デジタル大辞泉
「候」の意味・読み・例文・類語
そう〔さう〕【▽候】
[動特活]《動詞「そうろ(候)う」の音変化。中世語》
1 「あり」の丁寧語。あります。ございます。
「舜の時はさはさうなんだ」〈史記抄・一一〉
2 補助動詞として丁寧の意を添えるのに用いられる。…ます。…あります。
「腹帯ののびてみえさうぞ」〈平家・九〉
「さてこそ第一は理、第二は智ではさうへ」〈西福寺本人天眼目抄・上〉
[補説](1) 活用形は、未然形・連用形・終止形・連体形が「さう」、已然形・命令形が「さうへ」。なお、命令形相当のものに「そひ」「そへ」もある。(2) 歴史的仮名遣いは「さふ」とも。
そろ【▽候】
[動特活]《「そうろう」の音変化》「ある」の丁寧語。多く補助動詞として用いる。
「いかでか惜しからでそろべき」〈曽我・一〉
[補説]活用形は、未然形「そろは」「そろ」、連用・終止・連体形「そろ」、已然・命令形「そろへ」。
出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例
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そろ【候】
- 〘 自動詞 動特活 〙 ( 「ぞろ」とも。未然形「そろは」「そろ」、連用・終止・連体の三形「そろ」、已然・命令形「そろへ」 ) 「そうろう(候)」の変化したもの。「ある」の意の丁寧語。多く、補助動詞として用いる。あります。…ます。
- [初出の実例]「思ひの外なる御事のそろける某しと申す者の女(むすめ)也」(出典:米沢本沙石集(1283)四)
- 「思ひ寝の、心からなる夢ぞろか、または現かうつつなや」(出典:歌謡・松の葉(1703)二・恋づくし)
候の語誌
( 1 )室町時代に、「さうらふ(ソウロウ)」から「そろ」と略されたものとも、「さうらふ」が「そろふ」をへて出現したものとも、「さうらふ」から「さう」への縮約化によって、新たに原形「ソウロウ」が意識され、それから再生産されたものともいわれる。室町時代末には書き言葉として用いられたようである。
( 2 )語頭濁音の「ゾロ」は室町時代から見られ、謡曲では「ゾーロ」「ゾーロー」と発音されていたと思われる。また体言に付く濁音形の「ゾロ」は歌謡に見られ、江戸時代初期の俳諧では「体言+候」(「なに候(ゾロ)か」「なに候(ゾロ)よ」)の形で俳言として用いられた。
そうさう【候】
- 〘 自動詞 特活 〙 動詞「そうろう(候)」の縮約形。中世以降、多く補助動詞として用いる。一説に、助動詞ともする。「そうろう」に比べ、俗語的である。…です。…ます。→そうず〔連語〕。
- [初出の実例]「此河は西国一の大河ぞや。腹帯(はるび)ののびてみえさうぞ。しめ給へ」(出典:平家物語(13C前)九)
- 「ちっと用心をめされさうへ」(出典:史記抄(1477)一一)
- 「文章かきたてをして、畧せしかと、思へともえ取りをきそうぬと云そ」(出典:寛永刊本蒙求抄(1529頃)一)
- 「しけしげと上りし壮年の時も細々に上りさうし、今ははや」(出典:四河入海(17C前)七)
候の補助注記
活用形は、未然・連用・終止・連体の四形は「さう」の形、已然・命令形は「さうへ」の形。男性語といわれる。また、命令形「さうへ」に当たるものに「そひ」「そへ」の形もある。→そい(候)・そえ(候)
こう【候】
- 〘 名詞 〙
- ① 古く、中国で、時気の小変動があるとした一期間。すなわち、二十四節気を各三分、計七二に区分したその一区ぎり五日間の称。
- [初出の実例]「さて又五日為一候、三候為一気と云て」(出典:史記抄(1477)七)
- [その他の文献]〔素問‐六節蔵象論〕
- ② ある気候の特色をもつ時節。季候。
- [初出の実例]「もはら季夏初秋の候にあたる」(出典:平家物語(13C前)五)
- [その他の文献]〔王羲之‐問慰諸帖・下〕
- ③ 兆し。しるし。兆候。
- [初出の実例]「老衲却云霖雨候、東風暁送海城鐘」(出典:詩聖堂詩集‐二編(1828)二・山中雑題)
す【候】
- 〘 助動詞 〙 ( 補助動詞「そうろう」の下略「そう」がさらに転じたもの ) 動詞また形容動詞の連用形、助詞「て」などに付いて丁寧の意を表わすが、敬意は薄い。(あり)ます。
- [初出の実例]「今朝の嵐は、あらしではなげにすよの。大井川の河の瀬のをとぢゃげにすよなふ」(出典:歌謡・閑吟集(1518))
- 「粟田口かはふ、あわた口かひす」(出典:虎明本狂言・粟田口(室町末‐近世初))
候の語誌
( 1 )「さうらふ(候)」は室町時代に話しことばとしては衰退し、いろいろな語形に転ずる。「す」もその一つで、「さうらふ」から「さう」「すう」を経て室町時代後期に生じた。
( 2 )動詞連用形に「す」「て‐す」と続くほか、体言に「に‐す」「で‐す」とも続く。江戸時代初期には、田舎風の、あるいは古めかしい語感を伴うとされた。
そいそひ【候】
- ( 動詞「そう(候)」の命令形「そうえ」の変化したもの ) 「お…そい」で今の「…給え」にあたる。敬意はほとんどない。
- [初出の実例]「所詮うたはせぬれうけんをいたそう、おなをりそひ 太刀ぬく、下人なく主はらふ」(出典:虎明本狂言・二千石(室町末‐近世初))
- 「舅殿、御聞そい」(出典:虎寛本狂言・夷毘沙門(室町末‐近世初))
さもらいさもらひ【候】
- 〘 名詞 〙 ( 動詞「さもらう(候)」の連用形の名詞化 ) 様子をうかがうこと。待機すること。
- [初出の実例]「風吹けば波か立たむと伺候(さもらひ)に都太(つだ)の細江(ほそえ)に浦隠り居り」(出典:万葉集(8C後)六・九四五)
そうろうさうらふ【候】
- 〘 名詞 〙 ( 「いそうろう(居候)」の略 ) 食客。
- [初出の実例]「馴染の大夫の所へ往て、まづ食客(サフラフ)とはなりにけり」(出典:滑稽本・古今百馬鹿(1814)下)
そえそへ【候】
- 動詞「そう(候)」の命令形「そうえ」の変化したもの。敬意は低い。
- [初出の実例]「いかほど成共おせめそへ」(出典:虎寛本狂言・朝比奈(室町末‐近世初))
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例
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「候」の読み・字形・画数・意味
出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報
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