(読み)ツエ

デジタル大辞泉 「杖」の意味・読み・例文・類語

つえ〔つゑ〕【×杖】

歩行の助けとして手に持つ竹や木などの棒。「をつく」
頼りとするもの。「長兄をと頼む」
古代、杖罪じょうざいの罪人を打つ刑具。長さ約1メートルの竹。
古代の長さの単位。後世の約1丈(約3メートル)に近い。
中世の田積の単位。1段の5分の1、すなわち72歩。じょう。
[下接語]あかざの杖はとの杖(づえ)息杖鹿かせかゆ金剛杖探り杖仕込み杖尺杖撞木しゅもくそばつら人杖ほうほお松葉杖ゆん
[類語]ステッキ松葉杖つっかい棒ストックピッケル

じょう【杖】[漢字項目]

人名用漢字] [音]ジョウ(ヂャウ)(呉) [訓]つえ
つえ。「戒杖鳩杖きゅうじょう錫杖しゃくじょう
棒で打つ。「杖刑
[名のり]き・もち
[難読]虎杖いたどり毬杖ぎっちょう

じょう〔ヂヤウ〕【×杖】

律の五刑の一。つえで罪人を打つ刑。その数60回から100回まで10回刻みの5等級に分かれ、より重く、より軽い。杖刑。杖罪。
中世、田地の面積の単位。1杖は1たんの5分の1で72歩。丈。

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精選版 日本国語大辞典 「杖」の意味・読み・例文・類語

つえつゑ【杖・&JISED7C;・丈】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 竹や木などで作り、手に持ち地面について、歩行のたすけとする棒。じょう。
    1. [初出の実例]「爾に其の御杖(つゑ)を、新羅の国主の門に衝き立てて」(出典:古事記(712)中)
    2. 「笻(ツエ)に小話(ささやき)、笠にわらひ」(出典:浮世草子・近代艷隠者(1686)二)
  3. たよりとするもの。補佐するもの。
    1. [初出の実例]「天皇倭姫命を以て御杖(みツヘ)と為て」(出典:日本書紀(720)垂仁二五年三月(熱田本訓))
    2. 「老の杖(ツヱ)となるのは周三ぐらゐの事は隠居も心得てゐる」(出典:二人女房(1891‐92)〈尾崎紅葉〉下)
  4. 杖罪(じょうざい)の者を打つ刑具で、長さ一メートルぐらいの竹の節目をけずりとったもの。
    1. [初出の実例]「凡杖皆削去節目。長三尺五寸」(出典:令義解(718)獄)
    2. 「一文の餠喰ひ迯に杖二百」(出典:俳諧・広原海(1703))
  5. 小正月の粥(かゆ)を煮る時、かきまわす棒。粥杖(かゆづえ)。粥の木。
    1. [初出の実例]「御所にはつえを御ふところに入てもちてわたらせおはしまし」(出典:弁内侍日記(1278頃)建長三年正月一二日)
  6. (なし)の実のほぞ。
    1. [初出の実例]「梨の杖とは、ほそなり梨をむくに、頭の方よりむきて杖をのこす法也」(出典:慶長見聞集(1614)六)
  7. 長さや面積を表わす単位。
    1. (イ) 古代の長さの単位で後世の一丈(約三メートル)に近い長さ。
      1. [初出の実例]「日本武尊(やまとたけ)と曰(まう)す〈略〉壮(おとこさかり)に及んで容貌(みかを)魁偉(すぐ)れたまえり身長(みのたかさ)一丈(ひとツエ)」(出典:日本書紀(720)景行二年三月(北野本訓))
    2. (ロ) 弓一張(ひとはり)の長さ。弓杖の長さで七尺五寸(約二・三メートル)のこと。
      1. [初出の実例]「あづちの有るには、堋より幾杖と打て、弓立の遠さをも定むるなり」(出典:家中竹馬記(1511))
    3. (ハ) 中世、田積の単位で普通一段の五分の一(七二歩)をいう。各地で用いられた単位であるが、特に九州地方全域で用いられた。また、伊勢国などの地方では一段の六分の一(六〇歩)の地積をあらわすこともある。じょう。
      1. [初出の実例]「為兵馬所本司注出、令責郭内寺領田内勘益田一段三丈官物愁状」(出典:内閣文庫所蔵観世音寺文書‐延久四年(1072)五月二八日・観世音寺三綱解案)

