(読み)つるぎ

日本大百科全書(ニッポニカ)「剣」の解説


つるぎ

けん」とも読み、左右相似形の両刃(もろは)の刀剣様式をいう。ただし高麗(こま)剣とか名剣などということばは、かならずしも左右相似形の剣を意味しない。また飾剣(かざたち)のように剣の文字を「たち」と読ませているものもある。わが国では武器としての剣は発達せず、片刃の太(たち)が主流である。また剣で長寸のものはごくまれで、剣の多くは仏教とくに密教で法具として用いられた三鈷柄(さんこづか)などのついたものである。寸法は短刀と同じく7~8寸(22~25センチメートル)のものが多く、鍛法は柾目鍛(まさめきた)え、直刃沸(すぐはにえ)づいた刃文となるものが多い。また室町時代には左右相似形をなさない変形両刃の短刀があるが、これは「両刃造(もろはづくり)短刀」と呼び習わしていて剣とはいわない。剣太刀ということばも刀剣と同義で両刃の剣のことではない。

[小笠原信夫]


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精選版 日本国語大辞典「剣」の解説

けん【剣】

〘名〙
① もともとは諸刃(もろは)刺突用武器をいうが、広く両刃・片刃の区別なく大刀をいうことが多い。つるぎ。〔十巻本和名抄(934頃)〕
平家(13C前)一一「これはむかし、高間の原にてわがおとしたりし剣(ケン)〈高良本ルビ〉なりとぞのたまひける」 〔史記‐樊噲伝〕
② 剣を使う技(わざ)剣道剣術。撃剣。〔荘子‐説剣〕
小銃の先につける槍の穂のような武器。銃剣
※和英語林集成(再版)(1872)「テッポウノ ken(ケン)
ハチなどの尻にある刺
キリギリスウマオイクツワムシなどバッタ(直翅)目の昆虫腹部にある剣状の形をした産卵管
⑥ 紋所の名。剣をかたどったもの。三つ剣、六つ剣、三叉剣(みつまたけん)などの種類がある。

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デジタル大辞泉「剣」の解説

けん【剣〔劍〕】[漢字項目]

常用漢字] [音]ケン(呉)(漢) [訓]つるぎ
〈ケン〉
両刃の刀。つるぎ。「剣術剣舞懐剣撃剣銃剣真剣短剣刀剣木剣名剣利剣
剣を用いる武術。「剣客剣士剣道
〈つるぎ〉「剣羽剣太刀
[補説]「劒」「劔」は異体字。
[名のり]あきら・つとむ・はや
[難読]剣呑(けんのん)剣橋(ケンブリッジ)

けん【剣】

両刃(もろは)の刀。また、広く両刃・片刃の区別なく大刀(だいとう)をいう。つるぎ。太刀(たち)。
小銃の先につける短い刀。銃剣。
剣を使う術。剣術。「を学ぶ」
ハチやサソリにある針。また、昆虫の雌の産卵管。
紋所の名。剣をかたどったもの。三つ剣・六つ剣など。

つるぎ[列車]

北陸新幹線で運行されている特別急行列車愛称。平成27年(2015)運行開始。富山・新高岡金沢の3駅を往復する。

つるぎ【剣】

上代は「つるき」とも》諸刃(もろは)の刀。また、刀剣総称。けん。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典「剣」の解説


つるぎ

刀剣のうち両刃の刀をいう。敵を刺突,あるいは斬るのに用いる。古代には東西を通じて使われ,ヨーロッパではスウォードという。日本では古墳時代前期の出土品にみられるだけで,奈良時代に剣と呼ばれた高麗 (こま) 剣は片刃である。平安時代以降,剣は主として密教法具として用いられた。


けん

」のページをご覧ください。

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世界大百科事典内のの言及

【青銅器】より


【ヨーロッパ,オリエント】
 東アジアの青銅器が祭祀具として発達したのにひきかえ,ヨーロッパや西アジアの青銅器は実用品が多い。銅や青銅などの初期の金属は,石にかわって斧,手斧(ちような),剣,短刀などの利器の素材として利用されたところから,銅器時代や青銅器時代を設定する根拠となった。青銅器時代の開始を,一般には前3000年前後に設定しているが,厳密にはこの年代の青銅器は知られていない。…

【刀剣】より

…刀は切るに便利な片刃の武器であり,剣は突くに便利な両刃の武器である。日本でも《和名抄》調度部征戦具に,刀は〈似剣而一刃曰刀〉,剣は〈似刀而両刃曰剣〉とあるように,片刃のものを刀,両刃のものを剣として,形体を区別するものであった。…

【日本刀】より

…日本固有の方法で製作された刀剣。日本刀という呼名は,日本画などと同様比較的新しく,ほぼ幕末以降のことである(中国での古い使用例としては宋代の欧陽修に《日本刀歌》の詩がある)。…

【尸解】より

…晋の葛洪(かつこう)の《抱朴子》では,現世の肉体のまま虚空に昇るのを天仙,名山に遊ぶのを地仙,いったん死んだ後,蟬が殻から脱け出すようにして仙人になるのが尸解仙であるとし,尸解仙を下位に置く。だが梁の陶弘景が完成した茅山派道教では,この尸解を登仙の方法として重視し,剣を身体の代りに現世に残して仙人となる剣解法を重んじた。段成式の《酉陽雑俎(ゆうようざつそ)》でも,宝剣を用いた尸解が尊ばれ,唐代における剣解の説の流行を示している。…

【大刀】より

…小氏の氏上には小刀(かたな)を賜う〉とあるのは,その例である。しかし,一方では大刀と書いて〈つるぎ〉と読むこともあって,記紀では大刀と剣との形の区別は厳密でない。また,古墳時代から奈良時代までの,主として直刀に属するものを〈大刀〉と書き,平安時代以降の外反り(そとぞり)刀を〈太刀〉の文字であらわすのが習慣であるが,考古学用語としては,古墳時代の内反りの素環頭(そかんとう)大刀も,便宜上〈大刀〉と書いている。…

【刀剣】より

…刀は切るに便利な片刃の武器であり,剣は突くに便利な両刃の武器である。日本でも《和名抄》調度部征戦具に,刀は〈似剣而一刃曰刀〉,剣は〈似刀而両刃曰剣〉とあるように,片刃のものを刀,両刃のものを剣として,形体を区別するものであった。…

【武器】より

…この点は,東アジアの青銅器文化が祭祀用具を中心としていたのと,際だった違いを見せている。オリエントやヨーロッパで,青銅器が最も活発につくられるのは,鉄器時代の初期であるが,このころまでに武器類にも種々の改良が加えられ,剣の主力は短剣から長剣へと変化し,また斧類がめざましい発達をとげている。時代はやや下るが,スキタイ族は三翼鏃を創出した。…

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