打解ける(読み)ウチトケル

デジタル大辞泉 「打解ける」の意味・読み・例文・類語

うち‐と・ける【打(ち)解ける】

[動カ下一][文]うちと・く[カ下二]
警戒心がなくなり、隔てなく親しむ。気を許す。「初対面相手と―・ける」
気楽にくつろぐ。「家庭的な―・けた集まり」
油断する。
「誰とか知らむと、―・け給ひて」〈夕顔
氷などがとける。
うぐひすの涙のつらら―・けて古巣ながらや春を知るらむ」〈新古今・春上〉
[類語]解け合う馴染む親しむファミリアフレンドリーアットホームドメスティック家庭的心安い水いらず親しい近しい気安いむつまじい親密懇意昵懇じっこん懇親別懇ねんご親愛和気藹藹あいあい仲良し気が置けない人なつこい取っ付きやすい懐こい如才ない調子がいいなれなれしい馴染み深いつうつうつうかあ息が合う反りが合う反り馬が合う気が合う肌が合う琴瑟きんしつ相和す打てば響く意気投合心を通わす心が通う胸襟を開く腹を割る心を開く心を許す気を許す肝胆相照らす心を交わす心を以て心に伝う

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精選版 日本国語大辞典 「打解ける」の意味・読み・例文・類語

うち‐と・ける【打解】

  1. 〘 自動詞 カ行下一段活用 〙
    [ 文語形 ]うちと・く 〘 自動詞 カ行下二段活用 〙 ( 「うち」は接頭語 )
  2. 氷などのように固まっていたものが溶ける。
    1. [初出の実例]「そこさむみむすびし氷うちとけていまやゆくらん春のたのみぞ」(出典:順集(983頃))
  3. 周囲への心くばりをゆるめてくつろぐ。緊張がとけて心がゆったりとなる。心が落ち着く。
    1. [初出の実例]「はじめこそ心にくもつくりけれ、今はうちとけて」(出典:伊勢物語(10C前)二三)
    2. 「さぶらふ人々もうちとけにくく」(出典:増鏡(1368‐76頃)五)
  4. 人(主に異性)との交際で、心隔てがなくなる。気詰まりなくつき合う。なれ親しむ。
    1. [初出の実例]「うちとけておもはぬなかはよとともに人めづつみに久しかりけれ」(出典:桂宮甲本元輔集(990頃))
    2. 「二人を一層打釈けることの出来ないものにして了(しま)った」(出典:黴(1911)〈徳田秋声〉七六)
  5. 油断する。警戒心がなくなる。
    1. [初出の実例]「うちとくまじきもの えせもの」(出典:枕草子(10C終)三〇五)

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