精選版 日本国語大辞典 「杖・筇・丈」の意味・読み・例文・類語
つえ つゑ【杖・筇・丈】
〘名〙
① 竹や木などで作り、手に持ち地面について、歩行のたすけとする棒。じょう。
※浮世草子・近代艷隠者(1686)二「笻(ツエ)に小話(ささやき)、笠にわらひ」
② たよりとするもの。補佐するもの。
※書紀(720)垂仁二五年三月(熱田本訓)「天皇倭姫命を以て御杖(みツヘ)と為て」
※二人女房(1891‐92)〈尾崎紅葉〉下「老の杖(ツヱ)となるのは周三ぐらゐの事は隠居も心得てゐる」
③ 杖罪(じょうざい)の者を打つ刑具で、長さ一メートルぐらいの竹の節目をけずりとったもの。
※令義解(718)獄「凡杖皆削二去節目一。長三尺五寸」
※俳諧・広原海(1703)「一文の餠喰ひ迯に杖二百」
④ 小正月の粥(かゆ)を煮る時、かきまわす棒。粥杖(かゆづえ)。粥の木。
※弁内侍(1278頃)建長三年正月一二日「御所にはつえを御ふところに入てもちてわたらせおはしまし」
⑤ 梨(なし)の実のほぞ。
※慶長見聞集(1614)六「梨の杖とは、ほそなり梨をむくに、頭の方よりむきて杖をのこす法也」
⑥ 長さや面積を表わす単位。
(ロ) 弓一張(ひとはり)の長さ。弓杖の長さで七尺五寸(約二・三メートル)のこと。
※家中竹馬記(1511)「あづちの有るには、堋より幾杖と打て、弓立の遠さをも定むるなり」
(ハ) 中世、田積の単位で普通一段の五分の一(七二歩)をいう。各地で用いられた単位であるが、特に九州地方全域で用いられた。また、伊勢国などの地方では一段の六分の一(六〇歩)の地積をあらわすこともある。じょう。
※内閣文庫所蔵観世音寺文書‐延久四年(1072)五月二八日・観世音寺三綱解案「為二兵馬所本司注出一、令レ勘二責郭内寺領田内勘益田一段三丈官物一愁状」
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