消え入る(読み)キエイル

デジタル大辞泉 「消え入る」の意味・読み・例文・類語

きえ‐い・る【消え入る】

[動ラ五(四)]
しだいに消えてなくなる。「―・るような声」「夜の闇に―・る人影
悲しさ、恥ずかしさなどのために人心地がなくなる。どうしてよいのか、身をもてあます。
「―・りつつ、えも言ひやらねば」〈・九〇〉
気を失う。
「夜べにはかに―・る人の侍りしにより」〈真木柱
息が絶える。死ぬ。
「年老い、病して、死ぬる刻みになりて、念仏して―・らんとす」〈宇治拾遺・四〉
[類語](4死ぬ亡くなる死する没する果てる眠るめいするたおれる事切れる身罷みまか先立つ旅立つ死去する死亡する死没する物故する絶命する絶息する永眠する瞑目めいもくする逝去せいきょする長逝ちょうせいする永逝えいせいする他界する昇天する往生おうじょうする落命する急逝きゅうせいする急死する頓死とんしする横死する憤死する夭折ようせつする夭逝ようせいする息を引き取る冷たくなるえなくなる世を去る帰らぬ人となる不帰の客となる死出の旅に出る亡き数に入る鬼籍に入る幽明さかいことにする黄泉こうせんの客となる命を落とす人死に物化まかくたばる絶え入るはかなくなる絶え果てる空しくなる仏になる朽ち果てる失命夭死臨終ぽっくりころり突然死即死

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精選版 日本国語大辞典 「消え入る」の意味・読み・例文・類語

きえ‐い・る【消入】

  1. 〘 自動詞 ラ行五(四) 〙
  2. ひとりでに、また、しだいに、消えてなくなる。
    1. [初出の実例]「燈火などのきえいるやうにて果て給ひぬれば」(出典:源氏物語(1001‐14頃)薄雲)
  3. ひどく心に感じて、正気をなくす。人ごこちがなくなる。恥ずかしさに身も世もないようなさまになる。
    1. [初出の実例]「弁のおもとといふに伝へさすれば、消え入りつつ、え言ひもやらねば」(出典:枕草子(10C終)九〇)
    2. 「里へ帰る御名残(なごり)に、昔しを今に一ふしをうたへばきえ入斗(ばかり)」(出典浮世草子・好色一代男(1682)五)
  4. 息が絶えてしまう。気絶する。仮死状態になる。
    1. [初出の実例]「よべ、にはかにきえいる人のはべしにより」(出典:源氏物語(1001‐14頃)真木柱)
  5. ( から転じて ) 死ぬ。
    1. [初出の実例]「つひに七日きえ入り給ひぬ」(出典:落窪物語(10C後)四)

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