して「つっしうて」「つっしんだ」などと、「つっしむ」の形でも用いられた。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

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