(読み)クダリ

デジタル大辞泉 「件」の意味・読み・例文・類語

くだり【件/条】

《「くだ」と同語源》
文章における記述一部分。章。条。段。「冒頭の―がよく書けている」
前に述べた事柄くだん。
「上の―啓せさせけり」〈大和・一六八〉
[類語]部分箇所かしょところ部位一部一部分局部局所細部断片一端いったん一斑いっぱん一節いっせつパートセクション事項項目費目

けん【件】

[名]事柄。特に、問題になる、ある特定の事柄。「例のは承知しました」
[接尾]助数詞。事柄・事件などを数えるのに用いる。「問題は三ある」
[類語]部分問題案件一件本件別件事案懸案課題題目本題論題論点争点テーマプロブレム

けん【件】[漢字項目]

[音]ケン(漢) [訓]くだり くだん
学習漢字]5年
事柄。「件数件名案件雑件事件条件物件与件用件要件
[名のり]かず・なか・わか

くだん【件】

《「くだり(件)」の音変化。12はふつう「くだんの」の形で用いる》
前に述べたこと。例の。くだり。「の用件で話したい」
いつものこと。例のもの。
「―の売卜者うらない行灯が」〈鏡花婦系図
頭が人、体が牛の形をした妖怪疫病流行災害などについて予言するといわれる。→予言獣

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精選版 日本国語大辞典 「件」の意味・読み・例文・類語

くだん【件】

  1. 〘 名詞 〙 ( 「くだり(件)」の変化した語。ふつう、「くだんの」の形で連体詞的に用いる )
  2. 前に述べた事柄を、読者や聞き手がすでに承知しているものとして、さし示す語。「の」を伴った形で、前に述べた、さっきの、例の、の意に用いる。→件の如し
    1. [初出の実例]「天皇、此の事を聞き給て、宣旨を下して、件(くだん)の僧を召す」(出典:今昔物語集(1120頃か)一三)
  3. その行動、状態などが人々によく知られているものとして、その事柄をさし示す語。「の」を伴った形で、例の、いつもの、あの、の意に用いる。
    1. [初出の実例]「さやうの論をすべきやうなし。件のさまたげ止させ給ふべく候」(出典:吾妻鏡‐元暦二年(1185)一月六日)
    2. 「鶴、件のくちばしを伸べ、狼の口をあけさせ、骨をくはへて」(出典:仮名草子・伊曾保物語(1639頃)中)
  4. なにかさしさわりがあって、はっきりことばで表わすのを避けるときに用いる語。あれ。例のもの。
    1. [初出の実例]「五六尺ばかりなるくちなは、いづくよりかきたりつらん、件のかしらにあやまたずくひつきにけり」(出典:古今著聞集(1254)二〇)

けん【件】

  1. [ 1 ] 〘 名詞 〙 問題としてとりあげられた、ある特定のことがら。
    1. [初出の実例]「其折御相談の件本日当銀行重役に談じ候」(出典:社会百面相(1902)〈内田魯庵〉虚業家尺牘数則)
  2. [ 2 ] 〘 接尾語 〙 事柄を数えるのに用いる。〔俚言集覧(増補)(1899)〕〔汪元量‐湖州歌〕

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普及版 字通 「件」の読み・字形・画数・意味


常用漢字 6画

[字音] ケン
[字訓] わかつ・くだり

[説文解字]

[字形] 会意
人+牛。六朝末、唐宋以後に用いる。〔説文〕人部八上の部末に「なり。人に從ひ、牛に從ふ。牛は大物なり。故につべし」とみえるが、〔段注〕にこれを後添の文とし、「按ずるに下に云ふ、物中するなり。牛に從ふと。件は乃ち體なり」として、その条を刪(けず)っている。の誤体としても、件の声義を得ることはできない。〔説文〕の文はそのまま〔玉〕にも引かれており、そのような説解があったものと思われる。〔北史、郎基伝〕「に條件して臺省に申す」とあり、案件として扱う意である。

[訓義]
1. わかつ、物ごとにわかつ、区別する。
2. くだり、すじ、わかちかぞえる。
3. 国語のくだんは、くだりの音便化した語。また、はらう、すつの訓がある。

[古辞書の訓]
〔新字鏡〕件 波良不(はらふ)、、加須豆(かきすつ)、、於志須豆(おしすつ)、、尓波々志(にぎははし) 〔名義抄〕件 クダムノ・ワカツ・ヒトシ・キラフ・クチ・ハラフ・カキスツ・スクナシ・ユヅル 〔字鏡集〕件 ワカツ・キラフ・ヒトシ・ヲシフ・ノチ・クダンノ・カドハシラ・クツログ

[熟語]
件挙・件件・件数・件頭・件物・件別・件目
[下接語]
案件・一件・具件・後件・雑件・事件・条件・人件・前件・難件・物件・与件・用件・要件

出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報

デジタル大辞泉プラス 「件」の解説

件(くだん)

日本の妖怪。半人半牛の姿で、生まれて数日の間に災害や疫病の予言をし、言い終えると死んでしまうとされる。

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