憮然(読み)ぶぜん

精選版 日本国語大辞典 「憮然」の意味・読み・例文・類語

ぶ‐ぜん【憮然】

〘形動タリ〙
① 意外な出来事に驚いて茫然とするさま。また、失望したり、どうしようもなかったりしてぼんやりするさま。
※三教指帰(797頃)下「乞児憮然、問曰、何謂忠孝乎」 〔論語‐微子〕
② 不機嫌なさま。不興なさま。
※濁った陽(1960)〈松本清張一一「関は憮然(ブゼン)としてたばこをすった」

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デジタル大辞泉 「憮然」の意味・読み・例文・類語

ぶ‐ぜん【×憮然】

[ト・タル][文][形動タリ]失望・落胆してどうすることもできないでいるさま。また、意外なことに驚きあきれているさま。「憮然としてため息をつく」「憮然たる面持ちで成り行きを見る」
[補説]近年、「憮然たる面持ちで」とした場合、「腹を立てているような顔つき」の意味で使われることが多くなっているが、本来は誤り。
文化庁が発表した「国語に関する世論調査」で、「憮然として立ち去った」を、「失望してぼんやりとしている様子」と「腹を立てている様子」の、どちらの意味だと思うかを尋ねたところ、次のような結果が出た。
 平成15年度調査平成19年度調査平成30年度調査
失望してぼんやりとしている様子
(本来の意味とされる)
16.1パーセント17.1パーセント28.1パーセント
腹を立てている様子
(本来の意味ではない)
69.4パーセント70.8パーセント56.7パーセント

[類語]迷惑おこいか憤る八つ当たりいじけるひねくれるすねるひがむねじけるねじくれるふくれる気色けしきばむむくれるむかつくむかっとむかむかむっとむしゃくしゃむらむらくしゃくしゃ不快不愉快不機嫌不興仏頂面虫の居所が悪い風向きが悪い胸糞が悪い・けった糞が悪い・気を悪くするつむじを曲げるはらわたが煮え返る臍を曲げる・怒り付ける・怒り狂う腹立つ腹が立つ小腹が立つ向かっ腹が立つ・腹を立てる怒り心頭に発するしゃく小癪こしゃくしゃくに障る癇癪かんしゃく冠を曲げる堪忍袋の緒が切れる向かっぱらやけっぱら業腹業を煮やす逆上青筋を立てる憤懣ふんまんわなわな虫唾むしずが走る反吐へどが出る

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普及版 字通 「憮然」の読み・字形・画数・意味

【憮然】ぶぜん

然としてなげくさま。〔論語、微子〕()曰く、滔滔(たうたう)たるは、天下皆是れなり。誰(たれ)か以て之れを易(か)へん~と。~子路行(さ)りて以てぐ。夫子(ふうし)(孔子)憮然として曰く、~鳥獸は與(とも)に群を同じうすべからず。吾(われ)斯の人の徒と與にするに非ずして、誰と與にせん。

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