じょうヂャウ【杖】

  1. 〘 名詞 〙
  2. つえ。
    1. [初出の実例]「杖新裁、符旧撼桃花」(出典:菅家文草(900頃)二・賦得春深道士家)
  3. 律で五刑の一つ。杖で罪人をうつ刑罰。杖刑。杖罪。
    1. [初出の実例]「杖罪五〈杖六十贖銅六斤 杖七十贖銅七斤 杖八十贖銅八斤 杖九十贖銅九斤 杖一百贖銅十斤〉」(出典:律(718)五罪)
  4. 杖術の武器として用いる長さ約一・三メートルの樫の棒のこと。
  5. 中世、田地の面積の単位で、普通、一段の五分の一(七二歩)をいう。つえ。
    1. [初出の実例]「在下粟野村内字桑原垣二段壱杖中内彌陀寺敷地」(出典:遠江国御神領記‐弘安七年(1284)四月一二日・定永財沽却渡畠地立券文事)

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改訂新版 世界大百科事典 「杖」の意味・わかりやすい解説

杖 (つえ)

荷重を支え,歩行補助の目的で使用される歩行用具。登山などを含め,いろいろな場合に用いられる。まず筋力低下や脳卒中などの麻痺による歩行障害や,そうした際の歩行訓練で用いられるリハビリテーション用の杖について述べると,1本を一側に使用することも,2本を用いて両側上肢で支えることもある。杖には種々のものがあり,松葉杖,ロフストランド杖,カナダ杖,T杖がよく使われる。杖は効率よく,しかも安全に歩行するために正しい長さに調節して用いる必要がある。松葉杖の計測として,仰臥位におけるときは腋窩(えきか)部(腕のつけ根から4横指ほど離れた部位)から足底までの距離に5cmを加える。立位における測定方法は,腋窩から足部の前方15cm,側方15cmの距離を松葉杖の長さとする。握りの高さは,肘関節30度屈曲位としたときの手関節の位置におく。ただしこれらは年齢,体幹の筋力,歩行の種類によって変更する。ロフストランド杖は外見が松葉杖より良く,軽量であるが,肩あてがないため,ときには杖を離して体幹のバランスを保つことが必要となる。T杖は最も簡単な構造であるが,上端がほぼ大転子の高さにくるようにし,健側上肢に用いるのが原則である。
執筆者:

神功(じんぐう)皇后が新羅(しらぎ)の国主の門に杖をつきたてたと《古事記》にあるのは,杖が占有権を表示するものであったことを示している。このため杖は境界を限る牓示(ぼうじ)としての役割を果たし,とくに俗界と聖界の境を示す場合,忌杖(いみづえ)と呼ばれている。また杖立(つえたて),杖突(つえつき)などの地名にまつわる伝説もこれと関連することが多い。杖に占有権が認められたのは,杖を依代(よりしろ)として神が降臨してくると考えられていたからである。神楽の採物(とりもの)の一つに杖がある(〈神楽歌〉)のも,また垂仁天皇のとき,倭姫(やまとひめ)命を〈御杖(みつえ)〉として天照大神にたてまつった(《日本書紀》)とか,〈御杖代(みつえしろ)〉とした(《皇太神宮儀式帳》)とされるのも,杖にまつわるこの信仰にもとづくものである。稲荷山(いなりやま)古墳出土の鉄剣の銘文にみえる〈杖刀人首〉の〈杖〉もこうした信仰と無関係ではなかった。小正月の夜の粥杖(かゆづえ)は《枕草子》で知られているが,これも同様の信仰によるものであり,また辻で杖の倒れた方向で占う杖占(つえうら)も同じ心意によるものである。六波羅蜜寺の空也(くうや)像にみられるように,民衆と接し各地を遊行することの多い聖(ひじり)たちは〈わさづの〉という鹿の角の杖をもち,その杖は〈かせづえ〉とも呼ばれた。宗教家の手にする杖は霊力をもち,その杖により清水が湧いたという弘法清水(こうぼうしみず)の伝説や,その杖が成長して樹となったとする伝説は各地に多い。杖が成長したという樹の種類には,杉,銀杏(いちよう),竹,桜,梅,椿,柳,檜(ひのき),松,樟(くすのき),欅(けやき),桂などがある。
執筆者:

