普及版 字通 「幸(漢字)」の読み・字形・画数・意味
幸
常用漢字 8画
[字訓] さいわい
[説文解字]
[甲骨文]
[金文]
[字形] 象形
手械(てかせ)の形。これを手に加えることを執という。〔説文〕十下に「吉にして凶をるるなり」とし、字を(ぎゃく)と夭(よう)とに従い、夭死を免れる意とするが、卜文・金文の字形は手械の象形。これを加えるのは報復刑の意があり、手械に服する人の形を報という。幸の義はおそらく倖、僥倖にして免れる意であろう。のち幸福の意となり、それをねがう意となり、行幸・侍幸・幸愛の意となるが、みな倖字の意であろう。〔説文〕にまた幸部十下があり、「人をかす以なり。大に從ひ、(じん)に從ふ。一に曰く、大聲なり」とし、「一に曰く、讀みて(こ)の(ごと)くす。一に曰く、俗語、盜の止まざるを以て(でふ)と爲す」とあり、(えき)・執・癸(ぎょ)・(ちゅう)・報・(きく)の諸字がその部に属する。は獣屍の解(とかい)する形、他はみな手械に従う字である。幸福の義は倖。〔独断、上〕に「幸は宜幸なり。世俗、幸を謂ひて僥倖と爲す。車駕の至る、民臣其の澤を被り、以て僥倖となす。故に幸と曰ふなり」とみえる。
[訓義]
1. 倖と通じ、さいわい。
2. こいねがう。
3. めぐむ、したしむ。
4. みゆき、いでまし。
[古辞書の訓]
〔名義抄〕幸 サイハヒ・タカシ・ノゾム 〔字鏡集〕幸 ヨシ・タカシ・コノム・ヨロコビ・アフ・サイハヒ・ネガフ
[部首]
夭の字は夭部に従う。幸部には・執・圉・・報・の六字を属するが、執以下の字は手械の象に従う。
[声系]
〔説文〕に幸声として・を収め、倖・を収めない。は很(もと)る、にも直の意があり、は怒るさま。夭の字と声系が異なるようである。
[熟語]
幸愛▶・幸運▶・幸宴▶・幸会▶・幸姫▶・幸覬▶・幸御▶・幸▶・幸教▶・幸近▶・幸偶▶・幸好▶・幸楽▶・幸察▶・幸私▶・幸昵▶・幸酒▶・幸処▶・幸賞▶・幸辱▶・幸心▶・幸臣▶・幸甚▶・幸人▶・幸生▶・幸多▶・幸得▶・幸佞▶・幸媚▶・幸便▶・幸福▶・幸民▶・幸免▶・幸▶・幸有▶・幸臨▶
[下接語]
愛幸・栄幸・恩幸・駕幸・還幸・喜幸・貴幸・冀幸・覬幸・御幸・行幸・僥幸・徼幸・近幸・欣幸・慶幸・巧幸・至幸・私幸・射幸・巡幸・神幸・進幸・親幸・潜幸・遷幸・尊幸・多幸・佞幸・薄幸・不幸・嬖幸・遊幸・臨幸
出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報