デジタル大辞泉 「生憎」の意味・読み・例文・類語
あい‐にく【▽生憎】
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[類語]はしなくも・ゆくりなく・折あしく・折もあろうに・はしなく・思わず・思わず知らず・うっかり・知らず知らず・無意識・ひょっと・覚えず・我知らず・何気無し・つい・ついつい・我にもなく・うかうか・うかと・不覚・不用意・不意・ふと・ひょっと・思いがけず・図らずも・図らず
( 1 )感動詞「あや」と形容詞「にくし」の語幹から成るとするのが通説であるが、副詞「あやに」との関係を考えるべきだとする説もある。
( 2 )「新撰字鏡」に「憎也」とあるように、「にく」が「にくし(憎し)」に通ずるという理解は平安時代にあるが、「生憎」の表記は「盧照鄰‐長安古意詩」に見られるから漢籍にもとづくものか。
( 3 )「観智院本名義抄」では「咄」(意外な事態に驚いて発する声)の字が当てられているところから、一語の感動詞のように用いられ、やがて形容動詞に進んだとも見られる。
( 4 )近世末から明治にかけ「あいにく」が併用されるようになり、大正以後は「あいにく」が一般化する。
( 1 )「あやにく」の音変化した語であろうが、副詞「あやに」が語の根幹であるとする説もある。近代には副詞の用法が多い。
( 2 )[ 一 ]に挙げたように、古く抄物にも使われており、ヘボンの「和英語林集成(初版)」には口語の旨の注記があり、話しことばで多用している例の多いことなどから、口頭語として伝えられてきたと考えられる。→「あやにく(生憎)」の語誌
字通「生」の項目を見る。
出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報