実用的な機能とは別に,杖には象徴としての役割がしばしば付せられる。普遍的ともいえるのは社会的地位の象徴としての杖である。老人のもつ実用的な杖も,一面では老人という社会的地位を示す役割を担っている。ヨーロッパでは,貴族や軍隊の指揮官が長短の杖を手にすることがある。ペルーのアンデス山地のケチュア族では,高位の村役につく者がバラという杖をもつ。古代エジプトにも王笏(おうしやく)があった。ミクロネシアでは〈夜ばい棒〉といわれる棒を男がもつが,これも本来は男の素性や地位を示す杖である。仏僧や修験者の錫(しやく),中国の仙人やヨーロッパの魔法使いの杖もやはり社会的地位または職能の象徴である。社会的地位の象徴としての杖も,もともとは超自然的力をもつと信じられた杖の神秘力に由来すると考えられる。古代エジプトの神々には独特の形をした杖をもつ例が多く,アンデス文明では,少なくとも2500年間にわたって杖をもつ神が造形表現の代表的モティーフとなっている。インカ帝国始祖伝説には,初代の王が黄金の杖を投げて,都とする土地を探した話がある。このような杖の神秘的力は,天地を貫く世界軸という思想に由来するのであろう。樹木は世界軸の象徴であり(世界樹),その木から作る杖が,世界軸を伝わって地上に及ぶ超自然的力を備えているとして信仰されるのである。東アフリカテソ族の女性がもつエサシ棒は,妊娠させる力がひそむと信じられ,コロンビア西部のチョコー族のシャーマンは神像を彫った短い杖を儀礼時に用いる。スマトラバタク族は何世代にもわたる祖先を浮彫した長い杖に,祖霊の力を認める。杖の神秘力は,大地に直立する棒状の槍,矛,剣に託される場合もある。《古事記》における天沼矛(あまのぬほこ),東アフリカの槍,ユーラシア神剣などの象徴性は,杖の象徴性と同一の思想的基盤に立つものである。

執筆者:

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普及版 字通 「杖」の読み・字形・画数・意味


人名用漢字 7画

[字音] ジョウ(ヂャウ)
[字訓] つえ・むちうつ

[説文解字]

[字形] 形声
声符は(丈)(じよう)。は杖をもつ形で杖の初。〔説文〕六上に「持つなり」とあり、杖を持つ意。漢・魏以後、賜杖免朝は臣下に賜う最高の礼遇とされ、国老には特に霊寿杖などを賜うた。刑罰には笞刑(ちけい)に杖を用い、また杖刑・徒刑(ずけい)という。喪礼にも杖を用いるので、喪期を杖期という。

[訓義]
1. つえ、つえつく。
2. むち、むちうつ、しもと、たたく。
3. よる、たよる、もつ。

[古辞書の訓]
和名抄〕杖 惠(つゑ)/首杖 語抄に云ふ、加世惠(かせつゑ)、一に云ふ、鹿杖/鐵杖 加奈惠(かなづゑ)〔名義抄〕杖 ツヱ・ツク・ヨル・モツ 〔立〕杖 タツ・ツク・モツ・ハナサヲ・ツヱ・ウツ

[語系]
杖・・仗diangは同声。挺・梃dyengは声近く、またdeangも杖。みな声義が近い。

[熟語]
杖下・杖家・杖械・杖気・杖期・杖義・杖・杖刑・杖撃・杖国・杖梏・杖策・杖殺・杖者・杖信・杖・杖責・杖端・杖頭・杖罰・杖扶・杖銘・杖履
[下接語]
倚杖・曳杖・加杖・荷杖・戒杖・几杖・鳩杖・曲杖・吟杖・撃杖・策杖・錫杖・扶杖・負杖・鞭杖・履杖・

