(読み)アン

デジタル大辞泉 「暗」の意味・読み・例文・類語

あん【暗】[漢字項目]

[音]アン(漢) [訓]くらい ひそかに そらんずる
学習漢字]3年
くらい。やみ。「暗黒暗室明暗幽暗
黒っぽい。「暗紅色
道理がわからない。「暗愚暗君
はっきり外に見えない。人知れず。「暗号暗殺暗示
(「あん」と通用)もとのものを見なくてもよいように覚える。「暗記暗算暗唱暗譜

くれ【暗】

暗いこと。また、暗く陰になっているところ。
「天の原富士の柴山木の―の時ゆつりなば逢はずかもあらむ」〈・三三五五〉
秩序が乱れていること。
「京中おびただしき―にてぞ有りし」〈五代帝王物語

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精選版 日本国語大辞典 「暗」の意味・読み・例文・類語

あん【暗・闇】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 暗いこと。暗い所。くらがり。やみ。夜。また、表に現われない所。
    1. [初出の実例]「また、日天子のよくもろもろの闇(アン)(〈注〉ヤミ)をのぞくがごとく、この経も、またまた、かくのごとし」(出典:妙一本仮名書き法華経(鎌倉中)七)
    2. 「あのメーデーのすばらしさは、こういった暗をもふくみながらなお明であるところにある」(出典:中野重治論‐晴れた時間(1946)〈荒正人〉)
    3. [その他の文献]〔符子〕
  3. 仏語。煩悩のたとえ。〔大宝積経‐二一〕
  4. 記憶。暗記。
    1. [初出の実例]「彼焼香事於此方其記録。暗亦不子細也」(出典:蔭凉軒日録‐文明一九年(1487)八月三日)

くれ【暗】

  1. 〘 名詞 〙 ( 動詞「くれる(暗)」の連用形の名詞化 )
  2. 物の陰になっていて暗いこと。暗い所。
    1. [初出の実例]「天の原富士の柴山木(こ)久礼(クレ)の時移りなば逢はずかもあらむ」(出典:万葉集(8C後)一四・三三五五)
  3. 混乱していること。乱れていること。
    1. [初出の実例]「京中夥(おびたた)しきくれにてぞ有りし」(出典:五代帝王物語(1302‐27頃)亀山)

暗の補助注記

「に」と結合して副詞となり、精神的に暗いさまを表わす。→くれに


くらき【暗】

  1. 〘 名詞 〙 ( 形容詞「くらし」の連体形から ) 仏法上の真理を悟ることなく、煩悩(ぼんのう)に悩まされ迷うこと。無明(むみょう)の闇(やみ)
    1. [初出の実例]「仏もましまさず、ひじりもいまさざるあひだに、くらきよりくらきに入て、心のまどひさかりにふかく」(出典:観智院本三宝絵(984)下)

くら【暗】

  1. ( 形容詞「くらい」の語幹 ) くらいこと。また、そのさま。感動表現に用いられる。
    1. [初出の実例]「いとをかしげなりと見る程に、火消えぬ。〈略〉『あなくらのわざや』」(出典:落窪物語(10C後)一)

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普及版 字通 「暗」の読み・字形・画数・意味


常用漢字 13画

(旧字)
13画

[字音] アン
[字訓] くらい・おろか

[説文解字]

[字形] 形声
声符は(音)(おん)。は、形がみえず、音のみ聞こえる意。は、日の光がなく、冥暗の意。闇と声義が同じ。〔説文〕七上に「日に光無きなり」とみえる。

[訓義]
1. くらい、やみ、よる、ふかぶかとしている。
2. おろか、暗愚。
3. と通用し、暗誦する、そらんじる。

[古辞書の訓]
名義抄 クラシ・ヤミ・ソラ・ムナシ・ホノカナリ/闇 ヨル

[語系]
m、am、em、陰im、隱(隠)inは声義近く、みな、ほのかで明らかでない意がある。

[熟語]
暗曖・暗暗・暗雨暗雲暗監・暗記暗鬼暗窺暗渠・暗虚・暗愚・暗君・暗香・暗合・暗黒・暗恨・暗算・暗室・暗誦・暗唱暗礁・暗水・暗数暗然暗澹暗中・暗灯・暗夫・暗風暗昧暗冥・暗黙・暗夜・暗約暗喩・暗流・暗涙
[下接語]
陰暗・花暗・江暗・黒暗・昏暗・至暗・夕暗・天暗・閉暗・明暗・迷暗・暗・幽暗・庸暗・葉暗・柳暗

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