( 1 )「無名抄」に「或人云く、あさりといひ、いさりといふは同じ事なり。それにとりて朝(あした)にするをばあさりと名づけ、夕(ゆふべ)にするをばいさりといへり。これ東の海士(あま)の口状なり」とある。ここで「いさり」を夕漁、「あさり」を朝漁とするのは、「いさり火」や「万葉集」の「朝には海辺にあさりし」〔九五四〕からの連想によるものであり、「夕なぎにあさりするたづ」〔一一六五〕によれば、朝夕に関わるのではないことがわかる。
( 2 )「いさり」は「沖辺をみればいさりする」〔三六二七〕などとあって海上の漁、「あさり」は磯や潟の漁で、むしろ「色葉和難抄」のいう「清(輔)云、あさりとはしほのひるまに、海士の浜に出て、砂子のなかを、あしにてほる様にして蛤をとるをいふなり」の方が当たっていよう。
磯や潟で貝を採る「あさり」に対して、舟で沖に出てする漁。平安以降は「いざり火の」「いざり舟」が、「火(ほ)」と掛けられた「ほのか」を導き出すことばとして夜中に燃え盛る恋情を表出するようになった。




に作り、「魚を捕るなり」という。竹部
字条五上に重文として
を録し、
が漁の初文。
は禁苑。魚は古く祖祭に用い、また霊沼に放ったもので、金文の辟雍(へきよう)儀礼をしるす〔
(いつき)〕や〔井鼎(けいてい)〕には、王が辟雍の大池に漁し、また賜魚の礼をしるすものがある。〔詩、小雅、魚藻〕〔詩、周頌、潜〕は、その礼を歌う詩である。
ngiaも同声。
は聖所に用いる漁撈の方法を示す字であろう。
のように、儀礼的な要素を加えた字形があることも注意される。
▶・漁子▶・漁師▶・漁者▶・漁舎▶・漁舟▶・漁墅▶・漁唱▶・漁樵▶・漁色▶・漁食▶・漁侵▶・漁人▶・漁征▶・漁船▶・漁筌▶・漁荘▶・漁
▶・漁
▶・漁村▶・漁奪▶・漁釣▶・漁笛▶・漁畋▶・漁灯▶・漁伯▶・漁夫▶・漁父▶・漁利▶・漁梁▶・漁猟▶・漁郎▶出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報
[名](スル)二つ以上のものが並び立つこと。「立候補者が―する」「―政権」[類語]両立・併存・同居・共存・並立・鼎立ていりつ...