気疎い(読み)ケウトイ

デジタル大辞泉 「気疎い」の意味・読み・例文・類語

け‐うと・い【気疎い】

[形][文]けうと・し[ク]《近世初期からは「きょうとい」とも発音した》
1 見たり聞いたりするのがいとわしい。
「やがて―・い雨の暗くたそがれて行く夕方を」〈三重吉・桑の実〉
2 人けがなく不気味である。また、さびしく恐ろしい。
「電信柱だけが、―・い唸うなりを立てていた」〈有島・カインの末裔〉
3 興ざめである。
「外の方を見ていながら、―・いような返事をした」〈秋声・足迹〉
4 すばらしい。すてきだ。
「―・いは―・いは。いや、こりゃ話せるわいやい」〈伎・韓人漢文〉
5 不思議だ。妙だ。
「世界の経巻、夜の八つ時分には、世界中が唯一軸の御経となる、―・いものぢゃ」〈松翁道話・五〉
[派生]けうとげ[形動]けうとさ[名]
[類語]疎ましい・いとわしい・忌まわしい・おぞましい・嫌い・毛嫌い・大嫌い・食わず嫌い・いけ好かない・虫が好かない・嫌いや・気に食わない・犬も食わぬ・憎い・憎らしい・憎たらしい・憎憎しい・苦苦しい・腹立たしい・いまいましい・苦虫を噛み潰したよう・苦り切る・眉をひそめる・鼻持ちならない・忌む・うとむ・うとんずる・嫌気・忌避・忌み嫌う・煙たがる・きしょい・気色が悪い・気味が悪い・気味悪い・底気味悪い・薄気味悪い・鳥肌が立つ・気持ち悪い・虫唾むしずが走る・反吐へどが出る・きもい・グロい・おどろおどろしい・不気味・不快・不愉快

きょうと・い〔ケうとい〕【▽気▽疎い】

[形][文]けうと・し[ク]「けうとい」に同じ。
「―・イ人」〈日葡〉

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精選版 日本国語大辞典 「気疎い」の意味・読み・例文・類語

きょうと・いケうとい【気疎】

  1. 〘 形容詞口語形活用 〙
    [ 文語形 ]けうと・し 〘 形容詞ク活用 〙 ( 古く「けうとし」と発音された語の近世初期以降変化した形。→けうとい )
  2. ① 人気(ひとけ)がなくてさびしい。気味が悪い。恐ろしい。
    1. [初出の実例]「なれぬほどは鹿狼(しかおほかみ)の声もけうとく」(出典:浮世草子・宗祇諸国物語(1685)四)
    2. 「あな哀れ、わかき御許のかく気疎(ケウト)きあら野にさまよひ給ふよ」(出典:読本・雨月物語(1776)吉備津の釜)
  3. ② 興ざめである。いやである。
    1. [初出の実例]「角落して、きゃうとき鹿の通ひ路」(出典:浮世草子・男色大鑑(1687)二)
  4. ③ 驚いている様子である。あきれている。
    1. [初出の実例]「Qiôtoi(キョウトイ) ウマ〈訳〉驚きやすい馬。Qiôtoi(キョウトイ) ヒト〈訳〉不意の出来事に驚き走り回る人」(出典:日葡辞書(1603‐04))
  5. ④ 不思議である。変だ。腑(ふ)に落ちない。
    1. [初出の実例]「こはけうとき御有さま何とうきよを見かぎりて」(出典:浄瑠璃・葵上(1681‐90頃か)三)
  6. ⑤ (顔つきが)当惑している様子である。
    1. [初出の実例]「弁慶けうときかほつきにて」(出典:浄瑠璃・大原御幸(1681‐84頃)二)
  7. ⑥ ( 多く連用形を用い、下の形容詞または形容動詞につづく ) 程度が普通以上である。はなはだしい。
    1. [初出の実例]「気疎(ケウト)く見事なる品もおほかりける」(出典:浮世草子・好色産毛(1695頃)一)
  8. ⑦ 結構である。すばらしい。立派だ。
    1. [初出の実例]「是は又けふとい事じゃは。そふお行儀な所を見ては」(出典:浄瑠璃・伽羅先代萩(1785)六)

気疎いの派生語

きょうと‐が・る
  1. 〘 自動詞 ラ行四段活用 〙

気疎いの派生語

きょうと‐げ
  1. 〘 形容動詞ナリ活用 〙

気疎いの派生語

きょうと‐さ
  1. 〘 名詞 〙

け‐うと・い【気疎】

  1. 〘 形容詞口語形活用 〙
    [ 文語形 ]けうと・し 〘 形容詞ク活用 〙 ( 近世初期頃から多く「きょうとい」と発音された。→きょうとい )
  2. ① 気にいらず、それから離れたい感じである。また、気持が離れてしまっている。いとわしい。うとうとしい。
    1. [初出の実例]「このさるまじき御中のたがひにたれば、ここをもけうとくおぼすにやあらん」(出典:蜻蛉日記(974頃)中)
  3. ② 人気(ひとけ)がなくてさびしい。
    1. [初出の実例]「けうとくもなりにける所かな。さりとも、鬼なども、我をば見許してん」(出典:源氏物語(1001‐14頃)夕顔)
  4. ③ 気味が悪い。興ざめな様子である。
    1. [初出の実例]「かほ、をかしげながら、ね入るたびに、すこしけうとく見ゆ」(出典:宇治拾遺物語(1221頃)六)

気疎いの補助注記

近世以後の用例は「きょうとい」の項に掲げた。

気疎いの派生語

けうと‐げ
  1. 〘 形容動詞ナリ活用 〙

気疎いの派生語

けうと‐さ
  1. 〘 名詞 〙

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