弟・乙(読み)おと

精選版 日本国語大辞典 「弟・乙」の意味・読み・例文・類語

おと【弟・乙】

[1] 年下の者を表わす。
① きょうだいの関係にある者で年下の者。父母とも同じである必要はなく、また、男女にかかわらずいう。弟または妹。⇔兄(え)
古事記(712)上「唯其の弟(おと)木花之佐久夜毘売(このはなのさくやびめ)のみを留めて」
長子でない子をいう。特に末子をいうことが多い。おとご。
※幸若・和泉が城(室町末‐近世初)「五人はなむしにて乙はひめにてぞ候ひける」
③ 若い娘の通称。
※虎明本狂言・枕物狂(室町末‐近世初)「『いひや、そのややがむすめに、おとといふてあるは』『扨はそのおとでござるか』」
[2] 〘接頭〙 年若い者の意を表わす。
① 人を表わす語、または人名に付けて、年下の、末の、次の、などの意を表わす。「おと叔父」「おとご(弟子)」
② (人名または人を表わす語の上に付けて) 美しい、または愛する、かわいいの意をそえる。「おとたちばなひめ(弟橘媛)」「おとたなばた(弟棚機)」

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