審判(カフカの小説)(読み)しんぱん(英語表記)Der Prozeß

日本大百科全書(ニッポニカ)「審判(カフカの小説)」の解説

審判(カフカの小説)
しんぱん
Der Prozeß

ドイツ語作家カフカの主要な長編小説。遺稿(未完)が死の翌年の1925年に出版された。高級銀行員ヨーゼフ・Kは、ある朝悪事も働かないのに逮捕される。行動は束縛されないが、不思議で猥雑(わいざつ)な裁判所で審理され、Kは予審判事を罵倒(ばとう)する。叔父が心配して、弁護士を紹介するが、裁判は進まず、Kはしだいに苦境にたち、裁判所の画家ティトレリに救いを求める。この間Kはいろいろな女性とむき出しの性的関連をもつ。終わりごろ聖堂の僧と掟(おきて)について問答を重ね、自分には不可解な罪について考えるが、最後に裁判所の刑吏によって死刑を執行される。平均的な近代市民の実体が目覚めさせられるのが主題である。

[城山良彦]

『『審判』(原田義人訳・新潮文庫/辻瑆訳・岩波文庫)』

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

今日のキーワード

急急如律令

中国漢代の公文書の末尾に、急々に律令のごとくに行え、の意で書き添えた語。のち、呪文(じゅもん)の終わりに添える悪魔ばらいの語として、道家・陰陽師(おんようじ)・祈祷僧(きとうそう)などが用いた。...

続きを読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android