(読み)バン

デジタル大辞泉 「盤」の意味・読み・例文・類語

ばん【盤】[漢字項目]

常用漢字] [音]バン(呉)
大きな平たい器。大きな皿。「盤台水盤銅盤杯盤
皿状のもの。「円盤音盤胎盤羅針盤
大きな平たい岩。「岩盤落盤
支えとなる堅い土台。「基盤地盤
物をのせる平らな台。「盤上盤面碁盤鍵盤けんばん旋盤配電盤
勝負の一局面。「終盤序盤中盤
曲がりくねる。「盤根錯節
わだかまる。「盤踞ばんきょ
[補説]3は「」、8は「」と通用する。
[名のり]まる・やす
[難読]算盤そろばん珠盤そろばん十露盤そろばん盤陀はんだ

ばん【盤】

表面の平らな台。特に、碁盤や将棋盤などのこと。「に駒を並べる」
レコード盤。音盤。「古いなので音がよくない」「シングル
食物を盛る平たい円形の器。皿。鉢。
「御台や―などまで、手づからのごはせ給ふ」〈大鏡・師尹〉
食器などをのせる台。
「―据ゑて、酒飲みなどす」〈宇津保・吹上上〉

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精選版 日本国語大辞典 「盤」の意味・読み・例文・類語

ばん【盤・&JISF3CA;・&JISF3CD;】

  1. 〘 名詞 〙
  2. さら。鉢。飲食物を盛る平たい器。〔十巻本和名抄(934頃)〕
    1. [初出の実例]「御台や盤などまで、手づからのごはせ給ふ」(出典:大鏡(12C前)二)
    2. [その他の文献]〔江淹‐学梁王兔園賦〕
  3. 食器などを載せる台。
    1. [初出の実例]「ばんすゑて酒のみなどす」(出典:宇津保物語(970‐999頃)吹上上)
  4. 平らな表面を使う台。特に、碁・双六・将棋などに用いる台をいうことが多い。
    1. [初出の実例]「柞(ゆし)の木の盤」(出典:催馬楽(7C後‐8C)大芹)
  5. ばんしき(盤渉)」の略。
    1. [初出の実例]「時の調子と者(いっぱ)、四季に分ち、〈略〉双・黄・一越・平・ばんの、その時々にあたれり」(出典:花鏡(1424)舞者為根声)
  6. 厚い板状の材。標準規格では厚さ六センチメートル以上で、幅がその三倍以上あるものをいう。
  7. クモ類、ヒトデ類の体の中心である円盤状、あるいは五角板状の部分。
  8. レコード盤。音盤。
    1. [初出の実例]「私がニキッシの指揮するベルリン・フィルハーモニック・オーケストラの盤を初めて手に入れたのは」(出典:私の詩と真実(1953)〈河上徹太郎〉わが楽歴)

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普及版 字通 「盤」の読み・字形・画数・意味


常用漢字 15画

(異体字)槃
14画

[字音] バン
[字訓] たらい・はち・さら・たのしむ・めぐる・わだかまる

[説文解字]
[金文]

[字形] 形声
声符は般(はん)。般は舟(盤)を撃つ形。卜文に、盤中のものを酌む形に作るものがあり、盤の初文。〔説文〕六上に槃を正字とし、盤・重文とするが、金文には盤に作り、まれにを用いる。槃は後起の字で、承盤をいう。盤を撃って楽器とすることがあり、盤楽(ばんらく)・盤遊の意がある。円形の器であるから盤旋の意となり、また蹣(まん)と通じて盤桓、蟠(はん)と通じて盤屈の意に用いる。

[訓義]
1. たらい、手あらいのはち、ゆあみだらい。
2. 大きなはち、さら。
3. ものをうけるだい、かたくささえるもの、うごかぬもの。
4. わだかまる、めぐる、うずまく。
5. たのしむ、あそぶ、ひろやか。

[古辞書の訓]
〔新字鏡〕盤 佐良(さら)、、久比加志(くびかし) 〔和名抄〕盤 佐良(さら) 〔名義抄〕盤 ワガヌ・タノシ・マトフ・タチモトホル・メグル・モドヰ・ツラナル・サラ・ワダマル・ワダカマル・ヨソノホル/盤 ―トヨソノホレリ/盤紆 ヨソノホル 〔立〕盤 トラカス・タチモトホル・メグル・モトヰ・ススモ・ワダカマル・タダヨフ・クヒカシ・マトフ・ツラナル

