(読み)ジュン

デジタル大辞泉 「順」の意味・読み・例文・類語

じゅん【順】[漢字項目]

[音]ジュン(呉) [訓]したがう
学習漢字]4年
相手に付き従う。「順応じゅんのう帰順恭順
人に逆らわない。すなお。「温順柔順従順
筋道に従って進むこと。物事次第。「順位順順順序順番逆順席順打順筆順
障りがない。都合がよい。「順境順調順当不順
[名のり]あや・あり・おさ・おさむ・かず・しげ・す・すなお・とし・なお・のぶ・のり・はじめ・まさ・みちみつ・むね・もと・やす・ゆき・よし・より

じゅん【順】

[名・形動]
ある基準に従った、物事の配列。順序。順番。「を追って話す」
物事の行われる段取りが正当・順当であること。理にかなっていること。また、そのさま。「お年寄りには席を譲るのがだ」⇔
素直でおとなしいこと。また、そのさま。「若者
女人は―を以て道とす」〈十善法語・五〉
[類語]順序順番席順席次序列順位配列着順語順手順道順オーダー

ずん【順】

じゅん」の直音表記
「しか盃の―の来るを」〈紫式部日記

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「順」の意味・読み・例文・類語

じゅん【順】

  1. 〘 名詞 〙
  2. ( 形動 ) 正道に従うこと。理にかなっていること。また、そのさま。順道。⇔
    1. [初出の実例]「夫花の種は地にうづもれて千林の梢にのぼり、月の影は天にかかって万水の底にしづむ。是等はみないづれをか順と見、逆なりといはん」(出典:車屋本謡曲・蝉丸(1430頃))
    2. [その他の文献]〔易経‐予卦〕
  3. ( 形動 ) 動作ややり方などの順序が正しく適当であるさま。また、そのような順序。順当。⇔
    1. [初出の実例]「音曲より働きの生ずるは、じゅん也」(出典:風姿花伝(1400‐02頃)六)
    2. 「訳があるなら、訳を話すが順だ」(出典:坊っちゃん(1906)〈夏目漱石〉五)
    3. [その他の文献]〔春秋左伝‐宣公四年〕
  4. ( 形動 ) おとなしいこと。素直であること。しとやかなこと。また、そのさま。従順。
    1. [初出の実例]「順な心があって、あれが心がなをりたらば、従順もせうぞ」(出典:古活字本毛詩抄(17C前)二)
    2. [その他の文献]〔礼記‐祭義〕
  5. かたわら。あたり。ならび。
    1. [初出の実例]「天井をやぶりあけ、盥を持てあがり、そろそろと座敷の順(ジュン)まで行」(出典:仮名草子・似我蜂物語(1661)上)
  6. あることが、順序を追って次々に行なわれるさま。順番。「に」を伴って副詞的に用いることもある。
    1. [初出の実例]「嫡子こぼしをもて、つらをはたと打に、軈而次の座にゐたる、おとなの頬を、はたと打。是はいかにと云ければ、順の事かと思候てとて、うち咲たりける」(出典:梵舜本沙石集(1283)八)
    2. 「二番三番と段々順に行くのだらう」(出典:滑稽本・七偏人(1857‐63)四)
  7. 論理学で、ある命題に対して、換位、換質、換質換位の操作を加えて、別の命題を作る場合、これらの別の命題に対して、もとの命題をさす。

ずん【順】

  1. 〘 名詞 〙 次第にめぐること。順番。じゅん。
    1. [初出の実例]「しか盃のずんの来るを、大将はおぢ給へど、例のことならひの千とせ万代にて過ぎぬ」(出典:紫式部日記(1010頃か)寛弘五年一一月一日)

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普及版 字通 「順」の読み・字形・画数・意味


常用漢字 12画

[字音] ジュン
[字訓] したがう

[説文解字]
[金文]

[字形] 形声
声符は川(せん)。〔説文〕九上に「理(をさ)むるなり」とあり、字を会意とする。〔段注〕に「川のるるは順の至りなり。故に字は頁(けつ)川に從うて會、而して川聲を取る」と亦声の字と解する。金文の字形は(渉)と頁とに従い、頁は儀礼のときの礼容を示す字であるから、字はおそらく水の儀礼をいうものであろう。金文に「順子」「順」の語があり、字は古くはに従う。水で孝祀するような儀礼があったものと考えられる。

[訓義]
1. したがう、神意にしたがう、神意を拝する。
2. すなお、そう、やわらぐ、うける、おさめる。
3. ただしい、安んずる、よい。
4. 訓に通じ、おしえる。

[古辞書の訓]
名義抄〕順 シタガフ・オホセ・ノブ・ユク・シナフ・トモ 〔字鏡集〕順 トシ・アク・トモ・マサ・ヒロ・アツ・オホセ・ノブ・ムネ・シタガフ・メグラス・シナフ

[語系]
順djiun、(巡)ziunは声義近く、通用の義がある。ただ順は古くは、川渡りの形に従い、その儀礼は水を渉る形式で行われたのであろう。それは・濱(浜)が、水辺の儀礼を示す字であるのと同様である。

[熟語]
順因・順運・順応・順環・順気・順義・順逆・順境・順口・順行・順旨・順辞・順次・順時・順寂・順守・順受・順従・順序・順叙・順承・順頌・順常・順誠・順正・順成・順節・順俗・順調・順弟・順悌・順適・順当・順徳・順比・順附・順風・順服・順変・順奉・順民・順命・順養・順頼・順理・順流・順良・順路
[下接語]
委順・説順・宛順・婉順・温順・帰順・逆順・恭順・敬順・恵順・謙順・孝順・至順・耳順・時順・従順・柔順・承順・信順・随順・巽順・大順・忠順・貞順・佞順・不順・婦順・奉順・幼順・雍順・礼順・和順

出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報

デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「順」の解説

じゅん

1812-1831* 江戸時代後期の女性。
文化9年生まれ。長門(ながと)(山口県)赤間関の名主中野九兵衛の娘。悪疫の流行で父母が死亡し,姉とともに母の実家に引きとられる。母方の宗家の男から妻にともとめられ,婚約者への節義をまもって天保(てんぽう)元年12月10日自害。19歳。

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