精選版 日本国語大辞典 「でも」の意味・読み・例文・類語
で‐も
[1]
[一] 打消の意を含む接続助詞「で」に、係助詞「も」の付いたもの。動詞の未然形に付く。…なくても。また、「言わでものこと」のように、「でも」のあとに「あるべきこと」「よいこと」などを略して、「言わなくてもよいこと」の意を表わすことがある。
※枕(10C終)一「霜のいとしろきも、またさらでもいと寒きに」
※平家(13C前)一〇「なに事でもおぼしめさん御事をばうけ給はって申せ」
[三] 格助詞「で」に、係助詞「も」の付いたもの。…においても。
※平家(13C前)七「弓矢とりはいささかの所でも思ひでの詞をば、かねてつがひおくべきで候ける物かな」
[3] 〘副助〙 ((一)が一語化したものという) 体言あるいは体言と同資格の語、体言に「が」「を」以外の格助詞の付いたもの、接続助詞「て」などをうける。
※虎明本狂言・餠酒(室町末‐近世初)「ざうたんに申いって、おちゃでも申さいで、おのこりおほい」
※洒落本・娼註銚子戯語(1780)「『ねなすんな』『おきてすわってでもいやしゃう』」
(ロ) (「なに」「だれ」「いつ」「どこ」などの語について) すべての場合を肯定することを表わす。「なんでも食べられます」「だれでもいい」「どこへでも行く」など。なお、「なぜでも」「どうしてでも」は、理由を問われて答えを拒否するのについて用いる。
(ハ) (軽重優劣いずれの方向にも) 極端な場合を提示し、他の場合は勿論である、の意を言外に表わす。…でさえ。
※歌舞伎・傾城暁の鐘(徳川文芸類聚所収)(1708)中「世に出なば百両でもださふ程に」
※野菊の墓(1906)〈伊藤左千夫〉「奥の間の最も煙に遠いところでも、〈略〉板の木目も判らぬ程黒い」
[補注](1)(一)の用法で、(二)と(三)との境界は必ずしも明らかにはし難い。
(2)(三)(イ)の用法で、特にどれと指定しないで、漠然と例示する場合には、必然的に軽いものが提示されることが多く、自然と価値の低いものという感じを伴う。
(2)(三)(イ)の用法で、特にどれと指定しないで、漠然と例示する場合には、必然的に軽いものが提示されることが多く、自然と価値の低いものという感じを伴う。
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報