デジタル大辞泉
「反」の意味・読み・例文・類語
はん【反】
[名]
1 ⇒反定立
2 「反切」の略。
[接頭]名詞に付く。
1 それとは反対の、それに反対するの意を表す。「反体制」「反主流派」
2 それに合致しない、それに背くなどの意を表す。「反道徳」「反社会的」
たん【反/▽段】
1 (「端」とも書く)布類の長さの単位。鯨尺で幅9寸(約34センチ)、長さ2丈6尺から2丈8尺(約10メートル)。だいたい一人分の衣服に要する長さ。
2 土地の面積の単位。1町の10分の1(約10アール)。10畝、また、300歩。もとは360歩。
3 距離の単位。6間(約11メートル)。
4 和船の帆の幅をいう単位。おおよそむしろ1枚の幅で、3尺(約91センチ)。「だん(段)」
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そり【反】
〘名〙 (動詞「そる(反)」の連用形の名詞化)
① そること。曲がりかえること。また、その度合や様子。
※
太平記(14C後)一六「敵太刀を捨て、腰刀を抜んと、一反
(ソ)り反りけるが」
② 刀や長刀などの峰のそっている部分。また、その度合や様子。
※
梅津政景日記‐慶長一七年(1612)一〇月一〇日「かたなのそりをなをし候」
③ 弦
(つる)を張らない
弓幹(ゆみほこ)のそっている部分。また、その度合や
かたち。
※二度本金葉(1124‐25)雑上「あづさ弓さこそはそりの高からめはるほどもなくかへるべしやは〈藤原時房〉」
④ 逆にねじかえすこと。さかねじ。
※
福翁自伝(1899)〈
福沢諭吉〉雑記「塾中自から独立の気風を生じて世間の反
(ソ)りに合はぬことも多い」
※信長記(1622)三「鴨の入頸、みづくるま、そり、捻なげなんどいふ手を、我をとらじと取りしかば」
⑦ 休耕中の焼畑地。五、六年穀物を作った焼畑は以後七、八年から一〇年以上も放置しておいて、
地力の回復を待って焼いて焼畑地とする。そらしばた。
はん‐・する【反】
〘自サ変〙 はん・す 〘自サ変〙
① うらはらになる。反対になる。
※
史記抄(1477)一五「漢は右を尊で
天子は南面するぞ。
匈奴は反するぞ」
② 決められた約束や規則、他の意見などにそむく。もとる。違反する。
※漢書列伝竺桃抄(1458‐60)魏田韓第三「一旦反すれども、又まいりてわび事を申せば
御免あるぞ」
④ かえりみる。反省する。
※清原国賢書写本荘子抄(1530)一〇「百家の学、今より以後、迷て反することを知らず」
⑤ 漢字の音よみを示すのに他の漢字を借りて示す。
和語の母音連続における音韻変化を説明するためにも用いられた。→
反(はん)(一)①。
※
万葉(8C後)一六・三八三九「吾が
背子が
犢鼻(たふさき)にする
円石(つぶれいし)の
吉野の山に氷魚そ懸有
(さがれる) 懸有反云
二佐義礼流
一」
そ・る【反】
〘自ラ五(四)〙
① まっすぐなものがしなって曲がる。
(イ) 人が、
背中を後ろへ曲げる。のけぞる。のけざまになる。特に驚くさまにいうことがある。
※太平記(14C後)一六「腰の刀を抜んと、一反(ひとそ)り反(ソ)りけるが、真倒(まっさかさま)に成て落にけり」
(ロ) 細長いものが弓なりに曲がる。曲がり返る。
※五社百首(1190)「うら山し安達の峰のそりま弓そりはてましを引かへしけむ」
② (後ろへそる
表情からか) 驚いたり、あきれたりする。心が動揺する。
※
歌舞伎・
傾城浅間嶽(1698)中「『女夫ながらそる事ぢゃ、是と』懐より金百両包を取出し」
はん【反】
[1] 〘名〙
① 反切
(はんせつ)の
略称。日本では単に読み方を示すもの、または、「約」とか「略」に近い意味でも用いられた。かえし。
※万葉(8C後)一六・三八一七「かる臼は田廬のもとに吾が背子はにふぶに咲(ゑ)みて立ちませり見ゆ(田廬者多夫世反)」
② (Antithese の訳語) 哲学で、最初の命題を否定して新しく現われた命題をいう。反対命題。
アンチテーゼ。
[2] 〘接頭〙 名詞に付いて、それと逆である、それに対立する、それにそむくなどの意を表わす。「反作用」「反社会的」「反政府」など。
せ・る【反】
〘自ラ四〙 「そる(反)」の上代東国方言。
※万葉(8C後)一四・三四三七「陸奥(みちのく)の安太多良(あだたら)真弓(まゆみ)弾(はじ)き置きて西良(セラ)しめきなば弦(つら)着(は)かめかも」
[補注]「万葉」例は一説に、「競(せ)る」の意ともいう。
そら・す【反】
〘他サ五(四)〙 (「そらす(逸)」と同語源) 後方へ曲げる。そるようにする。
※枕(10C終)二七八「明順の朝臣の心地、空を仰ぎ、胸をそらいたり」
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反
たん
日本固有の土地面積の単位。もとの字は段をあてた。300歩(ぶ)(坪)をいう。約9.9174アールにあたる。この単位は中国にはなく、日本では大化改新(645)以後の制度に現れ、360歩であったが、太閤検地(たいこうけんち)(1591)で300歩となった。ほかに布帛(ふはく)の長さの単位にも反を用いている。
[小泉袈裟勝]
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反【たん】
(1)尺貫法の面積の単位。段とも書く。1反=10畝(せ)=300歩(ぶ)≒991.74m2。701年大宝令で制定,360歩を1反としたが(現行の約354歩),1620年ごろ300歩1反となる。(2)織物の寸法の単位。鯨尺で幅9寸〜1尺,長さ2.6〜3丈。1反でふつう成人の着物1着を作る。
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たん【反】
➀布地の長さの単位。絹布では、鯨尺(くじらじゃく)で長さ2丈8尺~3丈、幅9寸5分~1尺のものを1反とした。和服地1反は成人の着物1着分にあたる。
➁尺貫法の土地の面積の単位。300坪。1町の10分の1。約9.92アール。8世紀初めから使われ、360歩(ぶ)を1反としたが、16世紀末以後は300歩を1反とした。◇「段」とも書く。
➂距離の単位。6間。約11m。
出典 講談社単位名がわかる辞典について 情報