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「杖」の意味・わかりやすい解説


つえ

歩行のための補助道具。普通は木や竹でつくった細長い棒で、老人をはじめ、身体障害者、旅行者、登山者、行商人などの長い歩行や重い荷物の運搬に用いられる。材料には竹、籐(とう)などの軽いものから、桑、シュロチクアカザ、また用途によって堅木(かたぎ)、鉄なども使用される。

 杖は古くは神の依代(よりしろ)としての性格をもっていたが、やがて神の持ち物とされ、下っては権力者の権威の象徴や護身用としても利用されるようになった。しかし、杖は古代からもっぱら老人の道具として用いられてきたもので、とくに杖の頭部にハトの彫り物のある鳩杖(はとのつえ)は、奈良時代以後、70歳以上の高位者に朝廷から下賜され、これは宮中杖(じょう)の名で第二次世界大戦前まで行われていた。また鹿杖(かせづえ)は杖の頭部が二またになったもので、撞木杖(しゅもくづえ)ともよばれ、とくに盲官がこれを持つことを許された。これに対して、僧侶(そうりょ)の持った杖は錫杖(しゃくじょう)で、これは頭部を塔婆(とうば)にかたどり、数個の鐶(かなわ)をかけ、地を突くたびに鳴るので、声杖(せいじょう)ともいわれた。金剛杖(こんごうづえ)は修験者(しゅげんじゃ)の携行するもので、八角または四角の白木の杖である。また朝廷では、正月の卯(う)の日に悪鬼を払う卯杖(うづえ)を、大舎人(おおとねり)寮・諸衛府(えふ)などから、天皇、中宮、東宮に献上することが行われた。これは中国の風習を採用したもので、梅、桃、ツバキ、柳などの木を長さ五尺三寸(約160センチメートル)に切り、3本ずつ束ねて献上した。さらに正月15日の小正月(こしょうがつ)に行われた粥杖(かゆづえ)は、粥を炊くのに用いた木の燃えさしを削り、これで新嫁や子のない女の腰をたたくと、子供が生まれると信じられ、上下にわたって行われた。

 このほか、杖は、古代から笞(ち)・杖(じょう)など杖罪の者を打つ刑具としても使用され、戦国時代、武将の用いた鉄の杖あるいは六角の杖も、刑具の一種であった。息杖(いきづえ)は駕籠(かご)かきなど重荷を担ぐ者が持つ杖で、休息するとき、その担う物を支えるのに用いた。近世に入ると、桑の木の杖をつくと養生によいといわれ、桑杖(くわづえ)が流行した。杖はしだいに実用性を離れ、一種のアクセサリーとなり、元禄(げんろく)(1688~1704)のころには、細身の竹杖が余情杖(よじょうづえ)、化粧杖(けしょうづえ)などとよばれ、洒落(しゃれ)者や遊里通いの若者に愛用された。やがて明治維新になり、廃刀令が出ると、刀にかわって杖を持つ風を生じ、杖の中に刀を仕込んだ仕込杖が壮士などに盛んに用いられた。洋風のステッキstickが流行するようになったのは1887年(明治20)前後のことで、ほかに身体障害者のための松葉杖や盲人用の白い杖などもある。

[宮本瑞夫]

伝説

一方、杖に関する伝承もいろいろある。弘法大師(こうぼうだいし)など高僧・英雄の立てた杖が成長して大樹になるという杖立(つえたて)伝説は、杖銀杏(いちょう)、杖梅、杖桜、杖竹、杖杉など全国にその例が多い。これは、地に杖をつくと清水(しみず)がわいたという湧水(わきみず)伝説を伴うこともある。また旅人が杖を捧(ささ)げて行旅の安全を祈るといわれる杖地蔵や、地獄の獄卒が鉄杖で罪人を呵責(かしゃく)するという伝説などさまざまある。

[宮本瑞夫]

