心苦しい(読み)ココログルシイ

デジタル大辞泉 「心苦しい」の意味・読み・例文・類語

こころ‐ぐるし・い【心苦しい】

[形][文]こころぐる・し[シク]
心に痛みを感じるさま。つらく切ない。「彼の苦労を思うと私も―・い」
申し訳なく思うさま。気がとがめる。「こんなに親切にしていただいては―・い」
他を気遣うさま。気の毒だ。また、気がかりである。心配だ。
「いみじうあはれに―・しう、見捨てがたきことなどを」〈・一二四〉
[類語](1面目無い名折れ面汚し赤恥羞恥生き恥死に恥恥さらし恥ずかしい極まり悪いやましい不名誉不面目肩身が狭い合わせる顔がない身の置き所が無い穴があったら入りたい面目次第も無い汗顔・汗顔の至り冷汗三斗・冷や汗もの・忸怩じくじ顔向けが出来ない顔が合わせられない顔が潰れるばつが悪いどの面下げて恥じ入るかた無し小恥ずかしい気恥ずかしいうら恥ずかしいおもはゆい照れ臭い恥をかく後ろめたい後ろ暗い気がとがめる負い目自責面目丸潰れ面目を失う泥を塗る名を折る名を汚す消え入る/(2気の毒済まない申し訳ない恐縮有り難い謝る謝するわびわび言平謝り陳謝謝罪多謝わびるかたじけないうれしいもったいないおそれ多い幸甚恐懼きょうく恐れ入る痛み入る身に余る過分かしこまる畏れる謹むしゃちほこばる固くなる縮こまる小さくなるまじめ腐る身の縮む思い畏怖恩義恩に着る頭を下げる腰をかがめる平身低頭身に過ぎる三拝九拝深謝感謝拝謝万謝謝意謝恩感佩かんぱいかしこくも感恩有り難がる言葉に甘えるお言葉に甘える厚意多とする感極まる感じ入る感に堪えない身に染みる思いやり

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「心苦しい」の意味・読み・例文・類語

こころ‐ぐるし・い【心苦】

  1. 〘 形容詞口語形活用 〙
    [ 文語形 ]こころぐる〘 形容詞シク活用 〙
  2. 心に苦痛を感ずる。胸が痛い。つらく切ない。思い苦し。
    1. [初出の実例]「あしひきの荒山中に送り置きて帰らふ見れば情苦(こころぐるし)も」(出典万葉集(8C後)九・一八〇六)
    2. 「都うつりとてあさましかりし天下の乱れ、かやうの事ども御心ぐるしうおぼしめされけるより、御悩つかせ給ひて」(出典:平家物語(13C前)六)
  3. 人の身の上を思って気遣わしい。気の毒である。いたわしい。いじらしい。いとしい。
    1. [初出の実例]「女をとかくいふこと月日経にけり。岩木にしあらねば、心ぐるしとや思ひけん」(出典:伊勢物語(10C前)九六)
    2. 「さすがに、もと心ぐるしう思召しならはせ給へる御仲なればにや、いとほしげにこそ思召したりけれ」(出典:大鏡(12C前)四)
  4. 相手にすまない気持がする。気がとがめる。気づまりだ。
    1. [初出の実例]「戎衣にして御墓へ詣でん事の、いと心くるしくありつるに」(出典:読本・椿説弓張月(1807‐11)後)

心苦しいの語誌

平安時代の散文では肉親間に多く用いられ、類義語「いとほし」が恋愛対象について多く用いられているのと対照的である。「いとほし」は人が見たら気の毒に思うさま、すなわち他者を主とした他人への思いやりを表わし、「こころぐるし」は自分から見て気の毒に思うさま、すなわち自己を主とした他人への思いやりを表わすものと考えられる。

心苦しいの派生語

こころぐるし‐が・る
  1. 〘 他動詞 ラ行四段活用 〙

心苦しいの派生語

こころぐるし‐げ
  1. 〘 形容動詞ナリ活用 〙

心苦しいの派生語

こころぐるし‐さ
  1. 〘 名詞 〙

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

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