関東ローム層で代表される日本の火山灰の分布地帯で、地表の黒土(くろつち)の下にある褐色の土層。表土の黒さと比べて、明るい赤みを感じさせるために、古くからこの土層は赤土とよばれてきた。火山灰の分布する関東、東北、中部、九州、北海道の各地方で赤土といえば、耕地の下層土や道路わきの切り通しにみられる褐色の緻密(ちみつ)な土壌をさす。粘土粒子が多くかつ含水比が高いので、直接地表に露出している場合は、雨後のぬかるみや強風時の塵害(じんがい)の原因となる。赤み(実は褐色)の根源は火山灰の風化生成物としての酸化鉄にあり、粘土質の由来は火山ガラスや火山岩片の変質した二次鉱物(主としてアロフェン)の微粒子による。
火山灰起源の土壌でなくても、その上下の層や隣接地にある灰色や淡黄色の土層に比べて褐色または赤色を帯びる場合は、やはり赤土とよばれることもあるが、いずれにせよ赤土の呼称は学問的に定義づけられたものではない。一方、西南日本とくに東海、中国、北九州、沖縄などに分布する「赤色土」や「黄色土」は、火山灰地帯のいわゆる赤土よりも赤みが強く、亜熱帯気候下で長期間を経て生成した土壌であり、火山灰起源ではない。熱帯地方のラテライト性土壌に近い成因をもち、土壌学的に定義された類型に属している。
砂質地における客土材料や、盆栽などで使われる赤土には、粘土質に富む火山灰起源の土壌が供与される。
[浅海重夫・渡邊眞紀子]
ふつう火山灰土壌の表層の黒土(くろつち)と対応させて,有機物の少ない明るい褐色の心土を指していう。地方によりアカノッポ,アカオンジ,アカホヤなどさまざまに呼ばれ,また表層地質学の分野ではローム(層)と呼ばれることも多い。一般に鉄分に富む塩基性の火山灰ほど赤みがつよい。同じ火山灰から表層の黒土,下層の赤土と分化することもあるが,現世に発達した黒土層に埋もれた更新世の火山灰風化物である場合も多く,旧石器時代の遺物はそうした赤土層から出土する。黒土が浸食その他の原因で発達せず,表面から赤土が出ることもあり,千葉県北部から茨城県南部にかけての常総台地はこの種の赤土地帯である。また西南日本から南西諸島にかけて分布する広い赤黄色土を指して赤土ということもある。この土の多くは更新世間氷期の亜熱帯性気候の下で発達したもので,関東以西の洪積台地および丘陵地に主として分布する。母材に鉄分が多いほど,また乾燥しやすい所ほど土の赤みがつよい。
執筆者:三土 正則
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…帝展に工芸部が設置された27年ころは彼らの活動も高揚し,この年,北原千鹿を中心にして,信田洋(のぶたひろし)(六平,1902‐90),山脇洋二(1907‐82)らの金工家が集まって工人社が結成された。また,京都でも1920年に楠部弥弌(くすべやいち)らによって,前衛的な作陶家集団赤土が結成されている。 ただし彼らの作品は,当時すでに洋風の建築や室内装飾に移植されていたアール・デコや構成主義の様式に強く影響されていた。…
…日本では,明治初年に関東地方の台地に分布する手ざわりが壌土質である風化火山灰を関東ロームと呼んだのに始まり,ロームといえば火山灰の風化物,とくに黒土の下方に現れる明るい褐色の風化火山灰層をさすようになった。立川ローム,武蔵野ロームなどと呼ばれるのがそれで,この場合,赤土と俗称されるものとほぼ同義である。一方ヨーロッパでは,ローム化ということばが風化・粘土生成とほとんど同義に用いられる。…
※「赤土」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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