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仏教文学 ぶっきょうぶんがく

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

仏教文学
ぶっきょうぶんがく

仏教の教典はいずれも比喩,説話などによって文学性に富んでいるから,法,律,論の三蔵に属する一切の仏典は仏教文学といえる。日本人の著わした仏教文学としては次のようなものがあげられる。 (1) 仏者の手に成り教理を主とするもので,空海の『三教指帰 (さんごうしいき) 』,源信の『往生要集』や道元の『正法眼蔵 (しょうぼうげんぞう) 』などの法語類。

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世界大百科事典 第2版の解説

ぶっきょうぶんがく【仏教文学】

広義には仏典のすべてを指すが,狭義にはドラマ,比喩,修辞など一般通念としての文学的価値を含んだ仏典に限定して用いられる。それらは用いられた言語よりパーリ語仏教文学とサンスクリット仏教文学とに大別される。 前者の例としては,まず釈迦の生涯の事績を語る仏伝文学があげられる。これは律蔵の〈大品〉や経蔵の《大般涅槃経》などに古いものがみられる。次に,ジャータカ(本生話)は,釈迦が釈迦族の王子としてこの世に生をうける以前,天人,国王,大臣,長者,盗賊,あるいは兎,猿,象,孔雀などの姿で菩薩のすぐれた自己犠牲の行為を行ったことを物語る教訓説話で,その中には多くの民間説話,寓話,伝説がおさめられている。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

仏教文学
ぶっきょうぶんがく

宗教も文学も、ことばによって人間の存在の意味を問うという側面で重なり合う。それゆえ、人間的な想像力を引き出すことばを用いて表現されている仏教経典そのものを仏教文学とみることができる。日本人が接する経典は漢訳のものであるが、それらのなかには、漢語文の表現力に支えられて文学的な感動を誘うものが多い。無限の命の働きをたたえた『法華経(ほけきょう)』や、美的想像力に訴えて浄土の荘厳(しょうごん)を説く『観無量寿経(かんむりょうじゅきょう)』、喜びと光明にあふれる悟りの内景を説く『華厳(けごん)経』、大商人であった維摩詰(ゆいまきつ)と仏弟子との問答によって空(くう)を語り明かす『維摩経』などは、経それ自体を文学とみなすことができ、現に文学全集にも収められている。また、人生の苦悩に促されて遍歴と思索を重ねた仏陀(ぶっだ)の生涯や前生を語った仏伝、たとえば『過去現在因果経』なども伝記文学に数えることができ、篤信者の行業を語る話は仏教説話の名のもとに仏教文学の主流に認められている。
 また、一方では、仏教思想が人間の意識構造と深いかかわりをもち、仏教の信仰習俗が生活様式や年中行事と深いかかわりをもっていた前近代の文学作品には、仏教の直接的、間接的な影響が多々見受けられる。そこから、仏教の影響がみられる一般文学作品をも、仏教の立場から仏教文学とみることが行われている。そうした立場からは、『源氏物語』『平家物語』『方丈記』『徒然草(つれづれぐさ)』『海道記』、謡曲、芭蕉(ばしょう)や近松の作品なども仏教文学として扱われうる。しかし、日本における仏教文学の主流は、仏法によってもたらされた新しい人間観を感動を込めて語った語録や、我執を否定し去ったところに感得しうる仏法の真実を証言する法語にあるとみるべきである。『往生要集』『横川(よかわ)法語』『一枚起請文(いちまいきしょうもん)』『歎異抄(たんにしょう)』『末燈鈔(まっとうしょう)』『正法眼蔵(しょうぼうげんぞう)』、日蓮(にちれん)の書簡(御書(ごしょ))、蓮如(れんにょ)の『御文(おふみ)』などがそれである。また、韻文によって仏や仏者の徳行をたたえ、信仰の喜びを表現した和歌(釈教歌(しゃっきょうか))や歌謡、和讃(わさん)も本格的な仏教文学といえる。『梁塵秘抄(りょうじんひしょう)』の法文歌や『三帖和讃(さんじょうわさん)』が代表的なものである。そのほか、因果応報の理を説く説話や信仰者の往生を語った往生譚(たん)、さらには諸寺の法会(ほうえ)の縁起や諸経・諸仏の霊験(れいげん)譚を集めた仏教説話集が数多くみられ、『日本霊異記(にほんりょういき)』『日本往生極楽記』『今昔物語集』『宝物集(ほうぶつしゅう)』『発心集(ほっしんしゅう)』『閑居友(かんきょのとも)』『撰集抄(せんじゅうしょう)』『沙石集(しゃせきしゅう)』などが代表的な作品である。
 また、中国の宋(そう)代の学芸に通じた渡来僧や留学僧がもたらした禅宗は、幕府や武家の手厚い庇護(ひご)のもとに、官寺を中心とした文筆活動を盛行させ、五山(ござん)文学とよばれる観念性の強い仏教文学の一領域を形成した。このように、法語、説話、歌謡、詩文の形式で仏教思想を表現したものを仏教文学の主流と認めるなら、日本の仏教文学は中世をもって終わったとみてよい。近世に入ると、仏教の信仰習俗や神仏の霊験譚が、作品の素材や趣向として取り入れられることはあっても、仏教思想を支えとした作品はみられなくなった。
 ところが近代になると、キリスト教や西洋哲学の思想が契機となって、知識人の間に、仏教とくに浄土教と禅とが再評価されるようになると、仏教もキリスト教と並んで普遍化され、文学の主題に取り込まれるに至った。性や金銭にまつわる人間の迷いや苦悩、死すべき存在としての人間の運命を仏教の超越思想の立場からとらえた作品が、武田泰淳、丹羽文雄、水上勉などの仏門に縁をもつ作家によってつくられるようになり、人間存在の意味を問う新しい宗教文学として再生した。[伊藤博之]
『紀野一義・三木紀人編『仏教文学の古典』上下(有斐閣新書) ▽梅原猛著『地獄の思想』(中公新書)』

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世界大百科事典内の仏教文学の言及

【インド文学】より


【仏教およびジャイナ教文学】
 仏教とジャイナ教は古代インドの思想文化史上に偉大な足跡を残したが,この両者はともに独自の宗教文学を発達させた。初期の仏教文学はプラークリット語の古形たるパーリ語を用い,根本仏典の三蔵(ティピタカ)の中には文学的価値の高いものがある。仏陀前生の物語として集録された説話集〈ジャータカ〉は,サンスクリット文学における《パンチャタントラ》とともに東西説話文学上重要である。…

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