[語系]
盤・般・槃・buanは同声。円くてめぐらすものの意がある。蹣buanも同声。蹣跚(まんさん)をまた盤散といい、(ばんさん)という。また盤桓buan-huanのようにいうこともあり、徘徊bui-huiと同じく畳韻連語。彷徨bang-huangも同系の語である。蟠buanも盤と同声。盤屈・盤曲のように蟠屈の意にも用いる。*語彙は槃字条参照。

[熟語]
・盤盤維盤佚・盤逸盤盂・盤紆・盤鬱・盤・盤・盤渦・盤・盤桓・盤巌・盤基・盤器・盤詰盤糾盤踞盤拠・盤曲・盤・盤屈・盤験・盤古・盤盤互・盤荒盤根盤査盤錯・盤察・盤・盤珊・盤盞・盤松・盤繞・盤針盤石・盤折・盤旋・盤足・盤・盤・盤陀・盤・盤・盤纏・盤拏・盤頭・盤内・盤・盤馬・盤・盤盤・盤阪・盤舞・盤辟・盤遊・盤楽・盤竜
[下接語]
紆盤・鬱盤・雲盤・盤・円盤・宴盤・花盤・渦盤・盤・基盤・吸盤・玉盤・銀盤・碁盤・考盤・香盤・骨盤・終盤・椒盤・燭盤・水盤・石盤・旋盤・澡盤・唾盤・胎盤・耽盤・地盤・篆盤・湯盤・銅盤・冰盤・奉盤・満盤・遊盤・落盤

出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報

盆栽用語集 「盤」の解説

雑木、特にもみじやぶな、姫しゃらなど根張りを見所とする樹種において、上根が癒着してひとかたまりになった状態を盤と言い、その根を盤根と呼ぶ。

出典 (株)近代出版盆栽用語集について 情報

栄養・生化学辞典 「盤」の解説

 →骨盤

出典 朝倉書店栄養・生化学辞典について 情報

世界大百科事典(旧版)内のの言及

【本】より

…本は書物,図書とも呼ばれ,最も歴史が長い情報伝達の媒体である。形態的には,自然のままの(たとえば木の葉や竹),または加工した物質的材料(たとえば羊の皮,紙)を選び,その上へ文字や図を筆写または印刷したものを有機的に配列し,保存・運搬に適するよう,その材料の性質が要求する方法でひとまとめにしたものをいう。内容的には,思想または感情の伝達を目的とするもののすべてが含まれる。ユネスコが1964年,加盟国に対し行った〈本及び定期刊行物統計の統一化に関する勧告〉によれば,〈本とは表紙を除き,少なくとも49ページの不定期刊行物であって,その国で出版されかつ一般的に入手できるもの。…

【皿】より

…他の食器などをのせる台としても用いられる。中国では比較的大きく深い皿を盤,小皿は碟と呼び,日本でも古くは〈さら(佐良,沙羅)〉と呼んで〈盤〉の字をあてており,のち〈皿〉の字も用いるようになった。今日,〈皿〉と書く場合はおもに陶磁器を指し,木製品や金属製品に対しては〈盤〉も使われる。…

【青銅器】より

…この香草の香りのついた酒は祖先の霊にささげ,また高貴な賓客に供するもので,霊力にあふれた貴重な酒であった。この酒はまた身体の清めにも使われ,手にかけるときには下で受ける平たい容器(盤(ばん))が使われた。祭祀饗宴の際に参加者たちが飲む普通の穀物の醸造酒を入れておく容器としては,口のすぼんだ大型のつぼ(罍(らい)),中型のつぼ(壺(こ))がある。…

【本】より

…本は書物,図書とも呼ばれ,最も歴史が長い情報伝達の媒体である。形態的には,自然のままの(たとえば木の葉や竹),または加工した物質的材料(たとえば羊の皮,紙)を選び,その上へ文字や図を筆写または印刷したものを有機的に配列し,保存・運搬に適するよう,その材料の性質が要求する方法でひとまとめにしたものをいう。内容的には,思想または感情の伝達を目的とするもののすべてが含まれる。ユネスコが1964年,加盟国に対し行った〈本及び定期刊行物統計の統一化に関する勧告〉によれば,〈本とは表紙を除き,少なくとも49ページの不定期刊行物であって,その国で出版されかつ一般的に入手できるもの。…

※「盤」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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