鯱張る(読み)シャチホコバル

デジタル大辞泉 「鯱張る」の意味・読み・例文・類語

しゃちほこ‐ば・る【×鯱張る】

[動ラ五(四)]
1 鯱のようにいかめしく構えた態度をとる。しゃちこばる。しゃっちょこばる。「―・って訓辞を垂れる」
2 緊張してかたくなる。しゃちこばる。しゃっちょこばる。「―・ってお辞儀をする」
[類語]かしこまる・畏れる・謹む・固くなる・身も縮む・縮こまる・小さくなる・真面目腐る・恐恐・恐懼きょうく・恐縮・有り難い・かたじけない・うれしい・もったいない・おそれ多い・幸甚・恐れ入る・痛み入る・心苦しい・身に余る・過分・身の縮む思い・畏怖・恩義・恩に着る・頭を下げる・腰をかがめる・平身低頭・身に過ぎる・三拝九拝・深謝・感謝・拝謝・万謝・謝意・謝恩・感佩かんぱい・かしこくも・感恩・有り難がる・言葉に甘える・お言葉に甘える・厚意・多とする・感極まる・感じ入る・感に堪えない・身に染みる・思いやり

しゃち‐ば・る【×鯱張る】

[動ラ四]「しゃちほこばる」に同じ。
「我等はあとにと―・って居た」〈浄・忠臣蔵〉

しゃっちょこ‐ば・る【×鯱張る】

[動ラ五(四)]「しゃちほこばる」の音変化。「あまり―・らずに楽にしなさい」

しゃちこ‐ば・る【×鯱張る】

[動ラ五(四)]「しゃちほこばる」の音変化。「緊張して―・る」

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精選版 日本国語大辞典 「鯱張る」の意味・読み・例文・類語

しゃちこ‐ば・る【鯱張】

  1. 〘 自動詞 ラ行五(四) 〙 ( 「さしこわる(差強)」の変化した語か )
  2. ① いかめしく構える。威厳をつくる。いばって見せる。しゃちほこばる。しゃちばる。
    1. [初出の実例]「小人にしたがうて居よかしと思へども、しゃちこはっていやぢゃと思ふ心があるぞ」(出典:京大二十冊本毛詩抄(1535頃)二)
    2. 「厳しいお巡りさんがしゃちこばって護衛する」(出典:夢見草(1970)〈加賀乙彦〉)
  3. ② 緊張してかたくなる。からだをこわばらせる。
    1. [初出の実例]「はらにてのりたちがしたやら、しゃちこばり、目を見つめ、すでにあやうき所なり」(出典:咄本・軽口出宝台(1719)一)
  4. ③ 物がかたくなる。こわばる。
    1. [初出の実例]「其木像見せさっしゃれ。ヲヲしゃちこばった荒木作り」(出典:浄瑠璃・菅原伝授手習鑑(1746)二)

鯱張るの語誌

( 1 )シャチホコ‐バル(鯱張)の転とする説があるが、用例の年代や各地の方言形などから、シャチホコバルはシャチコバルよりも新しい語形であり、考えにくい。中世の口語資料に見えるサシ‐コハル(差強)がもとの形であると考えられる。
( 2 )一方、シャチは硬直する意の動詞「しゃつ」の連用形とする見方もある。
( 3 )シャチ‐コハルのコハル(強)がコバルに変化すると、シャチ‐バルなどへの類推からバル(張)が意識されシャチコ‐バルと異分析を生じ、さらにシャチを鯱とする語源解釈からシャチホコ‐バル、シャッチョコ‐バル等が生まれたと思われる。


しゃち‐ば・る【鯱張】

  1. 〘 自動詞 ラ行四段活用 〙
  2. ① =しゃちこばる(鯱張)①
    1. [初出の実例]「相如も犢鼻をといて、高蓋駟馬で蜀へかへるぞ。是も皆銭のする処ぞ。しゃちはった事をかいたぞ」(出典:寛永刊本蒙求抄(1529頃)三)
  3. ② =しゃちこばる(鯱張)②
    1. [初出の実例]「糊つくる苔の衣もいかなれや〈西花〉 坐禅のとこにしゃちはってゐる〈直成〉」(出典:俳諧・天満千句(1676)八)
  4. ③ でしゃばる。さし出る。〔志不可起(1727)〕

しゃちほこ‐ば・る【鯱張】

  1. 〘 自動詞 ラ行四段活用 〙 =しゃちこばる(鯱張)
    1. [初出の実例]「『賢臣は二君に事(つか)へず』抔と云って鯱鉾張(シャチホコバッ)てて」(出典:落語・お祭佐七(1890)〈禽語楼小さん〉)

しゃっちょこ‐ば・る【鯱張】

  1. 〘 自動詞 ラ行五(四) 〙 「しゃちほこばる(鯱張)」の変化した語。〔東京語辞典(1917)〕
    1. [初出の実例]「両手をテーブルの角へ突いて、変に鯱鉾張(シャッチョコバ)った様子をしながら」(出典:彼と彼の内臓(1927)〈江口渙〉)

しゃっちこ‐ば・る【鯱張】

  1. 〘 自動詞 ラ行五(四) 〙 「しゃちこばる(鯱張)」の変化した語。
    1. [初出の実例]「何か体をぎくしゃくとしゃっちこ張(バラ)せて入来る様子」(出典:滑稽本・七偏人(1857‐63)初)

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

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