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百科事典マイペディア 「杖」の意味・わかりやすい解説

杖【つえ】

木や竹で作った歩行を助けるための棒。日本では古くから用いられ,平安時代,朝廷で長寿者に与えた鳩(はと)杖や,盲官用の鹿(かせ)杖(撞木(しゅもく)杖),山伏の金剛杖,僧の錫杖(しゃくじょう),神官の白杖,駕籠舁(かごかき)の息杖,戦国武士の鉄杖,養生によいとされた桑杖などがある。明治以後は刀の代りに杖を持つようになり,仕込杖や弓杖が現れたが,明治半ばにはステッキが流行した。杖は神の持物,あるいは依代(よりしろ)と考えられ,弘法清水などの杖立(つえたて)伝説が各地にある。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「杖」の意味・わかりやすい解説


じょう

大宝・養老律における五刑の一種。杖刑は『隋書』倭国伝にみえるから,大化以前から存在していたが,それが成文化されたのは大宝律以降である。律令制の杖刑は,長さ3尺5寸 (約 103cm,大宝律では3尺6寸〈約 106cm〉) ,太さ上部4分 (約 1cm強) ,尾部3分 (約 1cm弱) の杖をもって,60から 100にいたる数を囚の臀部に打つものである。明治初年の刑法典『新律綱領』にも正刑の一つとして採用されたが,明治5 (1872) 年それにかわり懲役刑が行われることとなった。 (→ )  

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山川 日本史小辞典 改訂新版 「杖」の解説


じょう

杖罪・杖刑とも。律の五罪の一つ。笞(ち)についで軽いもの。笞と同じく,節を削った杖で体を打つ刑罰。杖60から杖100まで5等がある。杖罪に用いる杖は,笞杖よりも一まわり太く,長さ3尺5寸(約105cm),手もとの直径4分(約12mm),先の直径3分(約9mm)で,これで臀部を打つことになっていた。

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旺文社日本史事典 三訂版 「杖」の解説


じょう

律令刑罰の一つ。➡ 五刑

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世界大百科事典(旧版)内のの言及

【刑具】より

…身体刑の刑具は,刀剣類のほか烙印(らくいん),入墨具など肉体をそこなわしめるものと,鞭や棍棒など打撃によって痛苦を与えるものとに分けられる。中国律の笞(ち),杖(じよう)は後者の例である。自由刑では手錠(手鎖(てじよう)),枷(かせ)が代表的であり,これらは戒具としても使用される。…

【刑罰】より

… 日本近代以後の刑罰を歴史的にみると,そこには,身体刑に代えて自由刑・財産刑を刑罰制度の中心とし,その自由刑をも単純化していくという一般的な刑罰史の流れに沿っている。まず,明治維新直後の1868年(明治1)に制定された仮刑律は,基本的に律令制度にならって,笞,徒(ず),流(る),死の4種類の刑罰を認め,次いで70年に制定された新律綱領も,笞,杖(じよう),徒,流,死の5刑をおいていた。が,73年に制定された改定律例は,明清律のほかにヨーロッパ法をも斟酌(しんしやく)し,従来の5刑制を廃止し,笞,杖,徒,流の4種を改め,すべて懲役とした。…

【杖罪】より

…60より100までの5等がある。杖罪に用いるむちは,常行杖といい,手もとの直径4分(約12mm),先の直径3分(約9mm)で笞罪に用いる笞杖よりも1分ずつ太い。長さは笞杖と同じく3尺5寸(約105cm)で,打ったときに受刑者の皮膚が破れて出血しないように,むちに用いる木の枝の節目を削り取ってある。…

【中国法】より

…さらに法制の背景をなす社会構造も根本から異なっているので,もし律令という名を共通にするという理由で,両者の社会を等質とみなそうとするならば,大きな過誤に陥るおそれがある。律令格式 唐律に定める刑罰に五等あり,これを五刑と称するが古代の肉刑の五等とは異なり,笞・杖・徒・流・死をいう。笞も杖も背を鞭打つ刑であるが,竹または木をもってつくり,笞は細く杖は太い。…

【カドゥケウス】より

…聖なる力を伝える者が携える呪力を持った杖(つえ)。ギリシア語のカリュクスkaryx(〈伝令〉の意)から派生した語と思われ,王権の表象である笏杖(しやくじよう)のように,所持者を守る力がある。…

※「杖」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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